《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》50話 俺のどこが、ヤクザに見えんだ、ぼけぇ、ごらぁ、かす、殺すぞぉおおお!!

50話

「この俺を放置プレイしようって? はっ。チ○カスが、こびりつきやがって……喜べや、クソの源。お前の未來は全滅した。俺を相手にイキった代償は高くつくって事を教えてやる。お前が持つモノを全部壊してやるよ。――お前自の絶と苦痛は、最後の最後のお楽しみだ。苦しめて、苦しめて、苦しめてから殺す。覚悟しておけ」

『どうにか、手をださせられないものか』と煽ってみたが、

「手は出せないさ。……有する『力』云々は関係なく、お前は、俺に手を出す事ができない。代紋を背負うというのは、そういう事だ」

「勘違いも大概にしろや、ボケ。この俺様の、どこがヤクザに見えんだよ、目ぇ死んでんのか、てめぇ、あぁ、ごらぁ」

エッジのきいたドスをきかせる勇者を見て、

サーバンは、昔の自分を思い出しながら、

「ふふん、なかなか気合いがっているじゃないか。將來は、いい極道になるぜ、おめぇ」

「違う、っつってんだろうがぁ、ぼけぇ!」

「ゲイド、さっさと連れていけ。また逃げようとしたら、その時は、しだけ手荒に扱う事を許す」

「わかりやした」

返事をして、セイラを捕まえるゲイド。

手際良く、セイラの口の中に、汚い布切れを押しこんで黙らせ、両手をヒモで縛る。

その様を見て、

「おい、こら、そこのカス、俺の命令なく、勝手にくんじゃねぇ! 話は、なんも終わってねぇぞ!」

勇者は、そうびながら、『しまった』と、心の中で舌を打つ。

最悪の時は、セイラに、『こいつらを殺せ』と命令をさせようと思っていたのだ。

『勇者に命令できる立場』にあるという事をセイラに気付かせずに事を済ませようとをかいた結果が現在。

そこで、火龍會のサーバンが、

「二つだけ、忠告だ。かみつく相手は選べ。火龍會はでかい。敵に回すな。以上だ」

去っていこうとするサーバンの背中をギリっと睨みつけてから、

「だから、勝手に終わらせてんじゃねぇ! 待て、っつってんだろぉ!」

言って、勇者は、飛び出す。

このまま連れていかれるのはヤバい。

何がヤバい?

何が……

そりゃあ、

いろいろあんだろ。

々とヤバい。

々。

そう、々だ!

(――それなりに煽ったっつぅのに、このサーバンとかいうクソボケ野郎、どこまでも冷靜に対処しやがる。ありねぇだろ、なんだ、あいつ。、死んでんのか? くそったれ、どうする、マジで、どうしたらいい……この狀況だと、今の俺は何もできねぇ!)

力を自由に振るう事ができない。

それが、ここまで鬱陶しいとは……

――いや、分かっていた。

分かるさ。

その程度の想像力くらいはある。

だから、さっさと『人』から離れようとしていたのだ。

こんな事になる前に、さっさと――

「確か、ゲイドだったか! おい、そこのカス二號! 呼んでんだよ! とりあえず、そいつを放せ! まずは、そこからだ! おい、こら、聞いてんのか、ハゲ、ごらぁ!」

ちなみに、ゲイドはハゲていない。

むしろ、ちょっと長髪。

二十代前半の、細で、顔つきが丸っこい、どこにでもいるチンピラ。

勇者は、ゲイドからセイラを奪い返そうとした――が、

「いい加減にしろ、小僧」

後ろから、肩を摑まれて、足を止められる。

サーバンの大きな手にグっと力が込められる。

痛みはない。

この程度でダメージは負わない。

しかし、イラつく。

勇者のコメカミにグゥっと青筋が浮かんだ。

「誰にってんだ、ダニ風がぁ!!」

振り払おうとしたが、

(っ……ふ、振り払う事もできねぇのか……ふざけんなぁっ!)

所詮は肩を摑まれているだけなので、悪意とはカウントされなかった。

勇者は、仕方なく、自分の肩を摑んでいるサーバンの指を丁寧にはがそうとするが、

(くっ……力がはいらねぇ。なんだ、これ……ま、まさか……力を込めたら、指を折っちまってルール(暴力行為)に抵しちまうから、か? く、くぅ……はがせねぇ、ド畜生がぁ……)

「ふん、どうやら、お前は魔法特化の魔人らしいな。くく……みたいな力だ」

「てめぇ、ついにはカマ扱いだとぉ……この俺を……よりにもよってぇ……」

頬をピクつかせてそう言う勇者に、下っ端のゲイドが、

「なんだ、その言い草! 同者をバカにするんじゃねぇ、クソガキ! 殺すぞ!」

ゲイドがそうんだのを聞いて、勇者はニヤっとする。

「俺を脅迫したな? くく……悪意、確定! 聖殺、ランク6!!」

バっと、右手を出してぶ。

この一撃で、必ず殺すと決めて、いつもより、上位のランクで魔法を使った。

魔法の『ランク』には、無限に、果てのない深層へと潛っていくという意味がある。

だから、1位が一番上ではなく、

果てなき深層に向かって、どんどん下へ、下へ、下へと下がっていく。

本當は、1000という底があるのだが、

そんなことは、現世にいる者だと、誰も知らない。

ランク5でも人は死ぬ。

數百人をまとめて殺せる。

そのさらに深層へと潛った魔法。

聖殺、ランク6。

――確実に殺した。

そう思った――が、

(ぐっ……な、なんで、だよぉ………………あいつ、俺に『殺す』って言ったろぉが。それが、悪意以外の何だったっつぅんだ……ま、まさか、『俺を本気で殺そうと思い、行に移す』までいかねぇと悪意認定されねぇのか? ……ふ、ふざけやがってぇ……)

「小僧。流石に、今のはヒド過ぎる。ハッタリはリアリティという下地があって、初めて効果を持つ繊細な技。……確かに『ランク6の魔法が使えるのかもしれない』と思わせられたら勝ったようなものだが、そんなもの、いったい誰が信じる?」

「へへっ、アホの俺でも、流石に知っているぜ。ランク6の魔法っていったら、勇者や魔王くらいしか使えない王者の領域だ」

ゲイドは、小憎たらしい顔で、くくくっと笑い、

「ばーか、ばーか! 俺、自分よりバカなヤツ、はじめて見たぜ!」

ちなみに、それなりに有名な『魔王は魔法が使えない』ということすら、ゲイドは知らない。

そんなバカに、現狀、勇者はバカにされているのだ。

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