《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》37話 たとえばの話だ。あくまでも。

37話

――別に、だから何だって話だろ?

まさか、だからって、俺を善人扱いする訳じゃねぇよな?

ありえねぇよな?

ムカつくやつに悪人が多い。

そんなもん、ただの當り前だろうが。

王族だったら、偉そうな貴族にムカつかねぇとでも?

そいつは、いったい、どんな勘違いだ?

俺は、別に、青が赤に見えている訳じゃねぇぜ?

「ムカつくやつは、簡単に殺したくなかった。それだけの話だ。それ以上でも、それ以下でもねぇ」

「わたしのこと……」

「あぁ?」

「ムカついていたでしょ」

「……」

「なんで……何もせずに……殺そうとしたの?」

勇者は、歯噛みした。

気分が悪い。

心底から思う。

なんで、俺は、こいつを殺しちゃいけねぇんだ。

――こういうヤツをこそ、俺は殺さないといけないのに――

「……答える義理がねぇ」

そう答えるのが、一杯だった。

たとえば、の話をしよう。

あくまでも、『たとえば』の話だが、

優し過ぎる人間がいたとしよう。

あまりにも優しすぎて、心が壊れている人。

何度も言うが、あくまでも、たとえば、だ。

特定の誰かについて語っている訳じゃない。

たとえば、

その手で救える數は限られていると理解できるだけの頭があって、

どれだけ頑張っても、この世界は穢れた罪の上にり立つ樓閣でしかないという、

その事実が、『本當の意味』で理解ができてしまうほどの頭があって、

けれど、現実という理不盡の重さに耐えられるほど『強く』はなくて、

その上で、

こんな、世界中のいたる所で不幸が蔓延しているような、

あまりにも救われない世界に生まれてきた、あんまりにも優し過ぎる者は、

常軌を逸して『心』が優し過ぎるあまり、ズタボロに壊れてしまった人は、

いったい、どうなるのだろう?

何を思い、何をするのだろう。

――これ以上、苦しむ前に、

――せめて、苦しませずに……

あくまでも、

たとえば、の話だ。

特定の誰かの話はしていない。

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