《暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが》第44話 〜大和の國1〜 佐藤司目線
ガヤガヤと騒がしく、多くの人が道幅の広い大通りを歩く姿は都會では全く珍しくない景である。
俺達が住んでいる所もどちらかと言うと都會の方で、目の前に広がっている景以上の人の中を歩いたこともある。
だが、俺達は道の中心で呆けたように口を開いて固まった。
人の人數で驚いているわけではないのだ。
俺達が驚いているのは、その人達の格好である。
「ああ、どっかにこことよく似たテーマパークあったよな。手裏剣とか験出來るやつ。」
「時代村?」
「そう、それだよ。」
俺の隣で朝比奈君と、クラスでも晶と仲の良かった、風魔法師の七瀬麟太郎ななせりんたろう君がそういう會話をしているのを、俺は頭の隅で聞いていた。
男は紋付袴の正裝か著流しで腰に刀を差し、は著か巫裝束で頭に簪を付けている。
まるで江戸時代頃の、よく夕方にテレビ放送されている時代劇のような景だ。
巫裝束がし違和があるが、それを著ている達が皆、見ないようにしていたある建に向かっていることから、巫裝束がの正裝なのではないかと思う。
「で、あっちはどう見ても姫路城だよなぁ。」
「見ないようにしていたのに・・・。」
狙っているのではないのかと言うくらい、的確に俺の言われたくないセリフを呟いた朝比奈君にそう返し、俺はそれを見上げた。
大きさとしては、日本にある、最近修復工事された姫路城程だろうか。
形は全く似ていないが、城壁が白漆喰で塗られているのは同じだ。
それが姫路城ではないかと思わせている。
離れた位置にいる俺達から見ても大きなその城は、王城のように絢爛豪華ではなさそうだが、見るものを威圧するような迫力があった。
それに、あの城を見ていると背中の方が震えるのだが、気のせいだろうか。
「あ、すいません。」
「いいが、兄ちゃん達、道の真ん中で突っ立ってんじゃないよ。」
ポケっと城を眺めていると、前から來ていた男にぶつかった。
 反的に謝ると、男は笑って足早にその場を離れる。
「・・・。」
「朝比奈君?」
朝比奈君だけ、何かが引っかかるのか男の後ろ姿をじっと見ていた。
朝比奈君は俺の顔をちらりと見て、男を追いかける。
「ちょっと待ってろ。おい、誰かそいつを止めろ。財布泥棒だ。」
「え?」
俺は慌てて財布の有無を確認した。
「・・・ない。」
大和にる時には確かにあった財布がなかった。
そう言えば、男のぶつかり方は明らかにおかしかった。
それに、きちんと前を向いていたのに立ち止まっている人にぶつかるわけが無い。
「司君?どないしたんよ。」
上野さんが細山さんと共に近づいてくる。
周りの仲間達も徐々に異変に気付きだしていた。
「俺の財布がスられたんだよ。今朝比奈君が追ってくれている。君達のは大丈夫かい?」
俺の言葉にすぐ財布を探す彼らの顔は、すぐにほっとしたものに変わった。
どうやら、俺だけだったらしいな。
「幸い、あの財布の中には金は一銭もっていないが、向こうで使っていただからな。」
「誰かに貰ったものか?」
「・・・ああ、誕生日祝いに兄から貰ったものだったんだ。」
兄弟喧嘩が絶えなかったが、それでも大切な思い出には変わりない。
しばらくして、朝比奈君が戻ってきた。
「ここの國はいい人が多いみたいだな。」
「!!」
そう言って、俺の財布を差し出してくる。
俺はほっとしてその財布をけ取った。
「ありがとう。それにしても、よく追いつけたね?」
「ああ、俺がんだ後、伝言ゲームみたいに周りの人が同じことをんでくれて、新選組みたいな人達が捕まえてくれた。」
どうやら、治安を維持するための組織もあるようだ。
何代目かの勇者は幕末が好きだったらしいな。
「淺蔥の羽織?」
「そうだ。ちゃんと額當てもしていたから、一瞬コスプレイヤーかと思った。」
朝比奈君は真顔でそう言い、上野さんはそれを羨ましそうに見ていた。
そう言えば、上野さんは日本史が幕末にるとイキイキして授業を聞いていたな。
「よし、とりあえずは今日泊まる宿を探そう。冒険者ギルドにはその後で行くぞ。」
「了解。」
それにしても、スリか。
治安も生活水準も高そうなのに、犯罪は無くならないんだな。
そう言えば、宿ではなく旅籠屋と言うのだったか。
生まれて初めてスられた混からか、こんな時なのにどうでもいいことが頭に浮かぶ。
俺は気を引き締めて仲間達のあとを追った。
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