《最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~》33話
「それでだ佐部 タスク。なぜ俺がお前の前に現れたのか。それを今から説明してやる」
本題にったのか、それはにやりと口を開けて真相を話し始めた。
「俺の名前は、森 タスクだ。元にいた多元世界で、俺は世界と戦って負けた。不都合全ての元兇となって世界と対峙したのさ。それが俺の生涯であり人生であり魂の在り処だったんだよ。『全てにおいて叩かれはじき出されるだろう、弱者と愚か者のために、それらを守るためにも、人類全てのの敵になろう』ってな。我ながらに狂った信念と末路だった」
まるで遠い昔を懐かしむように彼はそう言った。
「悪者ってもんはな永遠に立ち続けなければならねえんだ。だって俺がいなくなると、また俺のような人間が生まれちまうだろう? だけどな俺は十年足らずで死んじまったよ。三十五歳で壽命が盡きちまった」夢半ばいいや死んでしまったら、そんなものを図る道理さえ無くなっちまうよな。言いながら彼は続ける。
「俺のが死んだあと、世界は永遠の平和を手にれたんだってよ。反対に俺は永遠の命を手にれた。俺の死んだは、二度とこのような人間が生まれないためにも、後の研究材料として脳みその中を機械にコピーされて、散々弄繰り回されたよ。人格をこと細かく分斷され、意識は科學者の手のひらの中。いままで誰かのサンドバックになんてな、俺は慣れてんだ。だって痛みが無い人間だからな、機械にれられて死んだようにして生きているそれが俺だ」
お前にこれが理解できるか?そう言っているかのような言葉の數々。
「まあ確かによ、俺は數え切れないほどの聖人間を敗した。真のイカレ人間だ。だからだ、俺を信仰していた連中が、神格化させようとする馬鹿たれが散々出てきた。人間ってこえーよな。意外と一番いかれてるのは普通の人間だったりしてな」
どうでもいい、こいつの人生なんて。外見は俺と似ている。だけれど、コレは、”こいつは”俺ではない。
「そうだ、俺とお前は全くと違う資質だ。だがな、世界というものは対になるものは同じ質であるとそんなことを俺の親父は言っていた。こうして振り返ってみるとあながち間違ってはいないということになる」
こりゃ傑作だと、手のひらを広げて口を片方吊り上げる。
「一緒にするんじゃねえよ。俺はお前のようにはならないッ!!」
無茶苦茶な理論に、俺は激怒した。
いくら”俺”だとしてもそれでも…… 吐き気がする。俺はいつだって摑んできた。これからも摑んでいく、ただそれだけだ。
「俺は確かに、この人生振り返れば、事あるごと全てを摑めなかった人間だ。魂レベルに刻まれている敗者だ。お前が否定するのもわかるさ。だからこそ世界線軸のパラレル現象は加速して全ては扇型に”全て”が集約していく。よって、お前は絶対的に摑める人間になっていく。まるで振り子のように、俺が下がれば、お前は上へと上がっていくようにな。というよりも俺には、この世界を作る前には、俺という存在は多元宇宙において俺だけだったというわけでもあるんだ。なぜなら俺は全ての”悪”という概念を背負っていく人間だったからな」
全てにおいて、魂の在り処、”役”を振られた者の大抵は、魂が、要するに、多元世界において平行世界の魂は一つだけということになるらしい。
「えっと俺がどうしてお前の前に立っているかという話だったな。それはな、これから俺の世界から、今ある狂った多元世界を正す人間が、お前の世界にやってくる。この世界は仮現世界でもあるにもかかわらずにだ。まるで登下校中に道端に生えた新芽をつぶす小學生のようだろう」
「そうなのか、それでお前はどうしたんだよ。俺に何がさせたいんだ」
正直意味がわからなかった。だからこそ彼に本題を話させるべきだろうと、今の俺には託などというものはいらないのだ。
「まあそんなあせることでもない。もうし自分に寛容になれよ」
にやりと目の前の男の口が上がった。
「俺はそのTruler〈萬の統治者〉を倒すべく、お前に全てを託したいというわけだ。俺の世界ではマイを取り戻そうと、そのTruler、中二病丸出しの連中が必死になっているということでもある。まあな、現在植狀態であるマイをこれ以上生きながらえるのは、ダメだという連中だ。ここは連中からするとお前の世界は、マイの幻想の世界ということにもなっちまうんだよ。だってなこの世界はマイという人柱によってり立っている世界だ」
  言い終わると目の前の男は、真橫へと視界を移させた。
「それじゃあ本題にらせてもらう。タスク、お前は『この世界を守る』それができる覚悟はあるか?」
いきなり突拍子も無い一言の質問に、何を言っているのか俺は理解ができなくなっていた。
そんな俺を見て、俺は頭を掻き。
「ああ、そうだな流石に質問を変えるわ。守れなかった俺のためにも、この世界を、マイを助け守ることができるかと聞いているんだ?」
至極當然答えは決まっていた。そんなもの……
「當たり前だ。マイは俺が守る」
それを聞いた俺は、またもや俺に視線を移させると、今までとは違い、しだけ目が俺を見ているようであった。
「そうか…… そりゃよかったよ。この世界の中心はマイだ。そして全ての要でもある。統合世界ファルスワールドの基盤”アカシック・レコーダー”。そしてそれから生まれた”俺”という”お前”」いままでの腐っていた目はしだけ輝きが戻っているようであった。
そして再び彼の口は開いた。
「やれよ俺。彼を守るということは、お前のファルスワールドを守るということだ」
「言われるまでもない。だって俺はマイが好きだからな」
それを聞いた後に彼は笑っていた。
「ってどれだけマイが好きなんだよお前は…… まあ俺も人のことを言えずにお前のこの世界を作っちまったからなあ。多元世界の現異世界と言うんだっけなあ、不安定でぐちゃぐちゃしていた世界を不完全な世界を俺がひとつに仕上げたんだけどな」
自するようにうすら笑うと”俺”は、はじめのころとは違い、俺をけれているようであった。
  俺もまた、なんとなくだけれどやつを、俺をけれていた。
「だけどなんでマイが全ての……」
そう聞き返そうと彼を、俺を見た。しかし彼はの半分が無くなっていた。いいや消えかかっていたのだ。まるでファンタジーの魔法のように。
「パラレルゲーター、平明ヒラキの力もここまでのようだ」
「おい…… 消えるのかお前」
る粒子となっては消えていく。そんなすがたに俺は悲しいような気分になった。
「まあな、この語を出力している俺へと平明ヒラキの最後の力を使って変換、いや帰るだけだよ。じゃねえと俺たちの証明理由が無くなっちまう」
やつは消えかける意識の中、最後の力を振り絞るようにそういった。
「お前はッ!!」俺は聲を張り上げた。やつに聞こえるように。
「後悔をしていないのか!?」
聞こえなくとも彼に聞こえるようにんだ。彼のはもうあとしだけ辺りまでしか無くなっている。
「したさ、だからお前が前に進め、そしてお前の大切なもの全てを救えよ…… お前は全てを摑める人間なんだからよ」
最後の最後の口が、そういて彼は完全に消えてしまった。
そうして俺は目が覚めたんだ。
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