《過去に戻り青春を謳歌することは可能だろうか》23話 小悪魔の頼みごと
夏の足音を、寒いというよりかは“涼しい”と言った方が型にはまる風が運んでくる6月の放課後。
生徒は帰るなり部活に行くなりして學校中は騒がしい。
高鳴る心音。
その喧騒けんそうの中ですら誰かに心音が聞こえてしまうのではないか。
そう思ってしまう。
菜月なつきとは中學校の頃にしだけ関わったことがあるが親という言葉には相応しくない関係だ。
「放課後、育館に來てください!」
頭の中で、回想をする。
短いポニーテールをぴょんぴょんさせながら、顔を赤く染めて…
その様子から“告白”という言葉が頭によぎる。
中學の頃からそういうものには無縁になってしまっていた俺にとっては心から嬉しいことだ。
そんなことを考えていると育館に著く。中ではバスの団は無く。男バスが育館半分を使い、余ったエリアに男各々バレーボール部が使用していた。
たまにはバスケしたいな…
そんなことをふと思った。
翔かけるから始まった『直斗バスケ部にるってよ』のくだりは前回と変わらなかった。
何とか男バスを振り切り、育館のり口で待機していると、右肩を優しい力で2回叩かれた。
その正は菜月だった。
黒のバスケットパンツに白のTシャツを著ているところからバスケをしていたのだと思う。
けれどバスの姿は見當たらない。
「來てくれてありがとうございます!お時間大丈夫でしたか?」
「バイト無いから大丈夫だよ」
「そうですか!あの、すみません、育館って言ったんですけど小しょうたいに來てください」
菜月はし申し訳なさそうに頬を掻かいた。
小はこの育館の半分くらいのスペースで普段はバトミントン部が使っている。
「おっけ、バスはオフか?」
「はい、オフです」
バトミントン部は大會で部員は學校に來ていない。
だから自主練習を重ねていたのだろう。
一度、翔から遙希はるきと菜月はスタメンでは無いが試合に起用されると聞いたことがある。
うちのバスはそれなりに強く、この地區ではベスト4位の常連校だ。
その中で1年生にして試合に出るのだから2人には一目置いている。
その期待にも応えるため、他の選手よりも練習を重ねているのだろう。
小では白のTシャツに青いバスパンの遙希がバスケットボールを放っていた。
一つに結んだ髪のは、菜月よりも長いため、それなりに揺れている。
そんな姿に俺は不覚にも一瞬“可い”そう思ってしまった。
だが、この時點で、菜月は俺に告白しないことが確定。
パサッという爽快のある音をゴールから奏で、遙希は俺と菜月の方を向く。
遙希は近づいてきて俺の顔を睨む。
その瞳はいつも通りの冷たさを孕んでいる。このままだと低溫火傷しちゃう。
「菜月…本當に連れてきたんだ」
「まあまあ、遙希ちゃん、直斗先輩は凄いんだよ?」
ムッとした遙希に両掌を向け菜月は宥なだめるようなきをする。
並んだ2人の長差はそれほどなく、遙希の方が2センチほど高いくらいだ。髪型といい伝子は違えど似ていると思う。
「ちなみにお嬢様方。俺は何のために呼ばれたの?」
菜月は遙希の顔を見る。
その様子は、遙希に説明を促しているように見え、案の定、遙希は説明をしようと口を開く。だが、すぐに閉じて下を俯く。
「やっぱコイツに頼むのとか無理」
漸ようやく口を開いたかと思ったら侮蔑ぶべつの言葉を吐いた。
「おい…」
「コラ、遙希ちゃん、背に腹は変えられないよ!今後のためにも言わなきゃ!」
遙希の橫で両手の拳をギュッと握りしめ菜月が熱弁を垂れる。
なんか菜月さんもし酷くないですか?
「………」
「用が無いなら俺は帰るぞ」
話してくれそうに無い雰囲気がビンビン伝わって來たので、俺は強引に口を開かさせるような行をとった。
「…………なのよ」
「は?」
こうやって語尾しか聞こえない験を可憐かれんでもしたことがある。
姉妹揃ってか
「スランプなのよ…」
小さい聲ではあったが、拾い上げるには十分な質量を含んでいた。けれど、俺は疑問符を顔に浮かべ
「え?」
と聞き返してしまった。
遙希の顔は段々と赤くなり、終ついに相好そうごうを崩す。
「だから!スランプになったのよ!いい?もう一回言うわよ!ス・ラ・ン・プ!何回も言わせないで!」
遙希は檄を飛ばす。
そんなに言わなくても遙希がDr.スランプだということは伝わって來た。
「スランプって、お前さっき綺麗にシュート決めてたじゃん」
「…まぐれよ…、最近どんなに簡単なシュートもらないのよ…」
恥心を曝け出した遙希は淡々と事を語った。
數週間前からその狀態で、先日の練習試合ではシュートが全くらなくてコートから下げられた瞬間があったのだとか。
小の倉庫の中で學校指定の運著に著替えた。
代謝がいい、だからこの季節、何も運していないといえども最初から半袖短パンのわんぱくスタイルなのだ。
さっき下駄箱から取ってきた育館シューズを履き軽くストレッチをしたあと倉庫から出る。
「ねえ、菜月、本當にコイツ全國大會経験者なの?」
倉庫から出てきた俺に、何のためらいもなく指を指す。小學校だったら今の遙希の言は吊るし上げられるだろうが、俺は大人だ。見逃そう。
「中學校の時な…ボール貸して」
「あ、7號ボール持ってきました」
「ありがと」
菜月は、足元に置いてあった男子用のバスケットボールを手から放って俺はそれをキャッチする。
「全國経験者が、何で帰宅部なのよ、菜月コイツに騙されてるんじゃない?」
「違うよ!帰宅部の理由は知らないけど全國に行ったのは本當だよ!」
「信じ難いわね…」
菜月は俺と中學校が同じだ、それなりに関わったことはある。だから、俺が中學時代、どんな人だったのか、人間関係はどうだったのか。それを知っている。
「遙希、ディフェンス頼む」
「ま、いいわ、例え全國経験が本當だったとしても、ブランクがあるわけでしょ?」
「あるよ、だから俺の方が下手っぴになってると思う」
噓だ。勝てる。
3ポイントラインから2メートル離れた場所からスタート。
「それじゃ、行くぞ」
「ええ、良いわよ」
遙希の顔は自信満々な表で完全に俺を下に見ているとじさせた。
最初は緩めのドリブルでゴールに歩み寄り、3ポイントラインを超えた瞬間右に切り込むようにドライブをした。
急な速度の変化に遙希は余裕で付いてきた。流石、強豪校で試合に出ているだけはある。
けれど、甘い。
左に切り返し速度を落とし、そして再び速度を上げる。
遙希のディフェンスは完璧に俺がゴールに向かうことを悟った。
だからもう一度俺はボールをに通し右に切り返しリズムよく一歩下がるステップバックをした。
「え…」
そのきに遙希の足は付いてくることができなかった。遙希は、重移が間に合わずバランスが崩れ転倒した。
遙希は起き上がることよりも、俺を舐めていた分、狀況把握に必死だった。だから俺の前に壁は存在しない。
「スランプってのは俺らのレベルの選手じゃ起きることはない」
手に持ったボールをおでこまで持ってくる。
「一流の選手にしか起きない…だから遙希のはスランプではなく“停滯期”だ」
遙希はシュートモーションにった俺を目で見るだけ。
「だから停滯期は気持ちの問題ですらしかくて、すぐに抜け出せる」
そう言ってから手からボールを放つ。
ボールはゴールに吸い込まれるかのようにパサッという音を立てて通過した。
過去の栄は嫌いだ。けれど、それが誰かの役に立つのなら、しは好きになれるのかもしれない。
俺は倒れたまま意表を突かれたような表をしている遙希にこう告げる。
「力にはなれる、けどその後は自分次第だからな」
この日、俺は自分の捨てた過去と向き合った。
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