《不老不死とは私のことです》學式編 12話
斷続的に聞こえてくる発砲音に、とりあえず首を引っ込めて窓を閉めた。そして、後ろを振り返る。
「柚。ちょっとこれから揺れるから、しばらく目を瞑って、耐ショック態勢をとってて」
怯えた表で柚様がを屈め、腕で頭をガードさせてから目を瞑ったのを確認する。
「それと、後部座席の結界は?」
私の問いに、運転手が淀みなく答えた。既に顔は真剣そのもの。これから起こることに対しての恐怖も過度には見られなさそう、これなら大丈夫かな。
「出発前に確認しております」
「ならよし」
結界は、魔ともいう、魔工學技によって作られた道の一種で、異能とはまた別の霊によって作する。
今回の場合は一定範囲──すなわち後部座席の保護を行う。これで最悪手足が吹っ飛んでも命だけは助かるはず。
素早く手足周りの備品を用意する。著慣れたメイド服は暗を忍ばせやすくて助かるんだけどなぁ。それでも最低限は用意してあるので、まあ行けるだろ。
「クロエ、一般車を巻き込まないように周囲のダンジョン化」
「もうやってるよ。褒めて!」
「ウワァ、ナンテクロエハスゴインダ!」
言われてみればいつの間にか一般の車は辺りに見えなくなっていた。それと、遠くに見える一般車のきがスローモーションに見える──空間と時間をねじ曲げているようだ。
流石、腐っても魔王級異形種。即席のダンジョンのクセして規模がでかいしやってる事のスケールがいちいち違う。
後は猟犬ドラゴンを放つだけ。
「よし、トカゲGO」
勢いこんで指示をすると、呆れたような笑いが耳元に返ってくる。
「ダンジョン化ってエネルギー凄く使うんだよねぇ。これ以上働くならご褒、、、貰わないとできなーい☆」
「……クソが」
困ったことに、あの化けにこれ以上く気はないらしい。こればかりは気分次第を許す契約なので仕方がない。私は溜息をついた。
「雀さま?!」
高速で走り続ける車にも関わらず、躊躇なく車のドアを開けた私の背中に運転手の慌てたような聲が屆く。
「ちょっと片付けてくる」
唸るような風の音にかき消されて、私の聲は彼に屆かなかったかも知れないが、気にすることは無い。
──何故なら、失敗しても私が死ぬ心配だけは、、、、、、、ない。
私がドアを開けたのを好機と見たか、コチラの橫に著けるように、一気に速度を上げた襲撃者が追隨してきた。でもねえ、近付いて來るのは私にとってもチャンスと同じなんです。
「てや~」
勢いをつけた私は、とりあえず、、、、、襲撃者たちの車のボンネットに飛び乗ってみた。なるようになるだろ……うん、多分。
風の向こうで、邪龍の狂ったような哄笑が聞こえた……ので、脳でタコ毆りにしておいた。心がしだけスッキリした気がした。
「ヒハハハハッ!ヒャハッアハハハハハ!」
時折しゃくりあげるように途切れる、男の嬉しそうな笑い聲が響いた。息が苦しくなったのか、呼吸を整えながら、目元に浮かぶ涙を拭うクロエに、護衛の1人が尋ねた。
「クロエ様。その、応援などは……」
「ん?ああ。一応、バックアップだけはしてるからダイジョーブ」
目だけかして視線を合わせれば、護衛はギクリとを引いた。まるで食に睨まれた鹿のような反応に、自分がどのような生き化けなのかを知られていることを理解する。
「(──ま、今はそこそこ満たされてるから心配要らないよ)」
忍び笑いをらして、また視線を戻した。
自分たちが居る場所も含めて、一定範囲をクロエは一時的にダンジョン化している。最上位の異形種である彼にとって、時や空間を捻じ曲げることは本來片手間でもできる作業だった。
それは勿論雀に知られていて、クロエはそれが許される立場にある。だが、こうなって機嫌を損ねた彼を宥めるのは容易な事ではないだろう。もしかすると別日に決められた対価を得ないタダ働きをしなければならないかもしれない。そう考えるとしばかり面倒だったが、それでもこの場で彼をかす理由にはならなかった。
クロエの視線の先には、ハッキリと嫌そうな表を浮かべながらも、躊躇なくしっかりとボンネットに飛び移った雀がいる。
「……ははっ。雀が嫌そうな顔するの、たまんな……」
そう呟いた白い頬は紅し、目は潤んでいる。誰がどう見ても“恍惚としている”と言わんばかりのそれだった。雀が見ていたら「キモッ」の一言で蹴り飛ばしていただろう。そんな些細な事すらも、不快などころか歓心の材料にしかならない執著の深さに、クロエは自分でも驚きながらも舌舐めずりした。
「あー。やっぱり何よりも雀が一番味しそうだ」
その聲は、本人は意識しないながらも毒よりも甘い。無意識に湧く唾をゴクリと飲み込みながら、クロエはまたやかに嗤ったのだった。
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