《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》41. 黒髪

※ブリス視點

「では、ルーク様に接見して參ります」

俺は陛下から『弟君へ宛てた書簡』を持たされた。これで堂々と會うことが出來る。いや、別に會いたくはないが……。

「うむ、隙あれば殺してまいれ」

「は?……それは流石に無理かと」

「お前は策を考えてないのか?」

はい、何も。と、この場で言えるほど度はない。咄嗟に思いついたことを口にする。

「先ずは健康狀態と世話役が誰なのか確認します。その世話役を通じて毒盛りを仕掛けようと」

「ほう。毒殺か」

「囚人島にはトリカブトが自生しております」

「いいだろう。その世話役は彼の執事と使用人だ。私が一緒に島流ししたからな。今でも覚えてるぞ」

「では、監獄の中に?」

「はて、そこまでは知らん。だが、そうだろう。でないと世話できんからな。確か執事の名はカスタニエ、使用人は……ソフィア。ジェントリのソフィア・ラサーニュだ」

──えっ?

『な、何だって!? あのソフィアがかっ!?』

その瞬間、俺の記憶が鮮明によみがえる。十年前、特殊部隊に配屬されたばかりのことだ。ルーク様を捕らえるために軍隊の応援で宮殿へ向かった俺は、既に確保されていた弟君を遠巻きに眺めていた。そこへ走って逃げるが目に止まったのだ。

「ソフィアは関係ない! 逃げろー!」

「おい、その娘を捕まえろー!」

つ、捕まえる? 何故こんなを? いや、考えてる暇はない。命令に従うのみだ!

俺は走って追いかける。こんななど直ぐに追いついて、そのか細い腕をガシッと摑んだ。

「お前を連行する。抵抗したら殺すぞ」

は怯えていた。俺を見ようともしない。ただ、項垂れて諦めた様子だった。

……綺麗な黒髪だな。

「よーし、良くやったぞ。お前の名は?」

「は……特殊部隊のブリスでございます」

後ほど、國王陛下にねぎらいのお言葉を賜った。俺は陛下にお會いできてした。この方のために命を捧げようと思った。以降、陛下から直接命令をけることになる。何人か敵対する貴族を闇に葬ったものだ。

そうか、あの時の娘がソフィアだったのか。俺は別に彼してる訳ではない。やはり思い違いだったのだ。

気になっていた答えが見つかって安心する。さて、頭を切り替えよう。

「陛下、宜しければ書簡の容を教えて頂けませんか?」

使者としてある程度は把握しておきたい。

「うむ、まあ大したことは書いてない。國家安寧のため、犠牲になられて申し訳ない。おは如何か? 必要なものは何でも送るから遠慮なくブリスに申し出よ……とな」

なるほど。社辭令で様子見か。

「かしこまりました。お役目果たして參ります」

複雑な心境だ。暗殺などする気もないが、このまま何ごともなく時が過ぎるほど甘くはないだろう。

いっそ、俺も島・流・し・されるのも良いかなと思ってしまう。牧場であいつらとのんびり過ごすのも悪くはない……。

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