《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》帰還
「鵞糜がび……?何でここに…?」
ヒカリは、サナエがこの場にいることが理解できない様子でそう言った。
だが、駆けつけていたのはサナエだけではない。SSクラスの生徒は、ほぼ全員この場に集まっている。
サナエはヒカリを一瞥すると、コウジへ呼びかけた。
「塚田。云われた通り、參分待てど戻らぬから、來たぞ」
「あぁ、ありがと。 助かったよ」
2人だけで展開される會話に、ヒカリは割ってった。
「ちょ、ちょっと待って!アンタが鵞糜を呼んだの?」
「そうだ。3分経って俺と城嶺が戻らなかったら“防衛の拠點をココに移してくれ”ってな」
「な、なんでよ!」
「城嶺も痛したろ。長時間の戦闘は持っても3分ぐらい。それ以上は力と判斷力が欠けるから続かねえからな」
実際、ヒカリとコウジは力の限界だった。
今でこそ會話程度の余裕はあるが、先のような戦闘が続いていればもっと痛手を負っていたかもしれない。
「それに、これからS+の奴らも來るみたいだし、俺らは一旦退いて、他の奴らに任せよう」
「イヤよ!!アタシはまだやれる!アンタとは違う!!」
ヒカリはぶ。
だが、それに反駁したのはコウジではなくサナエだった。
「両腕と左腳の頻繁な筋痙攣けいれん。長時間の集中狀態による脳の疲労。左脇腹の毆打による痣あざ。左前腕、右肩、両、右、背中左中部の傷。またそれに伴う失。今の城嶺は戦闘所どころか、思考すら僻僻ひがひがしい。隨順ずいじゅんに退ひけ」
「で、でも……っ」
「城嶺。傲慢が過ぎるぞ。退け」
サナエに強くそう言われ、ヒカリはコウジとともに戦線から離した。
薄暗い部屋で───────────。
「ふふっ。面白そうな人ね…。彼のお名前は?」
1人の和服を著たが、微笑みながら浜曷に尋ねた。
ここは、アニュッシュ學園の地下に設えられた管制室。アテスターからってくる報をモニターで確認し、教師達が狀況に合わせた指示を出す。
「彼は、最近転してきた塚田コウジ君です」
「そう…。なかなか良い才華モノを持っているのね……」
その口調には落ち著きがあり、且つ余裕のようなものもある。
長い雪のような白の髪と、淡い碧の瞳。長い髪は膝裏までびきっており、視線は鋭利な刃のようにモニターを貫いていた。
「こんなことせずに、出撃してはどうです?河本さん」
彼の名は河本カナミ。
SSランク第1位。
才華名は〈掌握王Grasping Queen〉。
映えある學園のトップであるにも関わらず、何故か出撃はおろか自室から出ることさえない。
「そうね…。彼と一度お手合わせをしたいけれど、結果は見えてるわ…」
し殘念そうな口調で、カナミが言った。
彼の才華は非常に強力なものであるため、決闘した相手は悉ことごとく一撃で倒されている。故に、彼の才華の容を知る生徒はいない。
「それじゃあ、私は寮に戻りますね。さようなら」
「はい。さようなら」
管制室からカナミの姿が消えた。靜寂が管制室を満たす。
「河本さんが何もしなければ良いのですが…」
浜曷が不安そうにそう呟いた。
10分もしないうちに、サナエたちSSランクの生徒とS+ランクの生徒がオスプレイに乗り込んだ。
そして、機は離陸し、學園へと向かった。
行きに張り詰めていた張はなかった。だが、代わりに、攻撃をけてしまった生徒達の苦悶の聲が満ちていた。
無事に帰れることは嬉しいことだが、喜べるような雰囲気ではなかった。
小一時間で、機は學園のヘリポートに著陸した。
ドアが開くと、生徒達は或いは安堵に顔を綻ばせながら友人と、或いは苦痛に悶えながら擔架に乗せられ、それぞれ機から降りていく。
機に殘ったのはコウジとヒカリの2名のみ。
すると、何者かが機に乗り込んだ。
見やると、そこには浜曷が仁王立ちしていた。
「お二人に、お話があります」
その聲には、どこか怒りが混じっていた。
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