《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》19話 サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)

19話

エリアに足を踏みれた直後、

ピシィっと空間にヒビがって、パリィンと音をたてて割れた。

バラバラに吹き飛んだ空間の破片が、

(……ほう)

まるで意思を持っているかのようにユラユラとうごめく。

破片は地に落ちた雪の結晶ように、キラキラと崩れていき、細かな粒子へと変わっていった。

輝く粒子がしく配置され、地面に奇怪な魔法陣を形していく。

『――――― 侵者を確認。第一級迎撃プログラム起。《零死》のストラトスジオメトリ、生終了。顕現せよ。神のまにまに ―――――』

どこからか聲が響き渡った。

そして、宣言される。

サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)――出撃準備完了

やがて、奇怪なジオメトリは、地面だけでなくエリア中を覆い盡くす。

「グルル――」

ギチギチと不快な音をたて、空間を切り裂き、粒子をわななかせ、どこからか、『何か』がやってくる。

「グルゥ――グル――ゥゥ――」

次第に『何か』の姿が鮮明になる。

「ググ……カハァ……コハァアアアアアア」

銀に輝く七つの鋭い眼。漆黒の軀。白銀の亜粒を放散している神々しい翼。

そして、禍々しさを醸し出す、全を拘束してる神鋼の鎖。

現れた、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)の威容を見て、センは、右手で顔を隠して天を仰いだ。

「ふぇぇ……センス丸かぶりだよぉ…………なんだか、とっても、恥ずいよぉ……」

泣きそうな聲でそんな事を言っているセンに、

「だから言った。アレを前にすれば嘆くしかない。児退行しているヒマがあるなら、はやく、逃げた方がいい。今なら、まだ――」

などと、的外れな心配をしてくるユンドラの言葉は無視して、センは『あいたたた』のポーズのまま言う。

「アダム、あれぶっ壊せ」

「かしこまりました」

恭しく返事をすると同時、アダムは、音を立てずにフワリと飛びあがり、空中で、両手に魔力を集める。

バチバチと音を立てている度の高いエネルギー。

「……【異次元砲】」

両手を、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)に向けて、ハッキリとコールすることで、その練り上げられたエネルギーは、秩序を持った幻想的な輝きにかわり、そのまま一直線に放出される。

「グルルァアアアアアアア!!!!!!」

輝きは、一瞬でサイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)を飲み込んで消えた。

サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)は、アダムが魔法を唱えてから、二秒でこの世から完全に姿を消したのだった。

さようなら、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)。

「な……ぁ……まさか……ど、どういう……」

流石に、無表ではいられず、口と目を開いて、驚愕をあらわにしているユンドラ。

何度か、パクパクと口を開いたり閉じたりしてから、

「が、外界の者は……存在値100以下しかいないはず……なのに……どうして……存在値500を超えているアレを……」

「お前が言っている外界ってのは、この大都市の外の事だな? そのさらに外にも世界があるって報はインプットされているか?」

「異世界のこと? ……報としては頭に……どういうものかは分からないけれど――」

「ほう……」

そこで、センは頭を働かせる。

(異世界の存在は認知していても、詳しい事は知らない……か。知識の境目があやふやだな)

心の中でブツブツ言いながら、

「異世界って概念を知っているなら、それで充分。端的に言えば、アダムはこの世界の者じゃない。異世界から來たアルファ種の突然変異。存在値は1200。あの程度のオモチャには負けない」

「……存在値……1200? ま、まさか……異世界の神……?」

「神種は芽吹いているがアダムは神じゃない。神はあそこまで眩しくない。もっと野暮だ」

「……まるで……神を知っているかのような口ぶりね」

「誰だって知っているだろう? 神は心の中にいるんだから。ああ、お前の神は死んでいるんだっけ? でも、死んでいる事は知っている。なら、報量は俺と大して変わらねぇ」

フワフワとした言葉。

が伴っていないように見えて、どこか、歪んだ深さが滲んでいる。

『本の空っぽ』をじさせるだけの、何か――

「……あなた達は…………あなたは……いったい、誰?」

「センエース。探偵さ」

「たん……てい?」

「おっと、悪い、悪い。あまりにも『流れの収まり』が良かったもんで、つい口をついて出てしまった。忘れてくれ。俺は決して、薬で小さくなった名探偵なんかじゃねぇ」

「……」

「ところで、一つ聞かせてくれないか。お前が恐れているアレってのは、いつ出てくるんだ? まさか、さっきのガラクタの事じゃないよな? もし、そうだとしたら、本當に傑作だぜ」

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