このじは、エンシェント・ドラゴンがブレスを吐いた時と同じだ。

あまりのに目がやられ、白以外何も見えない。

あまりの音で耳が全く機能していなかった。

それだけじゃない。平衡覚まで狂ったのか、地面がぐらりと揺れるのをじた。

何が起きた？

敵は完全に拘束していたはずだ！

――殺気！？

とっさに王の力による支配を強める。

被支配者の権限をすべて奪った。

ここまで一秒に遙か満たない。

視力と聴力の回復はすでに始まっていた。

「ぐっ！？」

    熱い？ いや、痛っ！？

    腹に何か刺さった！？

反的にをかがめ、抑える。

何か鋭いものに貫かれたらしく、風があいている。

刃？　いや、これは槍か？

でも出がない？

いや、それよりも、ということはすでに敵が接近している？

――一秒。

五が完全に回復し、あたりを見渡す。

近くにはの子しかいない。

――この子が？

いや、あり得ない。

それがたとえ屈強な男だとしても、そもそも普通の刃じゃ僕を貫くどころか傷つけることすらできないはずだ。

――なら、一？

アラームが鳴り響いた。

久方ぶりの覚。

捕食者による一方的な躙を悟る。

とっさにの子を抱き寄せ、庇う。

驚いたような聲と、小さな抵抗があった。

同時に錬金により金屬の盾を周囲に形――

視界の端に、赤い線をとらえた。

「がっ！？」

一瞬、熱をじ、激痛。

またが貫かれた。

の中央に、ぽっかりと五百円玉サイズのが開けられた。

やはり槍？　いや、でもここまできれいな傷口になりえるのか？

何より速すぎる！

強化された反が追い付いてない。

何が起きた！？

目で追うことすらできない？

――金屬の盾が形される。

「ぐっ！？」

が、またしても貫かれる。

バカな！？　鋼鉄を形したはずだ！！

左肩からにかけて斜めにやられた。

激痛によるものか、ショックか、視界が明滅した。

どうなっている？

とにかく錬金による防は意味がない。

解除し出すると同時に、金屬の盾がハチの巣にされた。

一瞬見えたのはやはり赤い線だ。

たどると、裏口から侵してきたのか、口の王國兵の數倍はいる兵士たちが後ろにいた。

恰好がおかしい。

ラテックス素材のような沢を帯びた黒スーツをまとい、目にはゴーグルを裝著して、プラスチックのような素材でできた大きいハンドガンのようなものをこちらに向け構えている。

すべてこちらの世界に來てから初めて目にするものだ。

――まさか、レーザーガン？

一瞬脳裏をよぎったのは荒唐無稽な単語だった。

そんなもの日本ですら見たことがない。いや、存在はしたのかもしれないが、いずれにせよ近未來的な武だ。

ましてや銃どころか鉄砲すら、いや、遠距離攻撃系の武がほぼ存在しないこの世界に存在するはずがない。

――なぜ、遠距離武が存在していない？

魔法があるからだ。

魔法があるから？

攻撃魔法は高等技だ。誰もが使えるわけじゃない。

弾はある。ピックのような投げる武はある。

刀はあるのになぜ弓すらない！？

僕のような異世界人はかつていた。

それならおかしいだろう！？

「っ！！」

の子を抱え、線を躱す。

ダメージのせいか足がもつれ、一瞬バランスが崩れた。

「くっ！！」

かろうじて踏ん張り、躱す。

攻撃をけてからまだ一秒経ってない。

さすがに貫通されたはまだ治らないか。

――ワユンたちは？

とにかく今は兵士たちを止めないと！

レーザーを躱す。

王の力――レーザーによる撃が半分ほどにまで減った。

――速すぎる！！

さらに躱す。

だめだ、全員を拘束するだけの余裕がない。   

    頭蓋の奧底から強烈な痛みが発生していた。

    キャパオーバーだ。

    線を躱しながら、これ以上王の力による支配を広げるのは無理か。

なら、拘束したやつらを再起不能にして――

「ちっ！！」

レーザーの嵐が僕の思考を遮った。

――無理だ。

再起不能にするにはそれなりに複雑な作業が必要になる。

線。赤。網の目――

「！！」

――が捻れた。

反による自的なきだった。

視界に現れる幾千もの熱線を潛り抜けるように躱す。

「！！」

奇跡だ。

今の反能力をもってしても、すべて躱せたことが信じられなかった。

というか、どれだけ連機能があるんだ！

こんな強力な攻撃が、こんな簡単に撃てていいのか！？

數が多い。

しかも速すぎる。

余計なことは考えていられない。

錬金で拘束する！！

レーザーを躱しつつ、錬金を発――足がもつれた。

「っ！！」

踏ん張り、転がってレーザーをやり過ごし、錬金を発させた。

あとし――

――なんでの子から何も反応がないんだ？

これだけきまわっているのに抵抗をじない。

まるで荷を持っているみたいだ。

だからこそ、こんな瞬時の攻防ができていたのだが。

ぞっとして、の気が引いた。

いつから抵抗がない？

いや、それよりも。

レーザーを躱す。

強いためらいがあった。

でも見なければ。

そして早く治癒魔法を。

早く！！

わかってはいたのに、一瞬、躊躇った。

わかっていたからだ。

の子の頭には――左前頭部から右後頭部にかけて、があいていた。

治癒魔法！！

の子は、すでに人の目をしていなかった。

深い闇。

瞳に僕の顔が映っていない――

――死？

まだだ！！

限界まで魔力を籠める。 

    視界が明滅し、足元が揺れた。

凄まじい速度で魔力が削られていく。

にもかかわらず、治癒しているのかどうかつかめない。

――ぐぅっ！？

が震えて、気が付くと膝が折れ、地面に頽れていた。

強烈な痛みが中から発せられていた。

   ちらとを見ると、無數の風が空いている。

一瞬でこれだけやられたのか！？

「止まったぞ！！」

「いまだ、やれっ！！」

一斉に殺意が向けられるのをじた。

がかない。

頭がマヒしてるようだ。

の子からはまだ生気がじられない。

どうしよう？

どうしよう、どうしようどうしようどうしよう！！！？

心臓が素早く脈打って、息が苦しい。

目の前がぐらぐら揺れてる。

「オーワさんっ！！！！」

悲鳴が聞こえて、瞬間、意識がシャットアウトした。