《売れ殘り同士、結婚します!》20話 お家デート
*****
朝になり、私はの鈍痛を抱えつつじとりとした視線を送りながら自分で用意した朝ごはんを食べていた。
向かいでは必死に私の機嫌を取ろうとしながら同じように朝ごはんを頬張っている冬馬の姿。
「悪かったって」
「もー……」
「だってしずくがあんまりにも可すぎるから我慢できなくて」
「だからって夜通しは聞いてない!結局ご飯も食べられなかったし……」
結局あの時間が夜通し続いたため、何も食べていなくて気が付いたら朝方だった。だからほとんど眠れてもいないのだ。
「わかった。今日しずくの食べたい店に行こう。なんでも食べていいよ」
「そういう問題じゃないの!」
食い意地が張ってると思われているのか、確かに食べることは好きだけれどそれはそれで腹が立つ。
子どもじゃないんだから、食べで釣れると思ったら大間違いだ。
せっかくの同棲初日。冬馬と一緒にいられるのがそもそも久しぶりだったから、私は冬馬にぎゅっと抱きついてたっぷり眠りたかったのに!
冬馬は艶も良くなっているような気がするけれど、私は寢不足でクマが酷いのもなんだか解せない。
食べ終わって食を洗おうとすると、冬馬が私の分も洗ってくれた。
「……ありがとう」
しかしまだ私の機嫌が治らないことにしゅんとした様子の冬馬が、私と視線を合わせて覗き込んできた。
「……昨夜、嫌だった?気持ち良くなかった?」
と存在しないはずの立ち耳を垂れさせながら聞いてくる。
叱られた犬のような表に、グッと心が摑まれたような気がしてそれ以上文句は何も言えなくなってしまった。
「……別に嫌だったわけじゃないし、その……気持ち良かった、けど……」
「けど?」
「ただ、私は同棲初日だから冬馬とゆっくり一緒に過ごしたり、眠りたかっただけで」
決してあの時間が嫌だったわけじゃない。大好きな人にも心も求められて嫌な人なんているわけがない。
ただ、しでいいから私の気持ちも聞いてしかっただけだ。
し私のわがままも聞いてもらいたかっただけだ。
噓はつけなくて思っていることを伝えると、
「そっか。そうだよな。しずくの気持ち何も聞かず勝手に連れて行った俺が悪いよな。勝手なことして本當にごめん」
と謝ってくれた。
「今日の夜はゆっくり一緒に寢よう」
「うん」
「他にしたいことはあるか?」
「んー……もし時間あったらだけど、一緒に家で映畫見たい!」
「じゃあ急いで仕事終わらせてくるから、後で見たいもの一緒に探そう」
「うん。ありがとう」
お禮を告げると、冬馬は幸せそうに微笑んでくれた。
確信犯なのかただ用意周到なだけなのか、冬馬は今日は午前休をとっているらしい。
午後からクライアントとの約束があるらしく、それに間に合えば今日は大丈夫なんだとか。
もし遅くなって映畫が見られないならそれはそれでいいや。どうせこれからいくらでも一緒の時間を過ごせるのだから。
「ん?どうした?」
「ううん。幸せだなあって思って」
「ははっ、俺も」
些細な會話で笑い合えるのも、嬉しいもの。
午後になって冬馬を仕事に送り出すと、気合をれて買いに行ってから掃除を進める。
ロボット掃除機がリビングを綺麗にしてくれるから、私は寢室と自分の部屋、あとは水回りの掃除に明け暮れる。
それが終わった後、いい合に時間が経過したので夕食の準備を始めた。
昨日は外食してしまったから、今日からしっかりと自炊しよう。
冬馬の喜ぶ顔を直接見たい。
作り置きの中でも気にってくれているビーフシチューを作ろうと、丁寧に下処理してシチューを煮込む。
それだけじゃ足りないだろうから、大葉とチーズを巻いた豚にを付けて油できつねになるまで揚げる。
副菜をいくつか用意して作り置きしておいて、お味噌を最後に作って終了。
映畫を見ている間はアイスでも食べようか。
冷凍庫の中を確認して楽しみが増える。
まだ冬馬が帰ってくるまでは時間がありそうだからし休憩しよう。
甘いカフェオレを淹れて、ソファに腰掛けてテレビをつける。
ニュースを見たり、バラエティ番組を見たり。
楽しいけれど、やっぱり冬馬と一緒に見る方が楽しい。
この蕓人さん、昔から冬馬が好きだったよなあ、とか。この俳優さんが出てる連続ドラマ、この間冬馬が録畫して見てるって言ってたよな、とか。
テレビを見ながらも浮かぶのは冬馬のことばかりで、どれだけ冬馬のことが好きなんだとそんな自分に呆れて笑ってしまう。
今のうちにお風呂も済ませちゃおうとお湯を溜めてゆっくりして上がると、そろそろ冬馬が帰ってくる予定の時間。
特に連絡は來ていないから、殘業も無いのだろう。
「っと、ご飯溫めなきゃ」
スキンケアもそこそこに、おかずやお味噌を慌てて溫める。
それから十五分くらいして玄関の鍵が開く音がして、エプロンをしたまま走って迎えに行った。
「ただいまー」
「おかえり!」
「うぉ、びっくりした。出迎えに來てくれたのか?」
頷くと、嬉しそうに抱きしめてくれる。
「今日は冬馬の好きなビーフシチュー作ったよ」
「マジ?やった。楽しみ」
冬馬が寢室で部屋著に著替えている間に食事を並べ、お茶をコップに注いだところで冬馬がリビングに戻ってきた。
「うわ、うまそう」
キラキラした表を見て、単純だけど私まですごく嬉しくなる。
いただきます、と両手を合わせて食べ始めると、旨い旨いと言ってすぐにぺろりと完食してくれた。
作った甲斐があるなあと思いながら洗いを済ませている間に冬馬がお風呂にり、上がってくると二人で約束の映畫を見る。
一緒に見ようと午前中に話し合って決めていた、有名なハリウッドのアクション映畫。
映畫も好きだけど、好きなハリウッドの俳優さんが一致しているためすぐに決まった映畫。
ハラハラするほどリアルなカーアクションがかっこよくて、見ているだけで心臓がバクバクする。
冬馬と寄り添うように手を繋ぐものの、要所要所で驚いて肩が跳ねたり展開に切なくなったり。
映畫館で見る臨場は無いけれど、好きなジュースとお菓子を用意して盛り上がりながら見る映畫はとても楽しい。
見終わると、爽快で満ち溢れていた。
「面白かったー」
「な。久しぶりに見たけどやっぱ面白い」
「冬馬これ前にも見たことあるの?」
「あぁ。しずくは初めて見たのか?」
「うん。見よう見ようと思ってたけど、一人で見るのはなあって思ってたから」
「確かに。これは誰かと一緒に見た方が絶対面白いよな」
「うん」
その後はこれも見たい、あれも気になってる、とたくさんの映畫の名前が上がり、今後も定期的に映畫鑑賞の時間が設けられそう。
とはいえ明日からは私も仕事。
片付けをして、今日は早めにベッドにる。
「今日はしずくのご所通り、ゆっくりたっぷり寢よう」
「うん、ありがとう」
布団の中でぴったりと冬馬に寄り添いながら、抱き著くようにして眠る。
冬馬の匂いをいっぱいに吸い込んで、ゆっくりと深呼吸すると心が溫かく満たされた気持ちになった。
「……落ち著く。だいすき」
「そんなこと言いながら抱きつかれたら、また襲っちゃいそうなんだけど」
「今日はだめ。私が冬馬を堪能する日なんだから」
「っ……本當、お前確信犯だろ?」
「んー……なにが?」
微睡の中で返事をすると、冬馬が緩く笑う。
「……いや、いいよ。しずくはそういうやつだ。うん」
「ん……?」
嬉しそうな聲に聞き返すものの、冬馬は私の目を塞ぐように手を置いた。
「ん、こっちの話だから気にすんな。俺も大好きだよ、しずく。……おやすみ」
「ありがと……おやすみ……」
すでに瞼は重くなり始めていて、おやすみと返すとすぐに夢の中に意識が引きずられていく。
冬馬とくっついているからか、すごくすごく幸せな夢を見たような気がした。
完璧御曹司が、なぜか私にだけ意地悪をしてきます
真面目な百貨店店員、郁美は、なぜかこの百貨店の御曹司である花園に嫌われ、ことあるごとにいじめられている。しかし、借金苦のためにもこの仕事を辭めるわけにはいかない。 そんなある日、花園に借金の事がバレて、無理やり建て替えられてしまう。見返りに彼は、郁美に身體を差し出せと要求してきて――。 ツンデレ年下御曹司と、長女気質苦労人ヒロインの、身體から始まるラブストーリーです!
8 131妹との日常。
毎日投稿頑張ってます!(大噓) 妹のことが大好きな夢咲 彼方(ゆめさき かなた)。周りからはシスコンだとからかわれるが、それでも妹、桜のことが大好きなシスコン。 「桜!今日も可愛いな」 「えっ!ちょっ!やめてよ!気持ち悪いなぁ」 「がーん…」 「嬉しい… ボソッ」 「ん?なんか言ったか?」 「ン? ワタシナニモイッテナイヨ」 ツンデレ?妹とのハチャメチャ物語。 尚、いつの間にかツンデレじゃなくなっている模様… 月一程度で休みます… 最初の方は彼方が桜のことが好きではありません。途中から好きになっていきます。 あと、作者はツンデレを書くのが苦手です。 毎日投稿中!(予定なく変更の可能性あり) いちゃいちゃ有り!(にしていく予定) 最初はツンデレキャラだった桜ちゃん。 Twitter始めちゃいました⤵︎⤵︎ @Aisu_noberuba_1 フォローしてくれたら全力で喜びます。意味不明なツイートとかします。 本垢ロックされたのでサブの方です… 2018年11月7日現在いいね100突破!ありがとうございます! 2018年12月1日現在いいね200突破!ありがとうございます! 2019年1月14日現在いいね500突破!ありがとうございます! 2019年2月21日現在いいね1000突破!ありがとうございますッ! 2018年11月24日現在お気に入り100突破!ありがとうございます! 2019年1月21日現在お気に入り200突破!本當にありがとうございます! 2019年2月11日現在お気に入り300突破!マジでありがとうございます! 2019年3月28日現在お気に入り數400突破!!ウルトラありがとうございます! 2019年5月9日現在お気に入り數500突破! マジでスーパーありがとうございます!!!
8 76星乙女の天秤~夫に浮気されたので調停を申し立てた人妻が幸せになるお話~
■電子書籍化されました レーベル:アマゾナイトノベルズ 発売日:2021年2月25日(1巻)、4月22日(2巻) (こちらに投稿している部分は「第一章」として1巻に収録されています) 夫に浮気され、結婚記念日を獨りで過ごしていた林原梓と、見た目は極道の変わり者弁護士桐木敬也が、些細なきっかけで出會って、夫とその不倫相手に離婚調停を申し立て、慰謝料請求するお話。 どう見ても極道です。本當にありがとうございました。 不倫・離婚がテーマではありますが、中身は少女漫畫テイストです。 ■表紙は八魂さま(Twitter→@yadamaxxxxx)に描いて頂きました。キラキラ! →2021/02/08 井笠令子さま(Twitter→@zuborapin)がタイトルロゴを作ってくださいました。八魂さまに調整して頂き、表紙に使わせて頂きました~ ■他サイトに続編を掲載しています。下記をご參照ください。 (この作品は、小説家になろうにも掲載しています。また、この作品を第一章とした作品をムーンライトノベルズおよびエブリスタに掲載しています) 初出・小説家になろう
8 63ニート16歳の俺が、戀愛なんて間違っている
久々に、學校に行ったらクラスメイトから「おまえいたっけ?」といわれたけど久々だから仕方ないと思いつつ內心傷ついているのに誰も気が付いてくれなっかったけど、「やっほう、お久―」といわれて、(付き合いてぇぇえええ!!!)と思い俺は、、、、、
8 66甘え上手な彼女
普通の高校生、八重高志(やえたかし)は新學期に入って間もないとある日、同じクラスの宮岡紗彌(みやおかさや)に呼び出される。 「単刀直入に言うけど、付き合って」 「えっと、どこに付き合えば良いの?」 クールで男を寄せ付けない、そんなヒロインが、主人公にだけは甘えまくりの可愛い女の子。 そんなヒロインに主人公はドキドキの連続で毎日が大変に!? クールで甘え上手なヒロイン宮岡紗彌と、いたって普通な高校生八重高志の日常を描いた物語!! 2018年6月16日完結
8 160やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】
【祝!2022/7/8にて第10回ネット小説大賞小説賞受賞 書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】 辺境伯の息子のリッドは、突然思い出した『前世の記憶』と『今世の記憶』が混じり合い困惑する。 だが、前世の記憶を思い出したおかげで彼の言動は、家族を救うために大きく変わっていく。 果たしてリッドは家族を守り、未來を変えることが出來るのか!? あらすじ 突然、前世の記憶を取り戻した辺境伯の息子『リッド・バルディア』は、この世界が『ときめくシンデレラ!』略して『ときレラ!』というやり込み系の乙女ゲームの世界に酷似している事に気が付いた。同時にリッドは、自分が悪役令嬢の一派に加わる脇役(悪役モブ)であること。また、所屬した一派の悪事に加擔した結果、悪役令嬢と一緒にどのルートでも粛清、追放、処刑、斷罪される運命であることを思い出す。 かくして、リッド・バルディアは前世の記憶を活かしつつ、やり込み要素満載だった乙女ゲームに酷似した世界を真っ當に生きる為……そして、大切な家族を守る為に奮闘(無雙)する日々が始まった。 追記 【2022年7月8日付 ネット小説大賞小説賞受賞 書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】 R15指定:殘虐なシーンなどはありませんが、念のために指定しております(2022/03/07) 小説投稿サイトのカクヨム、アルファポリスにも投稿しております。 カクヨム実績:2022/3 総合・異世界ファンタジー(日間・週間・月間※1)ランキング1位実績有 ※1=月間は異世界ファンタジー部門のみ1位実績有
8 66