《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》著信
スマートフォンをいじりながら、コウジは商店街を歩いていた。空は暗黒に塗れており、月の姿も見當たらない。
先刻、父である孝則に家を突き出され、行く宛もなく一人歩いていた。
「まずは泊まる場所がしいな…」
今はまず、雨風をしのげる場所がしい。最悪、橋の下だが。祖父母の家はここからは遠すぎるし、友人の家は論外。今のコウジを泊めてくれるような人はいない。
「はぁ…死んだほうがマシかな」
友人、馴染、家族。みんなを傷つけ、みんなに見放された。もう自分に生きている価値は見いだせない。
過去を思い出し、淅瀝と追悔に溺れていると、左手側から香ばしい風が流れてくる。視線をやると、店のが出來立てのメンチカツを店前のショーケースに並べていた。
「これだけ買ってくか」
コウジは財布を取りだし、メンチカツを一つ購して商店街をあとにした。
しばらく歩き、近所の川沿いに出た。コウジは夜の河川敷で、一人腰を落ち著けて一つのメンチカツに舌鼓をしていた。
「マジでどうしよう…」
突然父親から告げられた、別れと獨立に未だに何をすべきか分からずにいた。ふと右手に視線を落とす。
「“コレ”のせいだよな…」
コウジのに発現した謎の能力。それは、れたものを別のものに作り変えてしまうというものだった。コウジはこの能力で人を一人殺し、學校での居場所がなくなり、家を追い出されたのである。
「なんなんだよこれ…。いや、待てよ、コレって……」
そう言うとコウジはすぐ傍に生えていた草を一摑み、右手でむしり取った。そして、イメージする。ボールペンを変換したように、この草が大量の水になることを。目を瞑り、集中し、意識を研ぎ澄ませ、右手から草の覚が無くなる。
そしてゆっくりと目を開ける。すると、左手にはみ通り水があった。だが、
「これだけかよ…」
そう。ない。渇きを潤すにはなすぎる量だった。今のコウジにはもうし量がいる。
コウジは、河川敷から大きめの石を右手で拾い上げ、草と同様にイメージする。すると、今度は大量の水が左手から溢れかえる。
「うわっ!」
その量に驚き、素っ頓狂な聲が出てしまう。おおよそ二リットルくらいだろうか。
「なんでだ…?」
コウジは疑問を抱いていた。草を水にかえた時と、石を水にかえた時。この二つで出來た水の量が違っていた。即ち、右手で消したものと左手で生み出したものとの間に、何かしらの條件があるのだと考えられる。そして、考察する。むしった草と、拾った石との差異を考える。だが多すぎる。生と無機。小さいものと大きいもの。らかいものといもの。実験において、結果を左右する條件が何かを特定するなら、その他の條件を全て揃えなければならない。今回はほぼ全ての條件において差が生じている。このままでは、またあの悪夢を繰り返してしまうかもしれない。
そんなことに思案を巡らせていると、軽快な音楽とともに左ポケットが振しているのをじた。ケータイのバイブレーションだ。
畫面には「佐伯サトミ」と表示されている。一なんの用だろうか。無視することも考えたが、ここは佐伯を説得できるチャンスかもしれない。そう思ったコウジは「応答」ボタンをタップし、著信に応える。
「なんだ佐伯」
「あ、あのね、塚田くん……。話したいことがあるの。今からうちの前に來てしいんだけど、來られるかな?」
心なしか、その聲は震えているようにも聞こえた。やはりまだ俺のことを恐れているのだろうか。しかし、この呼び出しに応ずれば和解することは可能かもしれない。
「わかった。今行く」
そう短く答え、コウジは佐伯の家へと向かった。
【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】
◎アーススターノベル大賞にてコミカライズ大賞と審査員賞を頂きました。6月1日に書籍が発売されました!第二巻も出ます! 「魔力ゼロのお前など辺境に追放だ!」 魔法の使えない公爵家令嬢のユオは家族から『能なし』と疎まれていた。 ある日、彼女は家族から魔物がばっこする辺境の領主として追放される。 到著した貧しい村で彼女が見つけたのは不思議な水のあふれる沼だった。 彼女は持ち前の加熱スキル、<<ヒーター>>を使って沼を溫泉へと変貌させる。 溫泉の奇跡のパワーに気づいた彼女は溫泉リゾートの開発を決意。 すると、世界中から様々な人材が集まってくるのだった。 しかも、彼女のスキルは徐々に成長し、災厄クラスのものだったことが判明していく。 村人や仲間たちは「魔女様、ばんざい!」と崇めるが、主人公は村人の『勘違い』に戸惑いを隠せない。 主人公の行動によって、いつの間にか追い込まれ沒落していく実家、ラインハルト公爵家。 主人公は貧しい領地を世界で一番豊かな獨立國家に変えるために奮闘する。 全ては溫泉の良さを世界に広めるため! ビバ、溫泉! 自分の能力に無自覚な主人公最強のスローライフ領地経営+バトルものです。 戀愛要素なし、ギャグタッチで気軽に読めるようにしています。 ※R15は念のためとなっております。 誤字脫字報告、ありがとうございます! 感想は返信できておりませんが、とても勵みにしています。感謝です。 現在は月曜日・水曜日・土曜日に更新しています! ※書籍化に合わせてタイトルを変更しました。舊タイトル:灼熱の魔女はお熱いのがお好き?魔力ゼロの無能だと追放された公爵令嬢、災厄級の溫めスキルで最強の溫泉領地を経営する~戻ってこいと言われても絶対に嫌です。あれ、気づいたら実家が沒落してた~
8 118過去に戻り青春を謳歌することは可能だろうか
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8 99ルームメイトが幽霊で、座敷童。
とある日のこと。そうだ、その日だ。その日を境に、変わってしまったんだ。俺の日常は。幽霊や妖怪の退治からトイレ掃除まで行う『なんでも屋』を経営する俺にやって來た數々の依頼。さてと、今日も行きますか。 ◆攜帯版ので見づらい方は、エブリスタ版(http://estar.jp/.pc/_novel_view?w=21377746)をご覧ください。第七話までまとめた形となっています。 ◆第一部完。第二部は2016年連載開始。 ◆「電子書籍大賞2013」最終ノミネート作品です。
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