《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》38. 寶の山

「あ、此処にもあった!」

わたくしは驚いている。この島に、これほどの薬草が眠っているとは思わなかったからだ。子供の頃からよく山へ登って薬草や山菜採りを楽しんでいたけど、今まで経験がないくらいの収穫に興が冷めやらない。

「アニエス様、よく見つけますね」

「うん、バルナバさん。この島は寶の山よ!」

今日は朝からペチェア島の東南にある小高い山へ薬草や山菜採りに出掛けていた。薄さん、バルナバさん、コリンヌ、それに島の役人が五人も居る。それと、番犬キースもね。

「僕はよく分からないのですが……」

「何だ。お前、知らんのか?」

「むむっ、監視殿はご存知なんですか?」

さんはカゴにった薬草を取り出し解説する。

「ふん。この可憐で青い花がブラッククミンだ。鎮痛や抗菌作用がある。“祝福の種”とも呼ばれている。そして、この小ちゃい黃の花がスベリヒユ。食用でもイケるが蟲刺されに効用がある。にしても、こんなに多く自生してるとは驚きだな」

確かにそう。これ以外にも向け生薬のチェストベリー、や気管の炎癥を抑えるオルガノなど、この島に育まれている植は素晴らしいと思った。

「へえー、詳しいんですね」

「まあな、特殊部隊にいたから山で食べられるものは見分けがつく」

「あ、僕も山菜なら分かりますよ!」

別のカゴにはキノコや三つ葉、アスパラソバージュなどが一杯っている。

「キノコは毒もあるんだ。素人が勝手に採るんじゃないぞ」

「むむっ、そーですね。分かりましたよ。僕は指示されたモノだけをひたすら採りますから!」

バルナバさんはちょっぴりはぶてていたけど、それを無視して別の話をする。

「にしてもだ。この薬草は島の財源になるかもしれないな。そのために役人も來てるんだろ?」

「え? いえいえ、殿下は財源と言うより島の醫療に役立てたいとのお考えですよ」

「ふーん。島の醫療ねえ。だが、大量に作れば本土へ売ることも出來るよな」

「そ、そうかもしれませんが……」

「これはアニエスにかかってるぞ」

「はい?」

そう言われるとプレッシャーにじてしまう。

島の財源ですか。正直そこまでは考えてなかったよ。それにお薬作るにはそれなりの人手が必要だしね。でも、わたくしの知識がしでもお役に立つなら島のために頑張ってみようかしら……。

そうポジティブに捉えることにした。

「まあ、そこは今後の話ということで……あー、もうお晝ですねー! 皆さん、食事にしましょうー!」

バルナバさんの掛け聲でコリンヌが用意していたお弁當を皆んなに配っていく。

「お? これはベルティーユが作った弁當か?どれどれ!」

「監視殿、味しいですねー」

「ん? まあまあだな!」

誰よりも薄さんが味しそうにがっついている。それをバルナバさんが微笑ましくも冷靜に見てる姿が印象的だった。

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