《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》35

※エミリー視點

「今日から貴族院かー。ねえエミリー、この制服似合うかなー、かわいい?」

「はい、とってもお似合いですわ」

「えへへ……」

大の鏡の前で無邪気にポーズを決めるシェリーを見ながら、わたくしは々心が痛んだ。彼は王子様が留學した事を知らされておらず、貴族院中等部で毎日逢えると思ってはしゃいでいるからだ。

そこへグレース婦人とそのライラがポピーを連れて広いエントランスに現れた。ポピーは薄汚れた使用人のワーククローズという出立ちだった。

ご婦人を見るなりシェリーは顔が変わり、はしゃぐのをやめる。お母様が怖くて苦手な様だ。でもそれだけではない。ポピーがいる事に嫌悪を抱いていたのだ。

「シェリー、今日は學式ですわね。おめでとう」

「はい。ありがとうございます」

「ところで、貴は新生代表のご挨拶をしなければなりません」

「えっ⁈ な、何も聞いてませんが……?」

シェリーは不安そうにわたくしを見た。

「オホホホホ……心配しなくても良くてよ。ポピーに仕込んでおいたから」

「そ、そうなのですね。え、でもご挨拶は王子様ではないのですか?」

「あら、貴は首席合格したのですよ。王子よりも優秀だったのです。まあ、貴験した訳ではないけどね。オホホ……それに王子は留學なさって不在ですわ」

「ええっ⁈ 留學! ですか⁈」

「突然よねぇー。わたくしに何の連絡もないなんて全く失禮しちゃうわ。でもいいじゃない。暫く會えないけど婚約者には変わりありませんから。それにこの間、貴しは淑になれるかもしれないし……」

シェリーはグレース婦人の話を半分も聴いてない。楽しみにしていた王子様との再會が無くなったと言うのが頭から離れないでいる様だった。

「ではエミリー、頼みましたよ。わたくしも後ほど參りますから」

「かしこまりました」

グレース婦人らが去っていくとシェリーはポピーを睨んでいた。でも直ぐに明るい表を見せて、

「ポピー、ご苦労様だこと。わたくしの代わりにしっかりとご挨拶してよね。まあそれにしても王子様が居ないってのは気が楽でいいわー!」

と、強がりを見せていた。

わたくしは々嫌な予がした。シェリーと二人っきりになると面倒くさい愚癡を聞かされるのが目に見えている。今ではすっかり頼られてる存在になっていたからだ。

まさかわたくしが宮廷から送り込まれたスパイだとはにも思ってないでしょうしね。

でも幾ら懐いているからと言ってあまりに流されてはいけない。単に向を探るだけの任務ではないのだ。わたくしはバトラー様からある指示をけていた。

「エミリー、辛い役目かもしれないが、影武者を頻繁に使わざるを得ないくらいシェリーを駄目な人間に仕向けるのだ。いいな? シェリーに同するな、墮落させろ!」

「は、……ははっ」

「それとポピーを助けよ。彼が潰れては元も子もないからな」

「はっ、かしこまりました!」

わたくしは宮廷に忠実なスパイだ。だからこの作戦の背景など知る必要もないし、シェリーが、公爵家がどうなろうと関係ない。

ただ、指示に従うのみだーー

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