『おい、何なんだよ！なんなんだよ！コイツは！！？？』

車には絶が満ちた。んでいる男は、今回の依頼においてチームを組んだ中でも腕利きで、リーダー的な存在で、その実績に裏打ちされた冷靜さがいかにもベテランといった印象の男だった。

しかし、そんな男が取りそうと、誰も責めることは出來ないだろう。

──なにせ、誰も、その問いに対する答えを持っていない上に、皆その心は全く同じなのだから。

発端は、ターゲットの車から飛び移ってきた貧相な印象のだった。年端はそれほどいかないと言ってもいい年齢。

染められていない鮮やかな黒髪といい、切り揃えられた髪といい、ジャパニーズホラーでよく見る日本人形を彷彿とさせるような、目にのない気な印象の。

細い手足は鍛え上げられた様子もなく、飛び移ってきたはいいものの、何も考えていなかった事がバレバレな視線の彷徨わせ様に、車には、とんだ素人が飛び込んできたと、失笑が起きたものだ。

……痺れを切らしたリーダーが、そのを撃ち殺すまでは。

それからそのは、んでも殺しても、振り落としても、殺しても殺しても殺しても殺しても、

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺しても

殺

殺

殺

殺

殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺……

「へいへい、兄さんたち、はうあーゆー？てかそろそろ殺すのは止めてくれませんかね？ほら、投降したほうが楽ですよ〜えーっと、ぎぶゆあせるふあっぷでーす、ぷりーずぷりーず」

塗れのそのが、背筋も凍るような無表で、自らのを拭いながらまた、自らボンネットへと戻って來る。

長い手足をかして這い上がるそのきは、節足じみたものを思い起こさせた。決して人間のものでは無い。

『シィネェェェェェ！！』

ズダダダダダッ！

またしても重低音が鳴り響き、の頭を砕する。ただでさえ大口徑の武は、見た目は華奢なそのの頭をスイカのように砕させた。噴水のように吹き上がったは、ボタボタと重たそうな音をたてて、先程まで、、、、と同様にフロントガラスを鮮やかな赤に染め上げた。

明らかに致命傷だ……通常ならば。

首のないのがこちら側に傾いでいく。それを見て馬鹿めと、無駄死にだったなと、下品な笑い聲を上げられたのは、隨分と遠い昔のような気もするが、さっきまでの話だ。

ベタリ、と生気なく倒れたの首先に白くが集まり始めた。

『ちくしょう、またか、化けめ！』

力を失った手のひらに、また力がるのを悪夢を見ているような気持ちで見つめる。

否。悪夢だったらどれほどいい事か。

瞬く間に、白いは赤黒い塊に変質し、の傷一つない顔へと再生した。

「……酷いことする。これ取り返すのにどんだけ金がかかると思ってるんだ。もう〜」

空間に嘆息が満ちた。最早全員悲鳴を上げる力すら殘っていない。目の前のおぞましい景から逃げ出さない事だけで一杯だった。

いや、逃げ出さないで済むのだって、んでするのではなく、この狀況で車のドアを空けて飛び出してしまえば、この高速でアスファルトに叩きつけられると分かっているから、それだけだった。

──高速？

襲撃者の脳裏に、引っかかりが生じた。

『お、おい。逃走予定のヨコハマまで、襲撃ポイントから何分かかる予定だ？』

元から心臓は煩いほどだった。だが、今は痛いほどに心臓が暴れている。

『あぁ？10分に決まってんだろ。テメェ、そんな事も確認してねぇのかよ？つーかそれどころじゃないだろ！！！』

目の前の化けをまず殺せと、先輩に當たる男が怒鳴り聲を上げた。仕事を終える手順としてはまずそうだろう。

だが。

『じゃ、じゃあ。……俺たちはどこに向かってるって言うんだ？！こうなってから何分走り続けてんだよっこの車は？！？！』

襲撃を始めてから優に10分は経過していた。始めた際に、計畫通りである事を確認している。

そして、スピードメーターが示す數字は120。つまり、予定よりし早く逃走のポイントまで著いても良い筈だった。

高速道路故、やたら滅多な分かれ道がある筈もない。すなわち、道を間違えた確率も限りなくゼロに近い筈だった。

慌てて周囲を見る。

今日は平日とはいえそこそこの通量があった筈のだだっ広い道路上には、ターゲットとその護衛の車、そして自分たちのみ。

何よりも、いつの間にか空は赤黒くを変えていた。赤黒い空が示す予兆、それは───、

『やられた！ダンジョン化だ！！！』

答えにたどり著いた瞬間、

『まずい、弾切れです！！』

ただでさえ最悪なこの狀況が、さらに悪化した事を告げる言葉が響いたのであった。

雀「でいすいず、ジャパニーズホラー！！」

そもそも、明らかに銃で武裝している相手に、ブサイクな貓柄Tシャツ1枚で挑むとは、なんて狂気の沙汰。

更新忘れてました、すみません。とりあえず高速道路での戦い(笑)は次話にて多分終了です。

あと、あらすじ欄の雀の年齢を17歳から15歳に変更。高校學なのに、17はねぇだろうよ……グズマァ！何やってんだ！！！