《最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~》10話
剣先生に付いていくと、そこはESP學園地下奧深く。
窟のような階段を降り、さらなる最深部へと二人は向かった。今までもこれからも二人には會話は無い。
しばらく歩いていると大きな門のようなものが遠くから見える。
その門はまるで、誰にも明かしてはいけないような、何かとんでもない実験している近代科學的のような扉で、核シェルターと言ってもいいような頑丈な作りをしている。
扉の前まで來た。剣先生は持っていたリュックを下ろすと、なにやらカードキーを取り出した。
そしてドアの右にあるカード認証れにカードをれ、タッチパネルの暗証番號を手慣れたように打つ。
最後の番號を押すとその強固なドアは大きく開いた。
手前の鉄製のドアが開き、次は橫になった渦を巻いている鉄柱が回るように開いていく。
そして何重にもなった鉄の仕掛けがその大口を開けるように開いていった。
その鉄壁の壁の中に、何があるんだろうかと期待ににも似た好奇心が湧き出る。
煙と風が共に俺に當たり、鉄と石油の混じった匂いが俺の鼻を刺激する。
正面には鉄網の柵がさらなる地下を隠すように張り巡らされている。
「こ、この下に何が…… 何があるんでしょうか」
明らかに人工的に作られたとは言えないような膨大な大きさのいや沒落地に、ただただ俺は眺めることしかできなかった。
下の方には何かを隠すように深い深い霧が辺りをさまよっている。
「知りたいか、そういえば訓練生がここに來るのはお前が初めてだな」
そう言うと、さっさと右にあった階段で下に降りていく。
それについていくように俺も階段を降りた。
「佑」
先程まで會話が全くと言っていいほど無い。
そんな重たい空気で突然と発せられたこの聲音は、いつものようなバイタリティーが無かった。
「はい、何でしょうか?」
先生の長が悪いんだろうか? ここらあたりで休憩を挾んだほうがいいのか?
「お、將來の夢は決まったか」
何かを斷ち切るように、発した言葉の頭が変わっている。
彼は何を言おうとしたかなんて俺にはわからない。
「まだ決まってないですね…… それより先生、し休みません?」
「ああそうだな……」
二人は2段離れた位置で座る。左足の先には剣先生のがある。
先生は目の前の先が見えない霧をじっと見ていた。霧がくように二人の時間が過ぎていく。
そんな元気のない姿を橫目で流しつつ、持ってきたペットボトルを彼に渡そうとをばす。
「佑…… 聞いてくれ」
途中までにび切った左腕は、彼の聲と共に元の場所へと戻った。
「私はな、お前に挫折をさせようと思ったんだ。一度挫折させて、本來のお前が進むべき未來へと行かせるべきだと思っていた」
彼の本音…… いや抱えていただろう話に俺は黙って聞いていた。
多分彼の予定では俺は卍城王也に負ける予定だったんだろう。
彼の話すことから推測をした。
俺に才能があるとまで噓をついて、俺を教えていたなんて思うと彼の人の良さに激する。
「お前は能力者として生きるべきではないと私は思っている。それと同じくらいに、もしかすればお前はとんでもない能力をもっているのかと、日々期待をしてもいる」
いつものように直球で急所に當ててくるような言葉ではなく、とんでもなく回りくどい彼の発言に驚く。
激で視界がぼやけてしまうと思い、いつものようなふざけた思考に俺は戻したのだ。
「先生急にどうしたんですか? 生理でもきたんですか?」
いつものように軽い冗談を彼に投げた。
「今私には冗談を話すような元気は無い」
俺の顔を見ると立ち上がる。それを見越して彼にペットボトルを渡す。
ペットボトルを手に取ると彼は続けた。
「今でも引き返せるな」
來た階段を見上げる。そして続ける。
「佑――ずっと私のそばで一緒にいてくれ。私はお前を失いたくはないと、お前が気を失っている時に初めて気づいた。もうどうか…… 生死に関わるようなことはやめてくれ」
そう言うと彼は顔を隠すように前を見た。
背中を見せる姿は乙のようで、彼らしくない姿に俺は驚いた。
今までこのような姿を見せたことが無いため唖然とする。
「何を言ってるんですか?」
 驚きつつも彼の言っていることには理解が追いつかず、質問をする。
「……ランク祭には出るなと言っているんだ」
といい、彼はペットボトルの水をその小さく尖ったに流し込む。
々と考えが巡りそうになったが、舞に気付かされた回答を思い出した。
これを彼に伝えるんだ。
「……僕には目指すべき目標があります。そのために僕はランク祭に出ます」
し間が空きながらも、そのように言うと彼を見た。
それに反するように彼も俺を見る。
そして俺はあのランク祭でのことを思い出したので話す。
「剣先生あの時、俺を応援していたでしょう?」
あの卍城王也の必殺技を食らわされ、視界が暗くなってる中、彼は『出せ』と誰よりも聲を大にしてんでいたはずだ。それもマイクでだ。
「あれは……」
言葉が詰まったのか彼は、必死に言葉を選んでいるようにも思える。
しばかり可く見えてしまった。やっぱりこの人もの子だ。
二人にまたもや沈黙が流れた。
ケンカ別れ前のカップルのようで客観的に見て面白いと思った。
「先生、僕なら大丈夫ですよ。不格好になると思いますが勝ってみせます」
そっぽを見る彼を見ながら話した。
「勝って僕なりのダサい勇姿を師匠であるあなたに見せたいと思っています。そして目標にしでも近づく、それが剣先生への僕なりの恩返しです」
どんなに不格好でも俺は目標のためになら耐えられるだろうと思う。
だから……
「お前……」
しばらく彼は俺を見ていた。その顔はしているようにも見える。
こうも続ける。
「本當にこの3ヶ月間で変わったんだな…… このドリチン野郎」
彼は一杯の笑顔を見せると、俺の頭を左腕の肘で締めげんこつで頭をグリグリする。
ドリチン野郎は全く関係がないでしょ!!
「痛い痛いですって」
橫には大きな袋があったが、頭のグリグリの痛さで意識が袋には行かなかった。
「はやく奧へと行きましょう先生」
なんやかんやありながら二人は地下の研究所のようなところに付いた。
大きなに沿うような右に付けられた階段を降り、下の方へと進んでいく。
すると右に窟のようながありその中に研究所があるのだ。
ちなみに階段はまだ奧の下の方へと続いている。
剣先生はまたもやカードキーをれると、今度は音聲認識のよう……
いやこれは誰かに連絡をしている。
「おじいさん久しぶりだな……。今日は武を依頼しにきた……。そうだ、私のお気にりの生徒だ……。ああ名前は佐部佑……。じいさんタスクに合いたがっていただろう」
と彼と中にいる人の會話を聞く。
剣先生も俺以外の男と話すような人なんだなと彼の一面を見た。
まあ俺以外の男子生徒と話すような時もあるけども。
プシューと音がなり、二人は中の方へとった。
「お前が佐部佑か……」
ドアが開くと出待ちをしてるように70代くらいのおじいさんが正面に立っていた。
「はい、えっと……」
「そういえば紹介はまだだったな。この人はリットナー博士」
剣先生はおじいさんを紹介した。
「よろしくお願いしますリットナー博士」
何がよろしくなのか自分でも分からない。
彼はどんなことをしているか分からないからな。
しかし、リットナー博士という名前からして外國系の人と思うが、この人は純正の日本爺さんである。
まあ日系という可能も捨てなくもない。
「そこに掛けたまえ」
し奧の方へ行くとテーブルとソファーが置かれていた。二人して座る。
辺りはチリゴミだらけで、お世辭でも綺麗と言えるほどではない。
二人して千鳥足になりながら座る。
「ほれ」
おじいさんは3人分のお茶を淹れると、俺と剣先生が座っている正面のソファーに腰掛けた。
如何にもおじいさんと呼べるようなぽっちゃりとした格にソファーが沈む。
「お兄さんの噂は聞いてるわ。お兄さんは、あの卍城王也を倒したんだろう」
リットナー博士は髭のもじゃもじゃをりながら喋る。
「ああ、まあ」
「それよりも本題にるぞ」
話を中斷するように彼は言った。
「ほいほい…… 要するにお前は武がしいっちゅうことなんだな」
俺の切れた腕を見るとリットナー博士は目的を當てた。
「はい、この腕の代わりになるようなを」
そう言い俺はなくなった腕を見つめた。
昔の面影が全くと言っていいほど殘ってはおらずが切斷されている骨を覆うように発達している。
「腕とな…… 義手なら殘りがあるぞい。ちょいっと弄ったら使えそうやな」
博士はそう言うと、ポケットの中からメジャーを取り出した。
「ほれほれほれと。こっちもな、ほれほれと」
手慣れたように博士は、俺の切られた腕のサイズ、太さを図るとメモに取った。
「ちょっと待っておれよ」
付箋メモがたくさんられたドアを開け、何かを取りに行った。
「あれでも凄い腕が立つ人だ。心配する必要はないぞ」
博士がいなくなっていつの間にか彼は、部屋の氷像を見ながら話しかける。
「もしかしてここの學園生が持っているオリジナル武は、彼が作っているんですか?」
まさかとは思うので冗談半分に彼に聞く。
「そうだが…… 今は一人で全てをやっているらしい」
トントンとタバコを詰め彼はジッポでタバコの先端に日をつける。
あれだけの人數の武を作っているなんて本當に凄いと思った。
型は同じようなものが多いが、一人ひとりの大きさなどを考えると、とんでもない作業量である。
どんな頭の構造をしているんだろうか……
化のような人でし引いてしまった。
「ほれ終ったぞい」
俺はしばらくテレビのバラエティー番組を見て時間を潰していた。
あまりにもつまらなすぎて眠気が襲ってきていたが、彼のドアを開ける大きな音に目が覚めてしまった。
彼の腕には、鉄製の義手がある。
まるでアニメに出てきうな卓越されたデザインに、腕裝甲の間からは部の部品が見える。
元の生だった腕よりも一回りも大きい義手に高揚が溢れ出る。
まさに男のロマンの塊であった。
「5年前にあるに作ったパワードアームだぞい。それを戦闘用へと改良させたんじゃんが特に需要は無かったんじゃ。まあお前がしいということで久しぶりに弄っちゃたんじゃが上手く言ってる。やはりワシは天才じゃ」
ガハハと如何にも昔の鍛冶屋のような笑い方だ。
「早速付けてもいいでしょうか?」
その義手をガン見しながら聞く。カッコイイ義手を早く付けたかった。
「ほれ。あ、ちょっと待っておれよ。出力を弄るのにパソコンが必要なんじゃ」
手に持っていた義手を俺に渡し、先ほど義手を取ってきた部屋にパソコンを取りに行った。
試しにちょっと付けてみた。波を腕で知するようなものらしい。
早くかしてえ……
「では始めるぞい」
博士はパソコンに義手を接続すると、カタカタと何かを弄り始めた。
博士の説明もなくあらかじめ付けているが、何も心配はないようだ。
は、早くしてくれ……
「ではかしてみてくれ」
俺は今までの右手をかしていたときのことを思い出し、義手をかした。
ウィイインとロボがくような音を立てて、手のひら関節一つ一つがいていく。
ロボであるためしだけぎこちないがそれは許容範囲だ。
「す、すげえ。やっぱり義手ってかっけえ……」
驚くほどまでにらかにく義手にを隠せない。
「ではこれを持ってくれるか」
そう言いながら博士は空き缶を俺に持たせた。
摑むのにはコツがいるらしい、2回めで功した。
し難しいなと思ったが練習次第では元の腕とは変わらないだろう。
「うむ丁度よい設定じゃな。やっぱりワシは天才じゃ」
ふむふむと彼は頷いた。自畫自賛が許されるような腕に俺は心の中で服した。
「わかっているとは思うが、力源はその肘関節にあるバッテリーじゃ」
俺はグットボーンにあるボタンを押した。
するとデジカメのバッテリーのように取り出せた。
ちょっとこの作りには心配になってしまう……
「あの…… 僕って結構無茶をするんですけど強度って大丈夫なんでしょうか?」
無茶苦茶にく俺はきっと壊してしまうんだろうかと心配になってしまう。
「ほほほ、前に言ったじゃろう。これは戦闘義手、チタン製の義手じゃ。ゾウの重にも耐えられる作りになっているぞ」
ガハハとまた自慢するように笑った。
す、すげえ……
まるでアニメじゃないか……
俺はやるぜ――この腕、そしてこの2丁の銃で……
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