《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》57話 命乞い
57話
気付いた時には、頬が切れていた。
魔人の腕が、俺の頬のすぐ橫にあって、
魔人の顔が、目と鼻の先にあった。
俺の顔を覗きこんで笑っている。
俺は強い。
最強ではないが、相當なレベルの強者だ。
だから、分かる。
こいつが立つ丘は、決して妄想なんかではなく、しかも、
俺には想像もできないほど高い丘だった。
俺は、自慢の剣をポトリと落とす。
失意で握力がなくなったのは初めてだ。
「グリムアーツ『ソニックフィスト無式』 大サービスで魅せてやった訳だが、どうだい、しでも観えたかな?」
魔人は嗤う。
心底イヤなヤツだと思った。
あんなもの、
見える訳がないだろう。
頬が切れて、が流れて、それが地に落ちてから、ようやく知覚できた。
そういうレベル。
「どうした? そんな、神を見るような眼で俺を見てきて」
「そこまでの想は抱いてねぇよ……」
※
ハルスは、拳をおさめると、サーバンに背を向けて、三歩前に進んだ。
そして、クルリとふりかえり、サーバンの顔を見て、
「さて、それじゃあ、本番を始めようか。ここからは、死闘の時間だ」
聲に重さをじた。
ズシンとのしかかってくる威圧。
酷くピリついた空気の中で、サーバンは、
「ふふ……」
と、笑った。
「どうした、サーバン。何がおかしい?」
「全力で逃げだしたとして、俺は……何秒生きられる?」
「5人いれば、二秒は生きられる。それ以下なら一秒で全員殺せる。いい報を手にれたな。分裂するなら今だぞ。同じ存在値で5人以上になれるなら、二秒以上生きられる。お得な話じゃねぇか。なぁ?」
「は、はは……」
力なく笑ってから、サーバンは、アイテムボックスに手をのばす。
そして、一冊の書を取りだした。
分厚い赤のハードカバーで、
表紙に金糸でサーバンの名前が刻まれている。
それは、
「自己紹介が遅れたな。俺は……こういう者だ」
それは、栄譽の現。
この世界における、數ない、『選ばれた者』である事を証明してくれる勲章。
――冒険者の証。
『冒険の書』
「……だろうな。そうだと思っていたよ。頭も強さも、凡夫にしては、上等すぎる。冒険者になれる。ならば、冒険者にならない理由はない。……なんで、冒険者ともあろうものが、闇社會に沈んでんのか知らねぇが、まあ、人に歴史ありってヤツなんだろう。詮索はしねぇさ。興味もねぇ」
サーバンは、冒険の書をアイテムボックスに戻して、
「――俺は、これまでの人生で、絶対に勝てないと思った存在が一人だけいる。一度も會った事はないが、噂を聞いただけでも、絶対に勝てないと確信した相手。顔を見た事すらないのに、絶対に刃向うまいと心に決めた相手」
「聞くまでもないだろうが、一応聞いてやる。それは誰だ?」
「この國の第一王子。世界最強の冒険者。完された個。神に最も近い超人……すなわち、勇者だ」
「正解だぜ。……そいつには、誰も敵わない」
『毆り合いのタイマンなら、な』と、誰にも屆かない聲で、ボソっと、つけたした。
サーバンは、続けて、
「勇者以外が相手なら、俺は、どんな狀況からでも、逃げるくらいなら、絶対にできるという自信がある。そして、冒険者としての當り前のプライドも持っている。だから、俺は、仮に、『狀況悪し』と判斷して、撤退を考えたとしても、決して、びることなく、己の力だけを信じてく。疑うことなく、全力で、そして、確実に逃げ切る。決して、命乞いなどしない。絶対に……絶対……」
「で?」
「命だけは助けてくれ。まだ死ぬ訳にはいかない。だから、どうか、見逃してくれないか」
そう言いながら、サーバンは、落としてしまった魔剣を拾い、勇者の前に放り投げた。
プライドも、剣も、全て差し出す。
だから、許してくれと、命乞いをする。
「判斷力も合格だ。本當に、なんで、お前が、ヤクザなんざやってんのかねぇ」
言いながら、ハルスは、足下の炎流を見つめる。
改めてみると、凄まじい武。
この世に存在する『全ての剣』の中でも、確実にトップ20には喰い込む一品。
ありえないが、仮に、これ以上の武を隠し持っていたとしても、
これを手放す事が大きな痛手になるのは間違いない。
サーバンは続ける。
「俺はスジ者だが、冒険者だ。……々と事があって、表ではけないが、ウラでの顔はそれなりに広い。使える人間だ。見逃す価値はある。――どうだ」
【書籍化】妹がいじめられて自殺したので復讐にそのクラス全員でデスゲームをして分からせてやることにした
僕、蒼樹空也は出口を完全に塞がれた教室で目を覚ます 他にも不良グループの山岸、女子生徒の女王と言われている河野、正義感が強くて人気者の多治比など、僕のクラスメイト全員が集められていた それをしたのは、ひと月前にいじめが原因で自殺した古賀優乃の姉、古賀彩乃 彼女は僕たちに爆発する首輪を取りつけ、死のゲームを強要する 自分勝手な理由で死んでしまう生徒 無関心による犠牲 押し付けられた痛み それは、いじめという狀況の縮図だった そうして一人、また一人と死んでいく中、僕は彼女の目的を知る それは復讐だけではなく…… 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスにて連載しております 2月12日~日間ホラーランキング1位 2月22日 月間ホラーランキング1位 ありがとうございます!! 皆様のお陰です!!
8 178スキルリッチ・ワールド・オンライン~レアというよりマイナーなスキルに振り回される僕~
友人に誘われてVRMMOを始めた主人公だが、キャラクタークリエイトの場面でいきなり妙な――確かにチートっぽくはあるのだが、行動する上で大きな制約を課せられる――スキルを押し付けられてしまう。これも一興とばかりにそのままゲームを楽しむ事に決めた主人公だが、このユニークスキル「スキルコレクター」は微妙なスキルばかり集める傾向があって……。 ユニークスキルの呪い(?)でポピュラーなスキルの入手がほぼ絶望的となった主人公は、否応なく道を外れたプレイを強いられる。清々しいまでに開き直った主人公の行動に振り回される運営スタッフ。そしてゲームの進み方は、運営スタッフの予想から徐々に外れ始める……。 殘酷描寫とR15は保険です……多分。 少し短めの話が多いです。 書籍版(全一巻)とコミカライズ版が幻冬舎コミックス様から、それぞれ11月29日と24日に発売になりました。コミカライズ版2巻は7月24日発売の予定です。電子版も同時発売です。
8 149魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
放課後の部活。俺は魔法陣をただ、いつもどうり描いただけだった。それがまさか、こんなことになるとは知らずに……。まぁ、しょうがないよね。――俺は憧れの魔法を手にし、この世界で生きていく。 初投稿です。右も左もわからないまま、思うままに書きました。稚拙な文だと思いますが読んで頂ければ幸いです。一話ごとが短いですがご了承ください。 1章完結。2章完結。3章執筆中。
8 91スキルを使い続けたら変異したんだが?
俺、神城勇人は暇潰しにVRMMOに手を伸ばす。 だけど、スキルポイントの振り分けが複雑な上に面倒で、無強化の初期スキルのみでレベル上げを始めた。 それから一週間後のある日、初期スキルが変異していることに気付く。 完結しました。
8 171ドン底まで落ちた私
25歳でドン底を見た私がもう一度這い上がる為の決意をする話
8 73いつか見た夢
ある日、突然妹が失蹤した。その妹のため、兄は裏の世界の住人になることを決意する。謀略と暴力が渦巻く世界に巻き込まれていった兄妹の姿を描いたアクション。ことの発端は、妹の友人にまつわるストーカー事件だった。 ※また、過去にあげた回は順次、見やすくしていっています。
8 62