《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》37. 運命
※ジェラール視點
コツン、コツンと監獄の地下をビソンと歩く。私は國王陛下の弟君であるルーク様と面談するために大禮服を著てんでいた。
「殿下、二年ぶりですね」
「そうだ。私があの方と接するのは余り宜しくないとの判斷で、會わないでいたが……」
「方針の転換でしょうか?」
「教えを乞いたいのだ」
「教え……ですか」
それ以上、ビソンは何も言わなかった。言わなくても理解してるのだろう。彼は賢い。そしてルーク様を尊敬している。
「ビソン、まだ諦めないのか?」
「はて、何のことで?」
「クーデターだよ。私が知らないとでも?」
「ははは……流石は殿下。そう思っても肝心の方にその気がないので諦めかけていますよ」
「そうか」
「ただ、殿下とお會いすれば、お考えが変わるかもと、若干の期待をしております」
「私もそ・の・気・は・な・い・、とだけ言っておこう」
だから教えを乞いたいのだ。
特別室の前で専屬の執事が待っていた。彼は王都から仕えていた人だ。
「ジェラール殿下。どうぞ、此方へ」
「うむ」
三重の扉を開けて中へる。私は一対一をんでいたので、最後の扉で執事とビソンは退席した。
あの方は私に背を向け、花に水やりをしている。
「お久しぶりです。ルーク様」
「……ジェラールか」
「はい」
「お前が訪ねてくるとは、よっぽどのことだろうな。何かあったのか?」
「不安でなりません」
「ほう」
「二十年後の私は貴方の様になってるのでしょうか?」
彼はゆっくりと振り返り、笑みを浮かべた。白髪の髭が隨分とびているのに若干の驚きを覚えたが、眼の鋭さは変わっていなかった。
「特別室にりたくないのか?」
「一生をこの島に捧げたいのです」
「ケヴィンではそうもいかないだろうな」
「押し寄せる貴族を島にれない様にします」
「それは無理だ」
「現に今はそうしてます」
「訪れる客はお前を擔ごうとする者ばかりではない。殺しを目的とする者も居る。いくら警備を強化したところで必ず掻い潛って來るだろう」
「いや、しかし……」
思わず言葉に詰まった。では、私は運命を変えられないのか? 自分の未來は『監獄』だと言うのか?
「生き殘ることに意義がある。この特別室は完璧な要塞だ。安心出來る。それに慣れれば快適な生活だぞ? ははは……」
「今の私には心構えが出來てません。國をしたくはないし命も守りたい。だからと言って…」
「まだ先は長い。儂も此処へ至るまで様々な葛藤があった。焦るな。考えて、考えて、考え抜け」
そうは言っても貴方は答えを出している。その答えに納得したいから“教えを乞いたい”のだ。だが、自分で探せと仰る。仕方ない……出直そう。
「私なりに答えを見つけて、またお伺い致します。ルーク様」
退席しようとしたら思わぬ言葉が耳にった。
「あ、そう言えば島に王都から面白い男が來てるそうだな」
「……罪人の監視ですか?」
「うむ、彼は儂の命を狙ってるらしい。未だにな。これが王都のやり方だ」
「そうはさせません。ご安心ください」
「まあ、彼を懐すれば運命が切り開けるかもしれんぞ。但し、慎重にな」
ブリスを味方に? 仰る意味が……?
私はルーク様と面談して益々悩むことになった。
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