《不用なし方》第6話
優希に嫌われた二人が、亜に対して更なる嫌がらせをしてくるのではないかと警戒してた花と佳山だったけれど、どうやら取り越し苦労だったようだ。騒から二週間経ったけれど、亜もその周辺も意外なほどに平穏な日々を送っていた。
亜と優希の関係にも変化はない。
キャンパスを出て勇気の部屋へと向かい、食事を作ってを重ねて自分の家に帰る。亜はもう何年もこの生活を続けている。
最後に友人と出掛けたのはいつだっただろう? もしかしたら半年以上前かもしれない。
そんなことを考えながらいつもの場所へと向かっていると、刺すような視線をじて、亜は周囲を見渡した。し離れた木の影に見覚えのあるが立っていて、こちらを睨むように見ている。ラウンジで亜にぶつかってきただった。 
「なにしてる?」
 フェンス越しに聞き慣れた聲が飛んでくる。
「あ……別に、なにも」
視線に背を向けて短く答える。
亜が喋っている姿を見れば、そこに誰かがいることに気付いてしまうかもしれない。それが優希だと分かったら彼はきっと激昂するだろう。本気で想っていることが分かるからこそ、気付かれたくない。
「いくぞ」
優希が歩き出し、亜は一定の距離を保ちながらそのあとを追った。
普段ならば真っ直ぐに自宅マンションへと帰るのに……今日は何故か、駅の方へと向かっている。マンションの方向ではない。
 一どこに向かっているのだろう?
攜帯電話を確認しても新著メッセージはない。亜は不思議に思いながら優希の背中を追った。
帰った方がいい場合、ほとんどはメッセージなどを使って"帰れ"と伝えてくるけれど……彼は気まぐれだ。だからといって勝手に帰れば憤怒するのは目に見えている。
つまり……くるなと言われない限り、黙って付いていくしかないのだ。
橫斷歩道に差し掛かって、點滅する信號を見上げた優希が足を止める。バッグから音楽プレイヤーを取り出し、イヤホンを片耳に裝著して信號へと視線を戻した。こちらを見るようなことはしない。
ようやく距離がまったと思ったら、信號が変わって歩行者が一斉に橫斷歩道へと踏み出す。優希も信號を確認して渡り始めた。亜も信號が変わる前に渡りきろうと急ぐ。
そのとき、反対側から走ってきたとぶつかって、の持つバッグの中が地面に散らかった。
「ごめんなさいっ」
が亜に謝罪の言葉を述べて、地面に散らかった自分の持ちをかき集める。亜は足許に転がっている口の開いたポーチを拾い上げて彼に手渡した。
「あっ……ありがとうございますっ」
橫斷している人たちは彼の私を踏まないように避けて、でも拾うことなく通り過ぎていく。なんだか可哀想になって、亜は転がっているを拾っては彼に渡していく。
「す……すみませんでした」
ぶつかってきたのバッグの中を回収し終えると、信號はまた赤に変わっていた。
橫斷歩道の向こう側にいるはずの優希を探すと、角のコンビニの前で壁に憑れて攜帯を作しているのが見えた。
待っていてくれてることが嬉しくて、思わず口許が緩んでしまう。それを誤魔化すように手で口を押さえて俯く。
 早く、青に変わってほしい。
そう思いながら信號を見上げた瞬間、背中に衝撃を覚えた。
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