《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》39. 馬鹿

※ブリス視點

俺は二度目の報告で王都へ舞い戻って來た。すっかり島の生活に馴染んでいたから前ほどの嬉しさはじられない。

「早めに切り上げてソフィアのこと、調べねば」

どうも彼が気になっていた。記憶の片隅に殘っているのだ。これが何なのか突き止めねば俺は彼してることになる。

「やはり思い違いだった」と、答えを見つけたい。

々焦った俺は自宅へ向かわず、その足でケヴィン様に面會を求めた。だが、それが失敗の元だった。何と、宮殿のダイニングホールにはカリーヌ嬢が同席していたのだ。

いかん。面倒くさいオンナが居た。焦って行したからだ。俺としたことが……。

「ブリスーー! ちょーど良かったあー!」

「こ、これはお嬢様。お久しぶりです……」

ケヴィン様と婚約者であるカリーヌ嬢は殿下が予め島から送っていた魚料理に舌鼓を鳴らしている。

「ねえ、お姉様はしょんぼりしてるう? 後悔してるう?」

「おいおい、カリーヌ。いきなりそんな質問しなくても」

「アンタは黙ってて! ブリスに大事なお話があるんだから!」

アンタって? 王太子だぞ?

ケヴィン様が俺をチラッと睨んでいる。『何故このタイミングで來たんだ? 彼に余計なこと言うな』と、そんな表だ。

さて、どう答える? 『囚人島で牧場や農場を営みながら皆んなと楽しく過ごしている。俺もな』とは言えない。

「罪人らしく慎ましい暮らしをしております」

「だーかーらー、質問の答えになってなーい!」

ふん。このオンナは何にも変わってないな。とてもじゃないが王妃は務まらないだろう。

「しょんぼりはしておりません。後悔もしてないと思われますが」

その答えに彼は満足してない様だ。

「なーんだ。つまんないわ。わたくしの“影武者”にしてあげるって言ったら喜ぶと思ってたのにー」

か、影武者だと? こいつは馬鹿か?

「お姉様はわたくしのこと、恨んでるのかなあ?」

「……いえ、何も語りませんので」

「ふーーん。じゃあ、王都に戻っても良いよって伝えてくれる?」

「……は?」

「だーかーらー、影武者としてー!」

本気で言ってるのか?

俺はケヴィン様に目を合わせ問いかける。だが彼は目を閉じて首をゆっくりと橫に振った。

「お嬢様、影武者とはいかなることでございましょう?」

「島から出たければ、わたくしの代わりを務めなさいって言ってるの! 面倒な公的行事だけね!」

いや、いくら雙子だからってバレるだろう。それとも王室公認か? だが、ケヴィン様は拒否してるぞ。つまり、馬鹿オンナの単なる願なのか。

くだらん! 出直した方が良さそうだ。

「ケヴィン様、報告は改めて執務室で……」

「ああ、後で行くから待っててくれ」

「ははっ」

これは思ったより酷い。カリーヌ嬢では陛下は認めないだろう。だとすると……。

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