《高校生である私が請け負うには重過ぎる》第16話 待ち伏せ
時は進み晝休み、私は渡部先生に呼び出された。
呼び出された訳は他でもない、渡部先生が教室を後にした後、一時間目が始まる前(厳にはもう始まっていたのだけれど)に起こった件についてである。
一時間目終了時に秤井先生に騒ぎの訳を話し、當然の如くその容を擔任である渡部先生に伝えたのだ。思い返せば、秤井先生に訳を話した後、先生は一瞬申し訳なさそうな表を浮かべていた。
何せイジメをけていたかもしれない生徒に対して追い打ちをかけるような事をしてしまったのだから。
流石の鬼教師も相手の意を汲む気持ちは持ち合わせているようである。し先生の人柄を見直すことが出來た。
さて、話がよく線するけれども、私の悪い癖である。もうそろそろ直さないとなぁ。
さあ、本題。改めて要約させてもらうと——
渡部先生が出て行き、一時間目が始まる前に起こったクラスほぼ全員による土下座コール。秤理先生の誤解によりイジメにあっていた景浦君が勝手に早退してしまったこと。
その件について渡部先生から晝食をとる暇もなく呼び出されたのである。職員室に行くとそこには怪訝な表を浮かべた渡部先生と申し訳なさそうに肩を竦めて立ち盡くす秤井先生がいた。
「おお……、來てくれたか、海野。最近はよく呼び出して済まないな」
「いえ、これは私にとっても大事な話です。むしろお呼び出しを頂き栄です」
「そうか、気を遣わせてしまい本當に済まない。だが、これは由々しき事態だ。転校生イジメ。まさかとは思ったが、我がクラスで起ころうとは……」
「私からも謝る、海野クラス委員長。私の誤解で彼の傷を更に深めるようなことをしてしまった。教師として有るまじきことだ……」
何だかこれでは私の方が気を遣われている気分だ。凄く気まずい。私の至らなさが故に引き起こされてしまったと言ってもいいこの事件――私だけ悪者になりきれていないようでし癪である。
「渡部先生、本當に申し訳ない。生徒達の日頃の生活態度には常に気を配っているつもりなのだが、長年教師をしているとして、実にけない。私は教師失格だ」
「秤井先生、そう自分を責めないでください。クラスの擔任である私が気付けていなかったのです。それを考えれば私の方が何倍も罪は重いです」
しまいにはお互いに罪の認め合いを始めてしまった。普段生徒達から鬼の如く恐れられている秤井先生やいつも元気溌剌はつらつ且つ意気軒昂な渡部先生のイメージからはとても想像ができない実に頼りなさそうな姿を垣間見てしまった気がする。
「あの、先生方、お取り込み中のところ申し訳ないですけれど、休み時間も多くはないですし、用件を賜りたいのですが……」
「ああ、そうだな。山田の件だったな。我々も然り、お前も然り、そしてクラスの者然り、解っていることだとは思うが、山田の恰好のことだ。人間は他人を第一印象でどんな人間か決めつけてしまう。きっとそれもイジメに繋がった原因だろう。だがそれは仕方のないことだ。気の毒だが彼は病気を患っているのだ。彼もしたくてあの恰好をしている訳ではない」
したくてしていることは口が裂けても言えない……。
「それに彼はその病気のせいで學校を休みがちだ。友達も作りづらいだろう。これが原因で不登校になってしまうことも恐れられる。そうなることは絶対に避けなければならない。よって今日の帰りのホームルームにて急のクラス會議を行うことにする」
いよいよ大事になってきてしまった。私の誤って言ったたった一言のせいでここまで話が大きくなってしまうなんて、彼には本當に申し訳ないし、合わせる顔が無い。
「話は以上だ。この話の続きはホームルームにて行うことにしよう。本當に済まないな、晝食を食べるくらいの時間はあるか?」
「ええ、お気遣いなく。私も委員長としての務めを果たします。それでは失禮いたします」
「ああ、ちょっと待ってほしい、海野クラス委員長」
帰ろうとした時、秤井先生が私を呼び止めた。
「どうされました? 秤井先生」
「その、なんだ。私からも直接言うつもりだが、もし彼に――山田十三席が學校に來るようなら、言っておいてくれないか? 済まなかったと」
「はい。承知しました。伝えておきます」
私はそう頷いた。秤井先生が普段見せない思慮深くて思いやりのある言をするレア験を見れたと思ったら、自然と笑みがこぼれた。
話が終わって教室に著いた時にはもう十分ほどしか時間が殘っておらず、晝食を食べるには々時間が足りなかった。かと言って私もお弁當を一口も手をつけずにするのは流石にもったいないと思い、予鈴ギリギリまで食べれるだけお弁當を食べて晝食を終えた。
予定通りその日の帰りのHRにクラス會議が行われた。いじめと思しきことが行われていたと會って會議は長引き部活に參加出來ず仕舞いになってしまった人もいた。
先生に聞こえない聲で愚癡を零している人がいたけれど、自業自得である。自分には関係ないなどと考えている人もなからずいたようにじる。私はそんな人たちを見ていると、非常に口が悪くなるけれど、それってクラスメイトとしてどうかなとじてしまう。
同じ學び舎の下で學習する仲間に対しての冒涜――とは言い過ぎかも知れないけれどそれに値するほど失禮だと言ってもいいと私は思う。
その日のクラス會議は、山田くんがもし學校にまた登校してくるようなことがあれば、その時は積極的に彼に接してあげ、自分たちの口から直接謝ると言う結論で終わった。
帰りがいつもより遅くなってしまった。テストも近いので勉強を欠かすことが出來ないと言うのに、自業自得とは言えあんな言い間違いするのではなかった。だが、今日は金曜日で明日から土日で休みだ。この學校が週休二日制を導してくれていて本當に良かった。
靴箱で學校既定の上履きから學校既定のローファーに履き替え、足早に學校の正門を出ようとしたところで、誰かに呼び止められた。
「ねえ、そこの眼鏡ちゃん、お急ぎのところ済まないがちょっといいかい?」
優しく語りかけるような口調で話しかけられたけど、正門にもたれ掛かる姿はいかにもふてぶてしかった。
首元が隠れるほど襟が立った白のパーカーに、ダメージーンズという姿の男だったけど、髪はボサボサの長髪で無髭をたくわえ、眼窩がんかの奧に落ち窪んだ目には濃いくまが刻まれていた。
第一印象で、とても不健康で不清潔だと見て取れた。
そして何より、一番目につくのはの大きさだった。學校の塀の高さは目測で二メートル程ある筈なのだけれどこの人の長は明らかに頭一つ分飛び出ていた。かなりの巨軀である。
「何でしょうか? お察しの通り、私は今帰りがいつもより遅くなってしまったので、早々に家路につきたいので用件なら手短にお願いします」
何だか関わってはいけないオーラをじた私だったけれど、何かを尋ねられて無視できるほどの技量など私は持ち合わせてないのでそういう尋ね方をした。
すると男の口から、思いもよらぬ名前が飛び出してきたのだった。
「そうかい、では単刀直に訊くことにしよう。君、山奇鬼という男を知ってるかな?」
「!」
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