《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》36

「あー、あたくしもダンスしたいよおー!」

「シェリー様、ダンスの授業は影武者がやると決められてるでしょう?」

「うー……でもやりたいいっ。クラスの仲間と楽しく過ごしたいのー!」

「ダメです! 奧方様から厳命されてます!」

「むーん……退屈だよー。エミリー」

貴族院へ學して三ヶ月、院生活も慣れてきた頃、しずつ影武者と代する機會も増えていた。公式な行事は勿論の事、ダンス、學力照査に加えて苦手な語學、お料理など……それ以外の授業もポピーの様な優秀さをアピール出來ず、自己嫌悪に陥ってる姿をよく見かける。シェリーの実力ではどう頑張ったって中の下くらいなのだ。

でも彼を慕う友達は多かった。王子様の婚約者・學年首席・公爵令嬢とその響きは魅力的だ。そして明るい格(悪く言えば能天気)は人を惹きつける。いつも自然と回りに人が集まっていた。

「では、わたくしとダンスしましょう」

「うん、その言葉待ってた。よおし、やろうか!」

やれやれ。いつもダンスの相手をして疲れるわ。

この貴族院はシュルケン公爵が理事長を務め、実質グレース婦人が運営している。だからわたくしどもには「のお部屋」と言う特別に與えられた拠點があり、ここを影武者との代やシェリーの待機場所としてフル活用していた。

「ねえ、エミリー」

「何ですか?」

「何かねー  、理事長がお父様だからわたくしの首席は偽りだー! とかヘンな噂が流れてるって友達から聞いてねー、複雑な気分なんだよお」

その噂、わたくしが流してますが……

「そう。それはけしからんな! でも気にする事はありません。シェリー様には多くのお仲間がいますし、堂々と振る舞えば良いのです」

「う、うん、でもね……先生に當てられて答えられない事があってね。だからわたくしの実力を疑う人もいるんだなって思うの」

「まぁ、授業けるのが苦痛ならポピーと代わっても問題ないですよ。差し當たりのない授業とかお晝休憩や放課後だけ楽しめば、そんな不安も無くなるでしょう」

「そんなに代わって良いの? でもそれじゃ退屈過ぎる! それに授業についていけなくなるよ?」

「お勉強なら、わたくしが教えて差し上げますわ。貴族院の卒業生ではないけど、地方のまぁまぁのトコ出てますから。あとは退屈凌ぎですねー」

シェリーは天然なところもあるけど基本的に素直で良い子だ。信頼してるわたくしの言う事もよく聞く。

まぁ相手は十三歳のだからね。懐し易い。

「お晝ご飯を食べてポピーと代したらお晝寢でもしましょうか。わたくしも事務仕事を仰せつかっておりますし、一緒にいられないので」

「うーん、どうしよっかなー、また先生に當てられるの嫌だし……それに午後からの授業って眠いんだよねー」

「だったらお晝寢が一番です。気持ち良いしスッキリしますよ。奧方様には緒にしときますから」

「う……ん。じゃあ、今日はそうする」

よし、それで良いよ。楽に過ごしましょう。影武者が居るから大丈夫。何も心配する事はないわ。

わたくしは墮落の道へとい出した。

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