《顔の僕は異世界でがんばる》恨みを抱く 42
遅めの晝食を摂ってから外の様子を確認し終え、戻ってきたところ、ようやくリュカ姉が落ち著いたので、僕はみんなともう一度集まった。
外は、何事もなかったかのように靜かになっていた。
妖たちにより魔の死は一か所に固められ、警備と瓦礫の撤去、それから人の死の回収が進められている。
死をどうするかは、町の人に任せるべきだろう。
僕らは円になって座り込み、僕はみんなに先の魔人から得た報を伝えていた。
「――ってじだよ」
話し終えると、沈黙が下りた。
話についていけていないってじだ。
やがてカリファがおずおずと口を開く。
「えっと、おチビの話をまとめると、
『ヨナが新しい魔王で、あいつらはわたしたち人を害蟲だと思ってるから、三日後に駆除しに來る』
ってことでいいの?」
「うん。だいたいあってる」
ひどい要約だけど、間違いとは言えないのだから笑い事じゃない。
駆除。
あいつらからすれば人間なんて蟲けらと大差ないだろう。
「オーワさん、さっきの魔人さんの強さは、魔人の中ではどれくらいなんです?」
「最強クラスみたいだよ」
恐々といった様子のワユンの質問にそう返すと、あからさまにワユンはほっとした。
続きがあるんだけどな。
可哀想だけど、事実は事実として知っておいてもらわないと。
「まぁ、あれと同じくらいのやつはたくさんいるらしいけどね」
「ふぇえっ!」
ワユンは涙目になってしまう。
その隣にいるリュカ姉は、すっかり立ち直ったようで、真剣な顔をしている。
いや、完全に立ち直れるわけないか。
いつもだったら暗い雰囲気を壊すように、率先してふざけるはずだし。
「それに、魔人たちは沢山の魔を召喚できるんだよね」
「ちっ、悪い冗談だぜ」
リュカ姉のまじめの言葉に、マルコが舌打ちする。
さっきの話の後だというのに、特に二人の間がぎくしゃくしている様子はなかった。
裏では気を使ってるのかもしれないけど、表に出さないあたりさすがだ。
ワユンがこちらを見てくる。
「それでオーワさんはこれからどうするんですか?」
「とりあえず北方前線まで行って、守りを固めようと思うんだ。
アレンとエレンが心配だしね」
「そうですね」
ワユンの顔が引き締まる。
あの雙子、ワユンにもなついてたからな。
ワユンもすごくかわいがってたみたいだし。
「ねぇおチビ、誰よそれ」
「前に僕がバカ貴族に絡まれたとき、一緒に戦ってくれた雙子の獣人だよ。北方前線にある町に住んでるから、できれば避難させたいんだ」
「ふーん。まぁそっちは、手伝えそうにないわね」
カリファは興味なさげに言う。
以外のことはほんと興味無いのな。
「その後は?」と、リュカ姉が先を急かせてくる。
「えっと、守りを固めてすぐ戻ってくれば、明日の朝にはここに帰ってこれると思うから、それから王都に向かおうと思ってる。
妖たちを派遣してるから大丈夫だと思うけど、一応他の都市にも寄りながらね。
それから二日後の夜に王都の近くで野営して、次の日の決戦に備える」
「なら俺たちは、明日までここで待ってりゃいいわけだな」
「ワユンちゃんはどーする?」
「オーワさんについてきます」
リュカ姉が尋ねるとワユンは即答し、こちらを向いた。
「だめでしょうか?」
葛藤はあった。
総攻撃はまだにしても、北方前線にはここよりはるかに大きな危険が待っているかもしれない。
けれど、ワユンの目を見てしまったら、否定はできなかった。
「いや、一緒に行こう」
「はいっ!」
なんでそんなにうれしそうなんだよ。
ここよりもっと危険かもしれないんだぞ?
本當ならそんな所に連れて行きたくはないんだけどな。
でも拒否したら、今度こそ何か無謀なことしでかしかねないし。
まぁ、僕がしっかりしてればいいだけだ。
なんて思いながらも、ワユンがついてきてくれることに、心がずっと軽くなるのをじた。
「さて、じゃあ計畫も整ったところで、いったん解散にしようか。昨日の晝からずっと戦いだったから、リュカ姉疲れちゃったよ」
リュカ姉がしいつもより高い聲で、それでもいつものように明るく言い放ち、解散となった。
昨日の晝ってことは、思ったより襲撃から時間は経ってないみたいだな。
伝令用の機械でもあるんだろうか?
電話みたいな?
なんかそういうモノはこの世界ではイメージしずらいけど、勇者とかが伝えたのかな?
とにかく、時間がそれほど経ってないってのは朗報だな。
考えないようにしてたけど、港町にも生き殘ってくれた人がいるかもしれない。
し希が湧いてきた。
よし、北に行く前に寄って行くか。
「ワユンは準備をしててくれ。あとリタさんにも説明をよろしく」
「オーワさんは?」
「ハンナさんに一言あいさつしに行くよ。心配してるだろうし、なにかアドバイスもらえるかもしれないし」
王都に行く前、こっぴどく叱られちゃったしな。
しかも、叱られた挙句にその通りのことになっちゃったし。
そのことがばれたらどうなるだろうか?
こっぴどく叱られて小さくなってる僕の絵が浮かんだ。
……ま、まぁそれは言わなくてもいいだろうけど、お世話になってるわけだし、心配もしてくれてるだろうし、無事のあいさつくらいはするべきだろう。
「あの、そのことなんですが……」
「ん?」
ワユンは、すごく言いづらそうにしていた。
耳としっぽが力なく垂れてしまっている。
嫌な予がした。
「ハンナさん、まだ避難してきてないんです」
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