※ジェラール視點

「殿下、ソフィアは大當たりですよー」

バルナバは開口一番、そう口にした。

「そうか。それは良かったな」

「はい、園蕓の知識や技が素晴らしいです。アニエス牧場はペチェア島で最もかな土地になりますよ！」

ビソンの人選だ。私も彼と聞いてし戸ってはいた。だが、いつまでも収監する訳にはいかないだろう。

恐らく彼は何の罪もない。しいて言えば、何かを知ってるのかもしれないが……。

「ソフィアと面談されましたよね？」

「ああ、したさ」

數日前、監獄を視察した後、面談室に彼を呼んで話をした。平民とはいえ、あの方に仕えていた使用人だ。凜として気品があった。

「君を出獄させる。だが、島からは出られない」

「心得ております」

「ある令嬢の世話を頼みたい。君の能力を発揮できる場所だ」

「囚人であったことは大丈夫でしょうか？」

「問題ない。それに私は貴を囚人と思ってない。更に言えば、ある令嬢とは流・刑・の・・だ」

彼は一瞬、驚いた表を見せたが、直ぐに冷靜を取り戻した。

「かしこまりました。一杯盡くさせて頂きます」

「うむ、宜しく頼む」

「殿下、一つお聞きしても宜しいですか？」

「何か？」

「囚人と直接、お話されるのですね。私以外もでしようか？」

「そういう方針だ」

「では、あの方にもお話されましたか？」

「暫くは會ってないが、近々、訪問を考えてる」

「元気でお過ごしでしょうか？」

「私の部下が接見してる。元気そうだ。君のことも話したらしいが『よしなに頼む』と伝言されたよ」

「そうですか……」

君を再び、あの方の世話をさせるつもりはない。そう付け加えようと思ったがココロに仕舞った。

「殿下、ではそろそろアニエス様とも面談されては如何ですか？」

「バルナバ、次に面談する人は既に決めている」

「はて、どなたでしょう？」

「監獄の特別室にいる方だ」

「あ……」

國王陛下の弟君であるルーク様の存在は勿論、彼も知っている。元々、特別待遇で今のアニエスの屋敷で暮らしていたのだ。そして、バルナバは専屬の監視役だった。

「あの方と私が接するのは危険だが……」

「薄殿ですね。そう言えばソフィアと牧場で二人きりにしても宜しいのですか？」

「ビソンに抜かりはないだろう。ブリスは要注意人でマークしてるからな」

「難しいことは分かりませんが、殿下は政局に巻き込まれる様なことはしないでくださいね。だって、あの方の二の舞になりますよ？」

「……分かってるさ」

數年前、特別待遇だったルーク様を慕って、王都からかに接見しようと島を渡る貴族が多くいたらしい。このままでは國がれると判斷したルーク様は、自ら監獄へおりになったのだ。

その話を聞いて、他人事ではないとじた。我が兄ケヴィンが國王になった時、同じ現象が起こりうるのでは……と。

私は現狀のままで良い。國王になる気もない。だから、どう立ち振る舞えばいいのか教えてほしいのだ。あの方に──