「貴様ごときに、この俺の本気を出さなければならないとはな！！」

うっすらと、霧の中から見えて聲を大にして唱えるのは、學園最強の男、盾田剣士。

奴のまわりには、を催してつくられたのだろう鎧がぎ捨てられたように転がっている。

その姿は、従來の大きな鉄の壁、ではなく、一〇ある筋を、無理矢理に一へと凝させただ。

完璧な、その研ぎ澄まされた筋の集合は、右手にある武をこちらに向ける。

「系｟ケイ｠：臨界突破裝甲パージング・アーマード」

にある全ての無駄を一だけにそぎ落とされたボディで、握りしめている武の重さは格の四倍は優に超しているだろうと推測する。

てめえ……　なんて切り札を隠していたんだよ……

頭の中で、そんな想をらしながら、とあるロボットの機を思い出していた。

の裝甲が自の能力発によって剝がされたとき、そのき、攻撃力は段違いなものになる。

しかし、特定撃による大技の使用はできない。

「驚いたか……　ふんッ、ただ見た目が変わっただけではない！！」

すると奴は、大きな験を軽々と刀ギリギリに持つと、

「何年とこの鎧しがらみを、裝著してきたか……　その開放、鍛えられあげた筋、細胞、ストレス……　今日｟こんにち｠全てを貴様に叩き込んでやろう」

そう言い放ち構えると、奴のからオーラのようなものが錯覚ではないかと判斷するくらいに漂わせていた。

瞬間、その完されたは、俺の目の前へと、距離を詰めていた。

早いッ！！　しかしあの畑井ゴウ戦よりは明らかに遅いため、目をつかって追いかけることができた。

そして一太刀、空中を切るようにして、その剣を正面から、右へと切る。

一振りには、を”振った”という音ではなく、大きな信念で大きな悩みを切っているような音だ。

上を切り捨てるような攻撃を、イナバウアーの要領でらした。ギリギリを凄まじい速さで通っていく。

奴から半周回った大剣は、斜め下の地面へと突き刺さり。

今度はその回転力を生かした、回し蹴りが斜めを切るように、素早く鋭い一撃を俺の腹へと叩き込まれる。

速く予想外のの使い方に、反応はできたものの、避けることはできない。

そのは地面へとたたきつけられ、全打撲ではすまないような、ダメ―ジをけた。

地に転がった俺を踏みつける、奴の足、片足だけではあるが凄まじい重に、どれほどの筋が凝されているのかわかる。

「神から世界を救う者として、そのを捧げなければならん。そして何よりも彼……　私はＥＳＰ學園、主席のＡランカーとして、圧倒的に勝たなければならないッ！！」

話し終えると、奴は彼と言ったあたりで、足の下に胃があるだろう場所を、強く踏んだ。

「ガッハ！！」

その凄まじい重圧に、胃のは、吐き出された息とともに、口から排出される。

胃酸と口の中にあるがじり合い、苦くも鉄の味がする奇妙な味を味わいながら奴の姿を見る。

彼……？　奴のその行の裏に何があるのか。

「その責務、業、宿命、運命、力、罪、それがお前にはわかるかッ！！」

怒濤な言葉の數々は、自がおかれている境地とけ取る。

わかんねえよ、俺にはわからねえ！！

奴の足底を持ち上げるように摑むと、これでもかとぶ。

「んなもんわかるか！　だけどな一つだけ言っといてやる。俺はあこがれているあの人のためにお前を越えなきゃいけないんだ！！」

奴がその大剣を構えているのを対抗して、俺は二丁の銃を構えた。

「貴様……　そんなもののために戦っていたのか」

頭を抱えるようにして手を額にかざし、その口を片方あげていた。

”そんなもの”か……　確かにお前には道端に落ちている石のように”そんなもの”なのかもしれない。

だけど俺には……　俺には…………

”大事なもの”だッ！！

バンッ！！！！

俺は同時に銃弾を放った。

奴は銃聲と同時に、俺の両腕を摑み、軌道をずらす。

扇の軸のように飛んでいった弾をよそに、俺はこうんだ。

「黙ってろ！！　俺はし遂げるんだ。俺を支えてくれた者のために、俺を導いてくれた者のために、俺を見ている守るべき者のためにッ！！」

上手く奴の腕をほどき、重の乗っていた足をほどき、素早く奴から距離をとった。

距離５メートルはあり、奴が攻撃を仕掛けてきてもある程度は対応できる距離だ。

その一連の行、言葉を聞くと奴はこうんだ。

「ハハハッ！！　笑わせてくれる！！」

天高らかに、両手を広げると、まるでありもしないものを、あると豪語している人をみるようにして俺をあざ笑っていた。

決勝ここまできた俺には、そんな言い分さえも心には響かなかった。

それは、俺にはやれる自信があったからだ。

「その理想ごと、この俺が切り裂いてやる」

さきほどの痛快な笑顔とはまるで違う、いつものような厳格な顔へと変わっていた。

すぐ橫に置いていた大剣を突き刺さっていたコンクリートから軽々と抜き取る。

「俺を切り刻んでみやがれ！！　なんどでも俺は這いずり進むぜ！！」

もう一度奴めがけてその２丁の銃を構え、瞬きする間にナイフへと変える。

「はいずり進むか……　ならウジ蟲のように腐った死を食べていろッ！！　そんなお前は腐ったをたべているように、何をしてもその程度なのだ！！　無知なのだよお前はッ！！」

言い終わった瞬間、二人はき出した。

二人は互いのミッドレンジへとった。すぐさま奴は俺を切り落とすべく、両手で持った大剣を剣道の面打ちのように、上を後ろへと目一杯そらした。

そのまま縦の攻撃から右へと回避行をとりあがら、至近距離でナイフを奴の心臓めがけて、突き刺そうとその腕をばす。

あと１０センチとびていたあたり――――奴の攻撃は、俺の左腕、俺の足へと當たる。

日本刀で木材を、試し切りされたように、俺の腕と足は左へと転がっていく。

狀態は、足のなくなった左へと倒れ、その倒れる間に、奴の右わき腹へ、ナイフを突き刺した。

重の移を生かしながら、右足を飛び上がるように左へとジャンプし、大車回転のように左へと１．５メートルほど移。

そのままの治癒能力の時間稼ぎのために、を前転をしながら撤退をする。

「グハッ！！　誰かを救った誰かになろうだと！？　自覚しろ！！　そんなものは愚の骨頂だ！！　の程をわきまえろ！！」

その地に転がった二秒の間に、つんざくような痺れとともに俺の腕と足は治っていた。

左手をグーパーと開いて、自の治癒能力のすごさと、何もなかったように治った腕を味わっていた。

奴はわき腹に刺さったナイフを、引き抜き、痛みに慣れていないのか、溢れ出るを右手で止めていた。

涙を流すように、手の間からは、が出ている。

「……なろうじゃあなくてなあ！！！！　なるんだよッ！！！！！！！」

さらに相手を追い込むために、今度はこちらから攻撃行をする。

素早く、ホルスターから銃を取り出すと同時に奴へと放った。

「ッ！！」

心臓を狙って放った弾丸は、ど突かれたように左肩へと當たった。

クッ！！　こんなときにこの腕が震えてやがる……

超回復で治りたてなのか、小刻みに揺れているその腕。

「ハァッハァッ……　グフッ！」

奴は近くにあった障害へとそのを隠した。

痛みに悶えながらも、冷靜な判斷だと彼を見てそんな想が出る。

それと同時に、彼がこんなにも撃たれ弱いとは思いもしなかった。

まあ無理もない、あの鈍に使えそうな鎧を著て、いままで戦闘をしていたのだ。

銃の一発、ナイフの臓を切った攻撃を食らったのだ。

どんな人間でも、初めて切られる痛みは、たまったものではないと思う。

しかし初めて見たときは、あの鎧はやつのだと推測していた。

それはきが遅くなるなとは思う。まあ義手のパンチを耐えた防力があるけど。

五秒くらいして奴の隠れている障害へとんだ。

「どうだよ！！　まだやれるか！？」

ナイフは殘り二本、銃弾はあまり使っていないので手に余るようにある。

「馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な、馬鹿なァ！！」

障害の裏から、連呼する一つの聲、そして最後には、コンクリートを砕くようなパンチ。

その長年鍛えられ凝された怪力に、コンクリートは木っ端みじんに散した。

そして俺を覆うように砂煙が舞う。

「このようなことはありえんっ！！」

砂煙が消えると、奴は発した空間の中央に立っていた。

目の前には、砕かれたコンクリートの殘骸。

「よくも……　この俺の醜態をぉ……　曬してくれたなあああああああああああああああああああ！！」

格に似合ったプライドは、傷つけられた仕返しにと、凄まじい速さで俺の目の前に立っていた。

どれだけ彼のプライドが傷つけれたんたど、のんきなことを考えるくらいに俺は油斷していた。

だから反応は、思考と目で追いつくことはできたが、は、ついては來なかった。

「消えろ、消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ……　消え失せろ！！」

慌てて回避行をするが、奴の斬撃が、俺のを切りはじめた。

そのいままでの盾田剣士の的な速さとは明らかに違う、人間ではない別の何かのような速さに、奴の力ではなく、奴の持っている大剣の力であると空中に首だけにされたおれは考えた。

一〇、一〇〇、一〇〇〇と首から下は、まばたきの間に無數の塊の集合へと変わっていた。

しかし、首から下を切られていたため、かろうじて、目の前の狀況について考えることはできた。

「そのまま何もし遂げられず地へと鎮め！！」

そのままボールを潰すように、奴は空中にいた俺の顔を、コンクリート地面へとたたきつける。

コンクリートをえぐった衝撃の直後に、頭の中で電流が走り、脳の修復、次に脊髄の回復が、１秒足らずで終わる。

そして首から下の修復が始まったと同時に、奴は俺の顔に、大剣を突き刺した。

「鎮め、鎮めえええええ！！」

ガリッガリッと、そんな覚と、眉間の間を突き刺すに染まった大剣が視界報と、殘った神経覚で把握する。

――――――ドクッ、ドクッ、ドクッ。

三度ほど、頭に地価が回る覚が、あの子の聲が俺の神回路のドアを叩く。

『タスクのこと……　心配したんだよ』

ついこの間、大好きな人にそんなことを言われた。

その子の傍にいたいと、俺を助けたあの人のようになりたいと。

だから再生しろッ！！　奴を……　奴を倒すんだあああああああああああああああ！！

「誰が沈むかあああああああああああああああああああああ！！！！！！」

転瞬、は、の速さ、いやもとからそこにあったかのようにすべてが再生した。

しかし、あたまを大剣に突き刺されたままの狀態である。

そして、勢いよく頭に突き刺さった大剣を神経白羽どりの要領でがっちりと摑む。

「何！！」

奴は俺の、ゾンビのようなしぶとさに驚きのを隠すことはなかった。

「俺はやらなければならんのだ！！　さっさと死んでしまえええええええええええええええええ」

しかし奴の狂人のような力は、その抵抗を無へと返す。

俺も負けじと大聲を出して、この剣を抜こうとあがいた。

と見せかけて。

「必殺！！　金的キックぅうううううううううううううううう！！」

俺は奴の間へと足の甲で蹴り上げた。

初めに格には似合わない、ちいさな金玉にあたり、固いである骨へとあたる。

奴は、最後辺りのジェンガ―のように崩れた、その作によほど痛かったのか聲はなかった。

すぐさま大剣を頭から、ウルトラマンセブンの頭にあるブーメランを抜くように素早く終わらせた。

「ひぃ卑怯なりぃいいいいいいいいいい！！」

遅れた絶が、彼の口から出る。

すばやく奴の攻撃で飛ばされたのだろう銃を拾い、奴の方へと振り向いた。

「貴様、貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様……　貴様ァ！！！！」

奴はまたになりながら、ぶるぶると足は震え、大剣を杖代わりに立ち上がっていた。

やつのに、驚いた。そして容赦もなしに銃弾を放つ。

「系；絶対ッ　領域｟ランセーネン・シールド｠！！」

奴はそれでも能力を発できる神力を有していた。

しかし、その力は弱く弾をシールドで防いだものの、小石を投げたように奴のへとあたった。

お互いに見合わせ、５秒。

息を切らしていたため、同じような作で、二人は肺の空気を出していた。

「痛みというものは、これほどまでに……　痛かったのだな」

奴は徐々に回復をしているのか、その聲には先ほどのような痛みをじさせることはなかった。

そして頭にが登っていたのが、覚めていたのか聲はいつものように冷靜である。

「そうだよ……　長らく忘れていたんじゃないのか？」

「そうだな……　これが戦士、戦いというもの」

同じような返し、奴はこの狀況を楽しんでいるかのように見えた。

決著はかなり長引きそうだ。