《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》済生
「おにーさん、暗いねぇ。そんなんじゃあダメだぞっ!」
振り返ると、小柄なが立っていた。
背丈は小さめだが、制服は近所の中學校のものだ。
しかし、その顔は夕の逆でよく見えない。
マサタはを睨むと、すぐにまた歩き出した。
「ちょっと、無視しないでよ!お兄さんだよ!那原マサタさん!」
それを聞き、立ち止まる。
そして振り返り、の肩を摑んだ。
「てめぇ、なんで俺の名前を知ってんだ」
「ふふーん。なんでだと思うー??」
「おいガキ、毆られねぇと質疑応答もできねぇか?」
マサタは左手でのぐらを摑み、右手の拳を高く上げる。
マサタは、自分をいじめている奴らがこのに何かを吹き込んだのだろうと思っていた。
だが、違った。
は不敵に笑った。
「出來るの?」
「あ?」
「おにーさん、私のこと毆れるの?自分のこといじめる人のことも毆れないクセに」
「てめぇに俺の何がわかんだよ!」
マサタは半ば無意識にそうんでいた。
だがそれは、の言うことは事実であり、反駁できないことの証明に他ならなかった。
しかしは、ぐらを摑んでいるマサタの頬を優しくで、微笑みかけながらこう言った。
「でも、それは優しいからでしょう?お父さんに、迷かけたくないんでしょ?これ以上、お父さんを悲しませたくないんでしょ?」
「…………え?」
「分かってるよ。お兄さん、優しい目をしてるもの」
「お、俺は………」
涙が溢れそうになるのを必死に堪える。
マサタはその言葉を待ちんでいた。
いつか自分の忍耐が、苦悩が、絶が、報われると信じていた。
その渇しきった心に、の言葉は深く沁みた。
ぐらを摑み上げていた手から、みるみる力が抜ける。
「お兄さんみたいな人が苦しい思いをするなんて、おかしいよね」
そう言うとは、徐にポケットから小さなチャック付きのビニール袋を取り出した。
明な袋の中には、一錠のカプセル薬がっていた。
「今の狀況を変えたかったら、これを飲んで。きっと、お兄さんにとって大きな力になるわ」
そう言いながら、は袋をマサタに差し出した。
マサタがそれをけ取ると、は嬉しそうに微笑んだ。
「それじゃあね、お兄さん」
その言葉を最後に、はどこかへ走り去ってしまった。
マサタはけ取った袋をポケットにれ、自宅へと向かった。
- 連載中34 章
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如月 星(きさらぎ せい)はごく普通の宇宙好きな天文探査官だった。 彼は銀河連邦の公務員で有り、科學や宇宙が好きだったので、宇宙探査船に乗って、宇宙探査局の命令に従い、のんびりと宇宙探査をしていた。 辺境の宇宙を しかし彼の少々変わった才能と、ある非常に特殊な遺伝的體質のために、彼は極めて特殊な計畫「メトセラ計畫」に関わる事となった。 そのために彼は萬能宇宙基地とも言える宇宙巡洋艦を與えられて、部下のアンドロイドたちと共に、宇宙の探査にでる事となった。 そしてある時、オリオン座のα星ベテルギウスの超新星爆発の調査に出かけた時、彼のみならず、人類全體の歴史と運命を背負う事になってしまった・・・ これは科學や探検が好きな一人の人間が、宇宙探検をしながら、しかしのんびりと暮らしたいという矛盾した欲求を望んでいたら、気が遠くなるような遠回りをして、ようやくその願望を葉える話である!
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