《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》73話 返品は勘弁して

73話

「あの、神様、どしたん? 急にジっと見てきて」

「……なんでだ……」

「はい?」

「第一アルファ人なのに……どうして……」

「だいいちある……ん?」

「お前が生まれた世界の事だ。第一アルファで生まれた者は例外なく優秀なはず。なのに……お前は……」

「もしかして、今、あたし、鑑定的な事されてたん? で、まさか、あたし、めっちゃショボかったとか?」

「……ああ」

「は、はは……そっかぁ……あぁ…………いま、『まさか』とか驚いてみせたけど、ホンマは、やっぱりなぁっと思っててん。あたし、勉強もスポーツも何もできへんかったから。高校だけは頑張って、メッチャええとこ行ったけど、一年の前期でついていかれへんようになったし……スポーツに関しては、バスケットボールでもバレーボールでもドッジボールでも、取り合いのジャンケンで最後まで殘らんかった事がないし」

(……『高校験まではどうにかなっても、そこから先で躓く』……そいつはまさしく、『努力はできるが、本的に頭の出來がお末なヤツ』の典型。そして、飛びぬけて低い基礎力と、空間把握能力の欠如)

報を査して、結論を導き出す。

(……間違いなく極上品……最低でもS級……いや、ほぼ間違いなくSS級以上のスキルを持つ特級の逸材のはず……だというのに……)

『朝日』も、第一アルファでは何もできないダメ人間だった。

何をやらせてもドンくさいバカなガキ。

――だからこそ、第一ベータの天帝となれた。

(……ワケが分からない。なぜ、第一アルファ人なのに、ここまでショボい? このステータスは、マイナスエックス級だぞ。――そして、なぜ、こいつは、サードアイすら使えないのに、俺の深層が見えていてる? ……ダメだ、どの知識の層に當てはめてみても、答えが出ない。……究極超神になって以降、はじめてだぜ。こんな、なにひとつ、わからないなんていう、ふざけた狀況は)

「あの……もしかして、あたし、返品とかされるんかな?」

「……はぁ?」

急に訳のわからない事を言い出すシグレ。

センが先をうながすと、おずおずと、

「ここまでの流れから察するに、多分やけど、神様、『あたし』を選んだ訳やなくて、『テキトーに日本人を呼んだらあたしやった』ってじなんちゃう?」

(別に、アルファ人を呼ぼうとした訳でもないんだが、論點はそこじゃないし、黙っておくか……)

「日本人を呼んだ目的はわからへん。お決まりの『魔王を倒してこい』なんか、それ以外の理由なんか、よう分からへんけど……あの……」

シグレは、決意のこもった視線を向けてきて、

「あたし、結構、頑張るつもりでおるんや。せやから、返品は勘弁してほしいねんけど」

「……頑張るつもりって……こんな狀態で、よく、それだけ、『己』に対して無責任な発言ができるな。お前の現狀は、『知らん世界にいきなり飛ばされた』という超異常事態なんだぞ。頭。どうなってんだ」

「待っとったから……『この場所』やないドコかに行きたいって……それで、どうせやったら、異世界に行きいなぁとか、割かし……いや、本気で思ってて……だから――」

「はっ……なるほどな。ようするに、ラノベ脳の家出願者……すくえねぇ」

「んー、ちょっとちゃうかなぁ。ネット小説はアホほど読んでるから、ラノベ脳っていうのは否定せんけど……あたし、一人暮らしやったから、家を出たいとかは、まったく思ってなかってん」

(高校生で一人暮らし? ……まあ、別にありえないという訳ではないが……)

「ぁ、えっと、神様やったら、別に言わんでも、あたしの事とかも、見たら分かるんかな?」

「頭をれば過去くらいは分かる。見てほしいなら見てやるぞ。ただし、その場合は、あますことなく全部見ることになるが」

「ぇ、えぇ、ぇと、それはイヤやなぁ」

「じゃあ、かいつまんで自己紹介しろ。三十秒以な、はい、スタート」

「あ、えっと、じゃあ……田中時雨です。親が去年、二人とも事故で死んじゃって、で、父方の伯父さんに引き取られて……『金は出してやるから勝手に生きろ』って言われて、だから、一人暮らししてます。學校では……ハブられてます……ご清聴ありがとうございました」

(……おもいのほか、クールな自己紹介だったな)

センは、ポリポリと頭をかきながら、心の中でそうつぶやいた。

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