《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第347話
「「ハァ、ハァ……」」
「最初の勢いはどうした?」
汗を掻き、息を切らすリカルドとハノイ。
それを見て、アマドルは笑みを浮かべつつ問いかける。
「チッ! 面倒な能力しやがって……」
その態度に、リカルドは舌打ちをして愚癡をこぼす。
ハノイ、オスカル、ラファエルと共に魔王アマドルとの戦闘を開始したが、有利に進められtのは初めのうちだけだった。
4人で協力し、何度も攻撃を當てて怪我を負わせたのだが、アマドルの超回復によってそれもすぐに治ってしまう。
膨大な魔力を持っているため、アマドルは戦闘開始時と何の変化もないきをしているが、こちらは魔力と力が減り、しずつきが鈍くなってきている。
このままでは、アマドルの攻撃をけて重傷を負う危険が出てきた。
「そっちの2人はもう魔力切れ寸前か?」
「くそっ!」「くっ!」
挑発的なアマドルの言葉に、オスカルとラファエルは眉間に皺を寄せる。
最初から戦っているラファエルや、危機と知って駆けつけたオスカルも息を切らしており、アマドルの言うように殘りの魔力はかなりなくなっている。
そのため、アマドルの攻撃を避けることに必死で、リカルドとハノイを援護するための攻撃ができない。
足手まといの狀況になりつつあり、2人は反論の余地がない。
「ハッ!!」
「うわっ!!」「くっ!!」
何も言い返せないオスカルとラファエルに向けて、アマドルは風魔法を放つ。
その魔法をけて、2人はこの場から吹き飛んで行った。
「いいのか? あの2人を逃がして」
アマドルが2人に放ったのは、強風によって吹き飛ばすだけの魔法。
殺傷能力も低く、著地さえすれば何のダメージもけないようなものだ。
あのけた2人なら、戦場から除外されただけの意味しかなさない。
これ以上戦闘に関われない狀況だった2人からすると、退避するのに丁度いい狀況でしかない。
まるでそれを許すかのようなことをしたアマドルに、不思議に思ったリカルドは問いかける。
「あぁ、これでお前らが安心して戦えるだろ?」
「とことん余裕かましてやがるな……」
リカルドの問いに、アマドルはなんてことないように返答した。
これ以上あの2人がここにいても、やることは何もない。
あの2人に気を使いながら戦わなければならないリカルドとハノイに対して、敵に塩を送るような行為だ。
しかし、アマドルからすると、殘った2人の全力と戦いたいだけで、もっと言えば全力を出しても勝てないと分からせ、悔しさに打ちひしがれる様が見たいのだ。
膨大な魔力と超回復がある以上、そうなることが分かっているがゆえの余裕だ。
その余裕を見せるアマドルの態度に、ハノイは怒りの表を滲ませた。
「お前らには、そろそろ諦めて我の家畜として生きることを薦めるぞ」
「へっ! 冗談だろ?」
「そんな生き方をするくらいなら、戦って死んだ方が幸せだ」
魔族にとって、人間は食料の1つでしかない。
そんな中でも、活きの良い人間の方が味い。
そういった意味では、リカルドやハノイは最高の食材と言ってもいいだろう。
戦いながらも、どれだけ味いのか想像してしまう。
食すためには殺さなければならないのだが、抵抗されて食材を痛めつけ過ぎて味が落ちるのは避けたい。
そのため、アマドルは2人に降參することを求める。
魔族の家畜として生きるなんて、そんな人生死んだも同然だ。
抵抗せずに死ぬよりも、戦って死ぬ方がマシ。
そう考え、リカルドとハノイは當然それを拒否した。
「仕方ない。痛めつけて従わせるしかないか……」
痛めつけ過ぎると味が落ちるかもしれないが、抵抗しない相手を食すのも面白くない。
もうし楽しんでから仕留めれば良いと考え、アマドルはリカルドたちとの戦闘を再開させようとした。
「それは無理だな」
「…………?」
アマドルがリカルドたちへ攻めかかろうとしていたところで、先程の呟きを否定する聲が聞こえてきた。
そして、アマドルが不思議に思っていると、2人の男がこの場に姿を現した。
「……また新手か?」
「その通りだ」
新たな援軍かとアマドルが問いかけると、片方が返事をして、もう片方は頷きを返した。
先程吹き飛ばしたオスカルに似た獣人のように見えるが、獣人にしてかなり魔力が多い。
「遅えよ!」
「すいません」「祖父や父のようにはいきませんので」
現れた2人は、ファビオとラウルの兄弟で、リカルドは彼らに対して文句を言う。
その文句に対し2人は申し訳なさそうに返答する。
「いくら増えたからといって関係ない。全滅するのがしの時間びるだけだ」
魔力が多いと言っても、所詮自分の脅威にはならない。
それに、リカルドたちほどの強さがあるようには見えない。
そんなのが2人増えた所で何の意味もさないと、アマドルは4人に向けて構えを取った。
「それはどうかな?」
余裕の表をしているアマドルに、ファビオは笑みを返す。
そして、隣にいるラウルと視線を合わせる。
「「ハッ!!」」
「……?」
ファビオとラウルは、息を合わせるようにして地面へ魔力を流し込む。
2人が何をしているのか分からず、アマドルは首を傾げた。
「なっ、何だ?」
何も起きないことを不思議に思っていると、地面に魔法陣が浮かび上がり始めた。
どんな攻撃をしてくるのかと待っていたアマドルだったが、自分の足が地面に張り付いたようにかなくなっていることに気付く。
「くっ!? おのれっ! 貴様ら何をした!?」
「「…………」」
をかして魔法陣から抜け出そうとするが、足は吸い込まれるように地面へと埋まっていく。
訳が分からないアマドルは、この狀況を作り出したファビオとラウルに問いかける。
しかし、2人はアマドルの言葉なんか興味ないと言うかのように無視する。
「おのれ!!」
食料でしかないはずの人間にバカにされるような扱いをされ、アマドルは怒り狂う。
だが、今さら何を言っても遅い。
リカルドたちに時間を稼いでもらっている間に、ファビオとラウルはは封印の魔法陣を作していた。
ケイによって作り出された封印魔法。
リカルドは遅いと言ったが、それは仕方がない。
ファビオたちの父であるレイナルドや、オスカルの父であるカルロスならもうし早く作ることができただろう。
彼らは、持っている魔力量とそれを扱う能力が自分たちより上なのだから。
しかし、作るまでに時間がかかろうとも、結果的に封印さえできれば問題ない。
「そのまま消えな!」
「おのれーー!!」
じわじわと魔法陣に吸い込まれて行き、とうとう殘るは顔だけになる。
なかなか吸収されないアマドルに、リカルドが首を掻き斬るポーズを取る。
それを見ながら、アマドルは斷末魔のようなび聲と共に魔法陣の中へと吸収されて行ったのだった。
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