《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》7話 すごい、まどーぐ
7話
「な、なぜ……こんな……こんな酷い事ができる……くぅ……くそぉ……なんて、無力……無力……無力……ぁあ……っ、うぅ……」
溺れるほど涙を流しているサリエリに近づく影が一つ。
その黒いローブをまとったリッチは、サリエリを見下ろして、
(勇者側がクソで、魔王側がマシなヤツ……まあ、これも異世界転生モノじゃあ、あるあるだな。もっと言えば古典か)
「ぅ……ラムド、か……こんなところで……な、何をしている……貴様には……我が王を……守る……役目が……私は……もう――」
「治療、ランク8」
「うぅ……なっ、何……バカな、ランク8の治療魔法だと?」
ボロボロだったが、淡いに包まれて、ほぼ一瞬で完治した。
サリエリは、切り傷一つない自の両手を見ながら、
「ら、ラムド、どういう事だ。召喚士の貴様に、なぜ、これほど高度な治療魔法が使える」
サリエリの言葉を聞き流しながら、そのリッチは、心の中で、
(……つっても、魔王側が全員、お花畑主義者って訳でもなさそうだな。今、俺が擬態している、このラムドってリッチとか、心底から人間を下等種扱いしているし)
「おい、聞いているのか、ラムド! ぃ、いや、今は、そんな事を追及している場合では! とにかく我が王を……ぁ、その前に」
そこで、サリエリは、先ほどまで、子供たちが立っていた場所にかけより、
灰一つ殘っていないその場で両膝をつき、
「すまない……守ってやれなくて……無力で……すまない……」
天に祈りをささげた。
心は、王を心配し、焦っている。
しかし、祈るぐらいはしてやりたかった。
また、一筋の涙が流れる。
そんなサリエリに、
「さっきのガキ共なら、勇者の魔法が當たる前に、外の小屋へ、転移魔法で送っておいたぞ」
「……は? 転移魔法? ど、どういう……」
「誰も死んでおらんと言っておる」
「バカな……子供とはいえ、數百の生命をいっせいに転移させることなど……いや、というか、そもそも、お前にそんな魔法は――」
「し面白い魔道が召喚できてのう。ちょいと変わった魔法も使えるようになったんじゃ。詳細は教えてやらんがのう」
「面白い魔道って、転移や治療ができるようになる魔道など聞いた事……って、そ、それも今はいい! ほ、本當に全員生きているのか?」
「ああ、間違いない」
「……そうか。すまない。禮を言う。しかし、なぜ? お前は、人間を軽視していたはず」
「使えるモノは使う。実験道は何でも構わん。ネズミでも、人間の子供でも。それだけの話じゃよ」
言いながら、センは心の中で、
(もちろん、お花畑脳って訳じゃねぇぜ。ああいうのを見逃した際に善屬系の魔法威力が下がってしまうアリア・ギアス(自分に課したルール)をかけているってだけの話)
下がると言っても、自分の手で悪を行う訳ではないため、もちろん、その減値は微々たるもの。
デジタルに言えば、ランク500以下の善屬魔法の威力が0.001%ほど下がるだけ。
(心底から、終わりたいとは思っているが……まだ終われない以上、なるべく能力は下げたくねぇ……まあ、それだけのこった)
『それに』と、心の中でつけたして、
「あと、ちょうど、ぬしに恩を売りたかったんじゃ。ハイエルフの羽がし足らんので、今度、集めておいてくれ」
「なるほど、そういう事か……本當に、お前は、召喚魔法にしか興味がないのだな」
「それで何か問題あるかの?」
「いや、ない。……ハイエルフの羽だったな。必ず用意しておく」
スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★
西暦2040年の日本。 100人に1人の割合で超能力者が生まれるようになった時代。 ボッチな主人公は、戦闘系能力者にいじめられる日々を送っていた。 ある日、日本政府はとあるプロジェクトのために、日本中の超能力者を集めた。 そのタイミングで、主人公も超能力者であることが判明。 しかも能力は極めて有用性が高く、プロジェクトでは大活躍、學校でもヒーロー扱い。 一方で戦闘系能力者は、プロジェクトでは役に立たず、転落していく。 ※※ 著者紹介 ※※ 鏡銀鉢(かがみ・ぎんぱち) 2012年、『地球唯一の男』で第8回MF文庫Jライトノベル新人賞にて佳作を受賞、同作を『忘卻の軍神と裝甲戦姫』と改題しデビュー。 他の著作に、『獨立學園國家の召喚術科生』『俺たちは空気が読めない』『平社員は大金が欲しい』『無雙で無敵の規格外魔法使い』がある。
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