《最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~》55話

五月二十三日。

時刻は晝の三時であった。

まるでこの世を照らし出しているかのように日照りに似た日差し。

五月であるのに夏がもう來ているかと錯覚してしまうほどの、天候。

僕らは、昭和通りから徒歩で移、そして作戦が開始されるのであった。

まずは一般人にまぎれたような恰好。

僕らのチームはこの街の清掃員の変裝をしている。

これならば、どこからであっても、僕らは出し抜くことができるだろう。

目標のイベイバビル。

それなりの大きさがあり、屋上には前回の作戦の時のようにヘリが到著できるようになっていた。

いまだ、敵の詳細が、どのような攻撃を仕掛けてくるのか、何をするような人間たちなのか、まったくとわからない。

あの報統合検索システムを使ってしても、それは出ることがなかった。

確実に、この除法社會を知り盡くしており、そしてまた、さらなる未知の領域で人知を超えた魔法を扱っているということがわかるぐらいである。

まさか、魔法を使えるような組織がこの世界にいたとは僕は、それにはびっくりだ。

いいやもっとほかの、とんでもな展開がこの世界にはあふれているのかもしれない。

昭和通りから車を発進させて、目的地のビルへと進んでいった。

無事作戦は開始され、あとは、先んじて僕らのチームが戦況を錯させたのちに、ほかの能力者部隊が一斉にして突撃にはいる。

一つ目の信號を通り過ぎたところで、雲が曇っていることに気づいたのだった。

「なんだか、天候が怪しくなってきたよな」

トウマが、天候に比例して、これから何かがあるのか、心配しているような顔で、そういってくるのだった。

彼は僕が運転している助手席に座っている。

そして後ろにはエマとミライが座っていた。

清掃員の格好をしているのは、僕とトウマだけであった。

「まあ大丈夫だ、それなりに僕らも作戦を功させてきただろう」

何気ないじで僕は答えたのだった。

「そうね、日本の連中に見せつけてやりましょう」

ミライが自信満々に言ってきた。

そうだ、僕らYSの活躍を見せつけてやろう。

「しかし、あいつら強な奴ばかりだよな?」

エマがやれやれというそんな雰囲気で言ってきた。

「そんな奴らだから、日本は安全なのかもな」

僕はもっともらしいことを言った。

うまく言えば、統制がかなりとれているということでもある。

「しっかし無茶苦茶なやつばかりだった」

エマは寒気がよだつように言う。

トウマとミライもそれに同意している。

「あいつらのおかげで後ろは安心だろう?」

フォローしてみた。

「だけど味方になるだなんて、すこしやりづらいわね」

心底嫌そうにミライは言ってきた。

「仲間になるような奴らにそんなことを言うんじゃねえ。ほらあともうしだ」

次の信號を曲がれば、目的地に著く。

そして作戦は始され、僕らは、きだしたのだった。

「こちらBF08、BF11。只今もってして、作戦を開始する」

僕とトウマは、ビルの中にへとっていた。

ますあったのは、付である。その付に二人のが座っており、そして何人かの訪問があるのか、付前の広場には人がちらほらいる。

僕らはあやしまれてはいなかった。付の二人が僕らを見ていた。僕らは、清掃會社の乗っている帽子を見せるようにして、ツバをもってお辭儀をした。

すると、掃除に來たと付のは判斷したのか、こちらにお返しとしてお辭儀をする。

どうやら変裝突はうまくいっているようだ。

トウマが気持ちよくなったのかこういってきた。

「左は俺の好みだ」

「だれも聞いていねえ」

僕らはそれから、トイレへと向かって歩いていった。

廊下ではなんにんかの署員と思われる人が歩いていくのが見える。

彼らが魔法を扱えるような、あの時のネストのような力を扱えるとは思いもしない。

いいや判斷はまだ早いのかもしれない。

「よしここだな」

トウマが、トイレのドアを開いた。

すると、眼鏡をかけた男が用を足しているのが見えた。

僕らはあやしまれないように、トイレの前に清掃中のちいさなかんばんを置いたのだった。そしてトウマが持っている偽の掃除用を開いた。

片方のしっかりと掃除用がそろっているチャックを開ける。

箒に折り畳み式モップが収納されているので、僕はモップをとった。

「お疲れ様です」

用を足した男は、僕らにそう言ってきた。

「お疲れ様です、清掃をするのですがよろしいでしょうか?」

僕はそう聞いた。

「はい大丈夫です」

手をサクッと洗い手拭いで手を拭いている。

鏡を見て髪を調節している。

まるで怪しまれないようにきれいに掃除をしている僕とトウマだった。

変裝でそこらあたりのフリーターにも見える。

「頑張ってください」

と、一言、男は言うとトイレから出ていくのだった。

僕らはすぐさま、トイレを専用の裝置で閉めたのだった。

ドアノブを強制的にけなくするような裝置となっている。

僕はその裝置を設置して、トウマは防音加工のパネルを壁全っていった。

音を吸収して、壁の向こうは聞こえなくなる。これは壁の薄いアパートでも発揮するような代である。

「設置完了、著替えにるか」

僕らは著替えにった。

そして戦闘服に著替えると、すぐさま、壁に人がれるほどのをぶち開けたのだった。

こんこんと、トイレのドアをたたく人がきたので、トウマにアイコンタクトをして、通気口を進んでいったのだった。

目的地は、このビルのトップがいる、社長室である。この社長室に直接的に介する目的は、トップを人質にすることによって、戦闘を速やかに回避するための目的がある。

これは、僕らが介するための技あるために、できるような蕓當だ。

通気口をよじ登るようにして進んでいく二人。

ミライは今作戦では、前回の僕の代わりに指揮をとっている。もちろん大きな判斷は直接指令班からくる。順次進みながら、戦況をえるとするならば、指令班の的確な判斷で僕たちは戦うことになる。

これは戦闘だった。僕ら能力者と、隅一派と自稱する、魔結社軍団との。

ところどころなにか生臭いにおいがした。

どうやら、が通気口で死んでしまったのだろうか。

トウマは鼻が曲がりそうだとジェスチャーで伝えてきた。

「こちらBF08、通信範囲まできた」

僕はミライに通信をしたのだった。

「BF09、了解したわ」

ミライは見取り図で僕らがどのあたりにいるのか探っていた。

「BF07、警備隊を殲滅した」

エマがこのビルを守っていた警備隊を倒したようだった。

「上に30メートル、すると三路のエリアまでくるわ。左に25メートル。するとエレベーターがちょうど真下にくる」

ミライはその報を僕らに伝えるのだった。

この施設は三年前の古臭いセキュリティーを使用しているためにハッキングが楽であったとミライは言っていた。

「私がエレベーターを作するからそのまま、進んで」

カタカタと、キーボードをたたいている音が聞こえる。

の指示に従い、三十メートル上をよじ登っていった。

トウマが腕ががくがくであると、見ていて分かった。、鍛えとけよ……

ミライの指示通り、僕らはエレベーターの上まで來たのだった。エレベーター天井にお降りて、進んでいった。そして途中で止まると、僕らはまた、通気口の中にっていった。

そして社長室に著いたのであった。

中を確認する。中には三人の男がいた。

どうやら日本の裏の社會に存在するようなヤクザのような風勢をしている男たちであった。

「製作者たちからの連絡がありました」

僕らは、その社長室を覗いているのであった。

どうやら通気口のし手前、それも視界では絶対に見破れない場所だ。

ばれてはないと、彼らの、行からわかった。

(狀況はどうなんだ?)

トウマらかのジェスチャーだった。僕はすぐさま中の狀況を説明するのだった。

中には、三人の男がいるのだった。

真ん中には社長と思われる人、そしてその両側には、護衛と思われる人

通気口からは、はなれているために、たぶんだがばれることはない。

部屋の中は、三十畳ほどの大きさで、社長機の後ろには、街が見渡せるほど大きな展ガラスがあった。そしてそれの両端から、観賞用の壺や品の絵などが、取り囲むようにしておかれているのだった。

そして社長機の前には、対談したときに使われるだろう、ソファーが向かい合って配置されている。世界的に有名なメーカーが作ったと思われるため、それなりの資金は所持しているとわかった。

ここまでの部屋の全貌を見るに、莫大の資産が生み出されたといっても過言ではないだろう。

「製作者は、次なるプランで先著を練り直せと」

側近か、それとも、護衛の人間かは判斷が、できないが、どうやら事務処理の真っ最中らしい。

「なにが新しいプランか、目標の人數を拐して、あの部屋に押し込んでいるだけでも、我々はとんでもないような、極悪な所業をしているのだぞ」

だが、まんざらでもないというように、手に施されていた指をなぞっている。

続けてこういうのだった。

「見込める利益は?」

社長の男は、いやらしそうな、顔をしているのだった。

「現段階の二倍はあります」

冷靜に、側近の男は答えた。

そして、いやらしそうな顔から一転、卑劣な笑みを浮かべた。

「三倍だ! 三倍にするんだ」

拐する供者はいままでの五倍に膨れ上がります。実數にして百二十人」

側近は、眼鏡をクイッとあげて、真実をありのままに伝えたのだろう。

「別にかわまんさ、となりの野蠻な國の責任にすればいいのだからな」

ヒッ、ヒッ、ヒッ、と三度、聲を上げて笑っているのだった。

最後には、ツバが垂れてきたのか、ツバを吸い上げる音。

すさまじいほどに、低劣な態度に、この場を殲滅するための憤りあふれてくる。

しかし思考は冷靜であった。

どうやら彼らは、人を犠牲にして、金になるもののコピー品を作り、それを売りさばいて利益をあげているのだろう。

そして、あぶく銭でこの社長は豪遊しているのだ。

あきらかな、悪が確かにこの場で繰り広げられている。

しかしまてよ、こいつらは、接的に隅一派との関係はあると思われる。

先ほどの、『製作者』とは、つまりは隅一派なのかもしれない。

だとすれば、隅一派の居場所もまた、彼らが知ってる可能がある。

(ここは、隅一派の本拠地ではない、だがしかし、居場所を知っていると思われる人の発見に至った、すぐさま、殲滅して、敵の報を吐かせる)

筒狀の機械、特別な信號機で各員に通達するのだった。

この形狀の通信機は、あまり作することはない。

だからこそ、隠が必要な場合にかなりの真価を発揮する。

トウマに行くぞという合図を送ったのだった。

トウマは、やれやれと言わんばかりに、僕を見て、そして意を決したようだった。

通気口の金を外して、三,二,一という合図を取るのだった。

そして潛した。

まずはじめに視界に映ったのは銃を持っている側近であった。

すぐさま、相手が銃を取り出そうとしている作の前に、僕は銃をぶっぱなった。

肩にあて、沈黙を確認。

そして次に、もうひとりの書が逃げ出す用意をしてたのだった。

社長を自ら盾になって、左手にある出口へと進んでいく。

書は、いつのまにか懐から、銃を取り出していたのか、発砲するのだった。

僕は、真正面から銃弾から當たっていく。

そして後ろにいたトウマが、書の足を打った。

書と、社長の二人は、転がって、地面にをぶつけた。

まるでドミノ倒しのように、二人は倒れたのだった。

無力化を確認した僕は、トウマに先ほど初弾を放とうとしていた、側近へと向かった。

傷の手當、そしてには結束がはめられた。

「イベイバの社長である、網田智一〈あみだ ともかず〉さんでよろしいでしょうか?」

僕は社長に銃を向けるのであった。

「そうだ…… と、でも言っておけばいいのかね?」

すると、書の一人がまだけるのか抵抗をしようとしていた。

ふざけた答えと、書が抵抗したために、僕は書の足を撃った。

「ああああああぁああああ」

書は無殘な聲を上げている。

「抵抗はやめてください。次にふざけた回答をすると、次はあなたの命はないと思ってください」

かちゃりと、僕は銃弾を裝填した。

「ふっ、お前は何が目的なのだ」

社長はそんなことを聞いている。

僕は、何も思うこともなく。

「數々の拐」

僕はぽつりとつぶやいたのだった。

網田の額からは、大粒の汗がにじみ出ていた。

「そして、隅一派との関係

この言葉に、書が驚いたのだった。

側近の結束が終わったのか、トウマが、書の手當をして、結束した。

「製作者の報がれていたとは……」

社長の網田はあきれ返っているようだった。

「何者だお前らは」

態度が大きくなっているので、僕は有意を魅せしめるために、網田の地面に著いた手の平をぶち抜いた。

「いぁあああああああ」

痛烈な悲鳴をあげる社長。

「まて、待ってくれ…… 隅とは我々のビジネス仲間だ」

ぜえはあぜえはあと荒い息をあげる網田。

三度僕は、弾丸をリロードによって裝填した。

「ビジネス仲間…… そうですか。では次に、その隅の本拠地を教えてください」

ここが、本拠地ではなかった。

なぜならば、こいつらは自ら手下であると暴したからだ。

このプライドの高い社長のことだ、見栄をはり、ビジネス仲間ではなく、手下であるとわかった。

すこしだけ、不可解な沈黙があったのだった。

「わ、わからん」

社長は答える。

必ずと言っていいほどに、噓なのだろう、こいつは自分の命が大切なようだ。

僕は、それなりの行に出るべきだと考えた。

そして即レスしたかのように、網田の右耳を撃った。

「ぎぃいいいいいいいい」

がかなり噴き出ているようだった。

こうでもしなければ、吐かない人間もいるが、大抵はすぐに吐いてしまう。

このようにだ。

「特區熊本だぁ…… 熊本の八代市鼠蔵町ッ!!」

ああと、をうずめて痛みを耐えているのだった。

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