《不用なし方》第4話
講義を終えてラウンジへ向かうと、いつもの席に花と佳山が座っていた。
「お疲れ~」
亜の姿を見つけて花が手を振ってくる。亜も控えめに手を振り返しながら二人の方へと向かう。
ラウンジは明るく開放的で、いつも半分以上の席が埋まっている。そんな狀態でも通路は人がすれ違うことができるほど広い。なのに……亜は正面から歩いてきた二人組のと接してしまった。
「あ……」
「いった~いっ」
腕を押さえて大袈裟な聲を上げるに亜は驚いてフリーズした。
「ちょっと、なんなの?!」
「……え?」
狀況が呑み込めずに間抜けな聲がれる。その聲は目の前のを更に苛立たせたようだ。
「今、わざとぶつかったでしょ!」
決めつけるように言われて首を橫に振るけれど、怒りに任せてまくし立てる彼には分かってもらえそうにない。
花が立ち上がって心配そうに亜を見ている。佳山に腕を摑まれているので亜の許にいこうとしたところを止められたのだろう。
「ちゃんと謝りなさいよ!」
衝撃があったので接したことは間違いない。しかし、故意にぶつかったわけでもなければ、責められるほど非常識な歩き方をしていたわけでもない。それに接といっても軽く肩を叩く程度のもの。當然亜に怪我はなく、痛いところもない。目の前の彼たちも怪我をしているようには到底見えない。
正直、謝れと言われて謝るのは簡単だし、手っ取り早い解決方法だとは思う。それでも謝罪の言葉を躊躇ってしまうのは、目の前の二人に謝罪すれば余計に突っ掛かってくるような気がしたからだ。
「橫に二人並んで歩いていたら、そりゃぶつかるよね」
目の前に大きな壁が出現して、顔を上げた。佳山が亜を庇うように立って二人を見下ろしていたる。優しそうな笑みを浮かべているけれど、瞳の奧は笑っていない。
「広がって歩いている方に非はないの?」
「……っ」
「男に守られていいご分ね。どう誑かしてるのか、その手法を教えてほしいわ」
ぶつかってきた人と一緒にいるが蔑むような眼で亜を見る。その瞳はなにか言いたげに思えた。
「そうだな……純粋で奧ゆかしくて他人を思いやれる優しい人だから、周囲は人として好ましく思うんであって、歪んだ見方しかできない君たちが同じことをしても稽な猿真似になると思うんだ。やめた方がいいだろうね」
佳山の言葉に目の前の二人が不機嫌に顔を歪ませる。
「なんで……あんたみたいなが優希と付き合えて、私じゃ駄目なのよ?」
ぶつかってきたが亜を睨むようにして小さな聲で呟いた。
「え?」
「地味で存在もないあんたが、どうして優希の隣にいられたのよ?」
亜と優希が過去に付き合っていたという事実はない。しかし、噂されていることは知っていたのでまったく心當たりがないわけでもない。
きっと、同じ學校出の人から聞いたのだろう。
「栗林さん、松澤と付き合ったことあるの?」
二人の関係に薄々気付いているはずの佳山が確認するように訊いてきたので、亜は小さく首を左右に振った。
周囲が勘違いしていることを知っているのに放置していたのは、優希に肯定も否定もするなと言われていたからだ。
「え? 噓っ、だって……高校のとき付き合ってたって……っ」
「周囲が勝手にそう思い込んでただけだよ」
気が付けば、花までもが亜の傍にやってきている。さらに、ラウンジで寛いでいる人たちの視線がほぼほぼ自分たちに向けられていた。
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