《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》70話 究極超神式「理論上最高値をたたき出す召喚」

70話

研究室に戻ってきたセンは、

「さて……まずは、こいつの処理だな」

足下に転がっている仮死狀態のラムドを見ながら、そうつぶやく。

「主上様。そのゴミですが、目障りなようでしたら、わたくしめが、テキトーに解して捨てておきますが、いかがいたしますか?」

「お前の発想は、常にスプラッターなカルマとともにあるな」

パシリの思考回路に辟易し、溜息をつきつつ、

「こいつは殺さない」

言いながら、腰を落として片膝をつく。

そして、ラムドのにソっとれる。

「第一アルファには、『狂気の沙汰ほど面白い』って格言がある」

「流石は、主上様が統べる地『第一アルファ』……的確に真理をとらえている言葉かと」

「そういう意味で、このキチ○イは、しだけ面白い……『殘して』おいて損はないだろう。使うかどうかは、今後の展開次第で、結局使わないって事も充分にありうるだろうが」

冗談を。主上様は、諸行無常な未來でさえも、完璧に見通されてしまう絶理のアヴァターラ。因果すらねじ伏せる超知を司る究極超神。……そのカスを殘しておくという事は、つまり、既に使用目的が決まっているという事でございましょう?」

(なんか変なヤツだから、一応、殘しておこうと思っただけなんだが……そういう、『俺は、特に、深いことは、なんも考えていませんよ』的な発言は、素直に言っても無駄なんだよなぁ……こいつみたいな狂信者系には、いくら反論しても、『いやいや』『いやいやいや』が、半永久的に続くだけ……まったく)

心の中で面倒くさそうにタメ息をつくと、

……センは、アダムをシカトして、

「――ラムド。もらうぞ、お前の全部」

直後、ラムドのが輝き出した。

輝きは、ホロホロと崩れ、パラパラとした粒子となる。

細かいの粒は、ユラユラと、センの中に溶けていった。

ほんの數秒の出來事だった。

「さて……ん?」

ラムドを『奪った』事で、とあるエピソード記憶が勝手に揺れた。

意識なきの粒が見せた、可い抵抗。

センは、ニコっと微笑んだ。

「もう一回分、すぐに回せるのか。俺を呼んだガチャ……」

ぶつぶつと言いながら、センは研究室の右手に視線を向ける。

そこにあるドアを開けて、隣の部屋を見てみると、

床に魔法陣が書かれていて、召喚に必要な道も、全て完璧にそろっていた。

「……召喚にも飽きてんだが……はっ……まあ、いいさ」

言いながら、センは、ラムドが行おうとしていた『カスタム召喚』の詳細を、

頭の中から殘らず引っ張り出してきて、

(……ふむ……ふむ……なるほど。素材があまりにもクソすぎるが……プランとしては、悪くない。ランダム要素が流石に強すぎるが、三連以上のエーテルシナジーと六大元素の変換が上手くいけば、充分に、ラムドの人生最高値は狙える……『俺』という結果は、『俺自の呪い』が発してしまったというだけの、単なる偶然だから、もちろんノーカンだ)

わずかに、トクンとが鳴った。

ふと、懐かしさを覚える。

召喚を究めようとしていた時期が、センにもあった。

しかし、とある出來事がキッカケで、センは召喚を捨てた。

――アレは、ただの偶然だった。

もっと言えば、しょうもないウッカリだった――とはいえ、

究極と評価しても構わない『ミシャンド/ラ』が召喚できてしまったため、

召喚という技法そのものに対して一瞬で冷めてしまった、

――が、

それまでに経てきた、寢る間を惜しんでまで、

『どうすれば、もっと上手くいくだろうか』と必死に『考えては試して失敗して悩んだ』という記憶が、なかった事になる訳ではない。

(楽しかったな……)

センは、両目を閉じて、ニコっと微笑んだ。

「今の俺はTASさん以上。茶柱も僥倖も自由自在。數なんざ、俺に絶対服従のパシリみたいなもんさ」

センは、ブツブツとつぶやき、いくつかの小さなジオメトリを空間に出現させ、

「お前が積み重ねてきた『生』を、俺は、これより貰いける。単なる弱強食、起こりえた不運、その延長でしかないが――まあ、手前勝手で押しつけがましい詫び、あるいはポジティブに、運よく賜った褒だとでも思ってくれ」

実に神らしい、ワガママな事を口にしつつ、

「……お前が作り上げた理論上最高の召喚で可能な、『コンマの下にゼロが九つは必要』という超低確率な幸運を積み重ねた『究極の功』――理論上の最高値を見せてやる」

魔法陣が、淡く、輝く。

無數の幾何が踴る。

厳かな風が舞う。

「來るがいい。運命にされし者よ。貴様に、世界の頂點を見せてやる。この俺の手によって直々に召喚される。その果てなき幸運を、『究極超神センエース』の名の下に祝福しようじゃないか」

部屋の中に流星が降った。

幻想的な景。

小さな流星群は、銀河のように渦を巻いて、

選ばれし者に萬雷の拍手を送る。

そして、幸運なる者が、その姿を見せる。

「……はぁ? ぇ、ここどこ? って、ぇ、まさか……ちょ、ちょぉ待って……コレって、もしかして…………ぅ、ウソやろ……え、まさか……異世界転移? えぇ、ウソやん?!」

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