《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》詳説
その後も様々な校施設の紹介をさせられた。教室、特別教室、育館、道場、格技場など。また、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、映畫館やゲームセンターといった娯楽施設まで完備されていた。
どの施設も普遍的な施設であった。
だが、最後に案された場所だけはし違った。
その場所は円形の育館のようで、二階部分に円形の客席があり、床部分は正方形のタイルが敷き詰められていた。
「この場所はなんですか…?」
「ここは『決闘場』です」
「決闘……?」
浜曷の口から放たれた単語にコウジは首を傾げた。
「ええ、本校には決闘制度というものが存在します。容はこちらです」
浜曷は手にした紙をコウジに見せながら、決闘制度の容をコウジへと説明した。
概要はこうだ。
ルール1,本校の生徒であれば全員が決闘を挑む権利を有している。
ルール2,決闘を挑んだ者が勝利した場合、挑んだ者のクラスが1つ上へ昇級し、敗北した場合はクラスが1つ下へ降級する。
ルール3,クラスが自分より下の相手に決闘を挑むことは出來ない。
ルール4,決闘は必ず1対1で行う。
ルール5,決闘を挑み、相手が逃走・無斷欠場した場合は不戦勝となり、ルール2が適用される。
ルール6,特殊狀況下を除き、決闘を中止及び延期することは不可とする。
説明をけたコウジは浜曷に問いかける。
「この、『クラス』ってなんですか?」
「本校では生徒を強さに応じてクラス分けしています。下から順にC・B・A・A+・S・S+・SSの計七つに分類されています。決闘を挑み、勝利していけばSSになることも可能です」
「その『強さ』の基準って何ですか?」
コウジは『強さ』が何によって定義されているのかを問うた。例えば、筋力を強さであると定義すれば男が有利になる。しかし、筋を全てとすると華奢だが銃の扱いに長けているヒカリは弱いということだろうか。否、特殊部隊を一瞬で撃沈させるような人間が弱いはずがない。だが、銃を全てとするのなら、刀は?といったように、強さにも様々な種類があるため、別格はおろか扱う武でさえも異なるような人間同士で強弱をつけることは難しいのではないのだろうか。ましてや超能力を有する者の間で。
「その『強さ』ですが、こちらでは明確な定義は存在していません。ですが、勝敗を分ける要素を持ち合わせている者は、決闘や様々な勝負においても勝ち抜くことが出來るでしょう」
「勝敗を分ける要素…?」
「要素は三つ。分析力・察力・計算力。これらを磨いていけば勝率はかなり高まります。もちろん筋力や持久力も大切です。最も良いのは全てをバランスよく鍛えることですが、優先するのであればこの三點を鍛えるべきです」
「でも、なんでその三つなんです?鍛えるなら他にもありそうですけど」
「相手がただの人間であるなら、を鍛えて武等を學べば勝利するのは容易です。ですが、この學園にいる生徒は超能力を持っています。この世のどんな學者も説明できないような超常の力です。そんな人間相手に不用意に近づこうものなら、敗北するのは間違いないと言えるでしょう」
「なるほど…」
コウジは浜曷の説明を聞きながら頷いた。
「そこで大切なのが『相手の能力を看破する分析力』『相手の能力をより深く鋭く見抜く察力』『致命傷となる一撃を導き出す計算力』です」
まさしく浜曷の言う通りであった。能力の容も分からないような相手に丸腰で突っ込むのはバカのすることであるし、最強の能力があったとしても、能力の使い手がマヌケであれば勝ち目はいくらでもある。
「そして、まだ塚田さんがやらなければならないことがあります」
「また何か…?」
コウジはまた手続きでも行うのかと思いながら首を傾げた。
「それは…城嶺ヒカリと決闘してもらいます」
「………え?」
コウジは開いた口が塞がらなかった。
「日時は三週間後の日曜日、正午にこの決闘場へ來てください」
「ち、ちょっと待ってください!僕は彼に決闘なんて挑んでいませんよ!?」
悲鳴のような聲でコウジは訴えた。
「ええ、知っています」
だが、浜曷は至極冷靜に頷いた。
「じゃあ、なんでいきなり決闘を…?」
「それが本校のクラス分けの基準になっているのです」
「どういうことです?」
「生徒を保護・拘束したSSランクの生徒と決闘させ、決著がつくまでの時間でクラス分けをしています。一分未満で敗北ならC、一分以上三分未満で敗北ならB、三分以上五分未満で敗北ならA、五分以上持ちこたえられればA+ランクになります。同様に、五分以上で相手を倒すことが出來ればS、五分未満三分以上で勝利ならS+、三分未満ならSSランクになります」
浜曷は淡々とした口調で説明をした。
「そんな無茶な…」
「そうでもしない限り、あなたの頭の回転や知識の量、能力の高さ、計畫の高さなどといった、強さの基準となる報が得られませんので」
「もっと他に方法はなかったんですか?」
「どれだけ戦えるのかを知るためには、一度誰かと戦わせなくてはなりません。偏差値を割り出す為には他人の點數が必要なのと同じです」
「そういうもんですか……」
コウジは不満げにそう言ったが、その発言に対して浜曷はこう言った。
「それに、このクラス分けは単に學園でのヒエラルキーを作るためではありません」
「……他に何か目的があるんですか?」
「ええ、このクラス分けは戦場での配置に大きく関わってきます」
「…え?何のことを言ってるんです?」
戦場?配置?一全何を言い出したのだろうか。
「【排斥対象イントゥルージョン】と、戦っている集団が存在するのは知っていますか?」
「まあ、聞いたことはありますけど、都市伝説みたいなものですよね?」
「いいえ、都市伝説などではありません。何故なら、我々が【排斥対象イントゥルージョン】を撃破しているからです」
浜曷が何を言っているのか、一瞬理解できなかった。
「待ってくださいよ。アイツらは理攻撃が効かないって言いますし、倒す方法なんて無いはずですよ」
コウジはなんの冗談かと思い、笑いながら言った。
「その倒す方法が、貴方たちの能力なんです。何故かはわかりませんが、あなた達のような能力者は奴らに攻撃することができるのです。それに、本當に倒す方法が無いのなら、今頃人類は奴らに殺されています」
「そんな……」
「しかし、全ての能力者が戦闘に長けている訳ではありません。そのため、決闘を通して戦闘に慣れさせ、固有武で生徒個人の殺傷能力を上げているのです」
この短時間で圧倒的な量の報が雪崩れ込んでくる。
つまり、俺たちは【排斥対象イントゥルージョン】を倒すためだけにここにれられたのだろうか?
「じゃあ…。俺たちは、學校の善意で転できたのではなく、最初から『【排斥対象イントゥルージョン】を倒すためだけ』に転させられたんですか?」
その聲に怒気を込めて浜曷に問うた。
「半分正解で半分間違いですね。私たちは、あなた方を保護することが最優先の目的事項です。ですが、無償で保護し続けることはできません。そこで、あなた方には【排斥対象イントゥルージョン】と戦ってもらい、人類の平和のために貢獻してもらうのです」
「そんなの聞いてませんよ!勝手すぎます!」
コウジはんだ。あのような転校せざるを得ない狀況の人間を戦力として利用するなんて卑劣にすぎない。
「じゃあ、あなたは本気で今まで通りの生活をこの學園で送れると考えていたのですか?だとしたら、隨分とおめでたい考え方ですね」
冷ややかな視線をコウジへ向けた。
「いいですか?事故とはいえ、あなたは一人の人間を殺めているのです。そんな人間が何の反省も償いも無く、元の生活に復帰できるほど世界はあなたに優しくはありません」
浜曷のから発されるその聲は全く変わっていないのだが、どこか雰囲気がガラリと変わった。
「人を殺めた償いとして、人の命を救うのです。一人殺したなら百人救いなさい、百人傷つけたのなら一萬人を笑顔にしなさい」
浜曷は真っ直ぐな視線をコウジへと向けたまま話を続けた。
「あなたが犯してしまった罪は、あなた以外贖えないのです。他人の罪をあなたが背負うことはできませんし、逆もまた然りです」
その一言に、コウジはを打たれた。
自分は今まで甘えていたのかもしれない。心のどこかで、誰もが忘れたならそれで良い。と、そう考えていたのかもしれない。
だが、そうではなかった。
誰も彼もが忘れてしまったからこそ、自分だけは自分の罪を忘れてはならないのだ。そうしなければ、自分自の過ちを戒める存在がいなくなってしまう。自分の罪を理解し、償うという決意を決めた時にコウジの人生は新しくスタートを切れるのだ。
「では、決闘までの期間、あなたに能力者同士における戦闘について私の方から指導します。明日の朝八時に、ここに來てください」
「…………はい」
結局、その後は決闘までの間利用する仮の寮室に案されて校施設の案が終わり、解散となった。
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――これは、異世界で語られることとなるもっとも新しい英雄譚だ。 ひょんなことから異世界にトリップした主人公は、ラドーム學院でメアリーとルーシー、二人の少年少女に出會う。メタモルフォーズとの戦闘を契機に、自らに課せられた「勇者」たる使命を知ることとなる。 そして彼らは世界を救うために、旅に出る。 それは、この世界で語られることとなるもっとも新しい英雄譚の始まりになるとは、まだ誰も知らないのだった。 ■エブリスタ・作者サイト(http://site.knkawaraya.net/異世界英雄譚/)でも連載しています。 本作はサイエンス・ファンタジー(SF)です。
8 109スキル:チートコード入力はスキル:検索とともに
俺は常磐 桐 異世界に召喚された。 クラスごと召喚された。
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