《雪が降る世界》第21話 〜初めての〜 瑠璃said
(どこに行くかはその日まで緒。)
「いやいやいやいや…。かっこよすぎる。さすが院の俳優さん。私が1日も一緒にいていいのかな…。絶対人気だよね學校で。あぁあすっごく嬉しい…!」
澪の雙子の兄貴って言うから可いじかなって思ってたのにめちゃくちゃ端麗な顔しちゃって…。もう、白髪のオッドアイとかアニメなの?聲もいいじだし。ホント、一目惚れって存在するんだーって実験できた。そんな人が!まさか私に!一緒にどっか行こうって!尊いよ…。世界一幸せ者だよ私は。澪に頼んでよかった〜。なんて無縁だと思ってたのに…。ましてイケメンと。しかもトップ校の理系首席でしょ?これはアウトだ…。フルコンボだ…。
遊びに行くのは今週末。だけど服がない。言い訳をすると今までずっと院してたから。どうしよう。…ネットで買うか。
「あっ、看護師さん!ちょっといいですか?服を選んでるんだけど、どれがいいか分かんなくて。」
「あらー、誰かと遊ぶの?」
「はい!璃久と。」
「えー!?いつの間に…!」
「で、どれがいいですかね〜。」
「璃久君かぁ。謎が多いよね。直接聞いてみたら?どんなのが好きって。」
「ぇぇええ?!やだ、恥ずかしい…!」
あ、澪に聞けばいいや。
「璃久の好みの服…?レディースの?」
「うん…。遊びに行くんだけど…。服とか買ったことなくて。」
「あー…。MONDとか。璃久はシンプルなやつならなんでも好きだと思う。ちなみにワンピースがいいかも。」
「ありがとう!」
調べたところMONDは通販限定のブランドだった…。それにすごい可いときた。お、シンプルなワンピース、発見。ドンピシャだ。よかった…。
あとは璃久にLINEしとこうかな。
'ねぇねぇ、私は部屋で待ってればいいの?'
あー…まだ帰ってなかったかも。今日もバイトって言ってた気がする。
'大丈夫。ちゃんと迎えに行くから。'
普通に返ってきた。あれ、記憶違いかな。いやそれより迎えに行くからって…!破壊力が。調子狂うなぁ。これじゃ余命よりずっと早く死んじゃうよ。心臓もたない…。
────週末…
「くっ…!腕が、上がらない…。もうちょっとで璃久來ちゃうのに。」
「おはよ…う…?あ、ごめん…。」
「別にいいよ…。短パンもタンクトップも著てるから。」
「それもだけど…。そういや言ってないことあったな、って。」
「何?」
「それ…そのワンピース、MONDのだよな?」
「え、すごい何で分かったの?妹とか?」
「俺がデザインしたから…w
バイトだけじゃ無理だと思って最近始めたんだけどバカみたいにヒットしてね。一応、まだ澪以外誰にも言ってない。」
なんということを…。まさか澪、このこと知ってMONDを勧めたの?この上なく嬉しいけど本人の前で著るのは気が引けるなぁ。
「すげえ似合ってる。ありがとう。」
「わぁあああ恥ずかしい…。」
なんでそういうことをサラッと言うかな。何、天然のポジションまでもってるの?
それに服まで作れるの?子なの?子でも服なんて作れないよ?あーもうだめだ。
「…璃久の私服、私も初めて見た。」
「ん?制服よりはマシかと思って私服にしたけど…いつも通りが良かったか?」
「いえいえ斷じてそんなことは…!いつも制服だから、なんか…新鮮だなぁって。」
「そっか。俺もこんなふうに私服著るのは初めてだよ。子と遊んだことなんてなかったし。」
…ということは。私、1番最初?…もうお腹いっぱいになりそうです…。いいなぁ。キレイな人って何著ても似合うよね…。璃久のソロで寫真撮りたい。なんてただの変態だやめよう。
「どこ行くの?」
「水族館。あんまり激しいところは行けないしかといってつまらないのもなって思って。魚好き?」
理由がかわいい…!
「うん!イルカ大好き!」
「あははっ、そっか、よかった。ちなみにイルカは魚じゃなくて哺類だぞ。」
「そこはいいの!」
知識に突っ込まないでよ…。私文系よ。常識って言われても知らないから!
「車椅子って電か?」
「うん。腕がきにくいから。」
「へぇー、じゃ、隣歩いても大丈夫そうだな。」
「え、押してくれるの?」
「え、俺後にいた方がいいか?」
「え、あ、ううん。橫がいい。」
天然発…。その顔でやめてよ。
まぁその…。水族館までの道ね…。もうひどいものだった。璃久ってばなんでそんなにキメてきちゃったの。視線が痛いよ私。しかも同じ學校かな?みたいな人もいて常に子に騒がれてるというか。璃久も璃久で話しかけられても超そっけないし。それがまたクールというか…。口角が1ミリも変わってないよ?
「ねぇ、璃久っていつもそんなじ?」
「ん?そんなじって?」
まさかの無意識…?いやそんなはずは。
「そっけないじ。」
「あーそうだな…。學校ではまだ心から笑ったことないかも。」
「え、すご。」
いやそれ以上に。學校で笑ったことない。でも私の部屋ではしっかり笑ってる。ということは。
「じゃあ璃久の笑顔は私だけ?」
「そうかもね。」
これはやばい。嬉しすぎる…!あのエンジェルスマイル特別に見れてる。
「あ、著いたよ。場券買ってくるから待ってて。」
「ありがとう!」
迎えに行くからといい待っててといい…。私の壽命をめる気ですか。
「わっ…。」
あ、なんかタイヤ蹴られてるここいたら邪魔かな。でもいたら璃久帰ってこれなくなるかも…。
「ちょ、邪魔過ぎ。」
わあぁごめんなさい。人多い…!そんなにぶつからなくても。わざわざ壁際通らないでよ…!
邪魔っていっぱい言われるし蹴られるし。別に痛いわけじゃないけど。
「なんで車椅子蹴ってんの?常識がなってないね。」
「!よかった〜。」
「ごめん、遅くなって。ろうか。」
さすが璃久…!みんな道開けてるよ。イケメンクオリティ高い。逆に張する。
「イルカ…。」
「…時間見に行くか。多分晝ぐらいにあるだろ。」
…車椅子で行けるかな。子供とか多そう。
「あっ、これ何?かわいい!」
「ハコフグだって…!ここまで何も知らないとは。おもしろいわー。」
「うぅぅ笑いすぎ…!」
私の無知さに笑する璃久さん。患者だから…!天才とは生きてる次元が違うの!
「あ、あれとか好きだろ。」
「何?あれって?」
「らっこ。」
「わぁ、あんなとこに…。らっこは溺れないの?」
「は?ちょ、待って、そろそろ腹筋壊れる。らっこは普通浮かんでるから。」
「え、そうなの?」
やばい、知らないことが多すぎる…。普通とか言われちゃったよ。みんなそんなの常識?
「イルカのとこ、行ってみる?」
「行きたい!」
テレビで見たやつが生で見れる…!ありがと璃久。
「水かかるから、これ被っといて。」
「うん…。ねぇ璃久?気づいてないなんてないよね?」
「え…何に?車椅子なら普通に來れただろ。」
あ、気づいてない。さっきからすごい視線をじると思ってたらまさかの璃久と同じ學校の人だ…。もしかしなくても璃久のこと好きだよね?だってずっと後にいるもんね。これは言った方がいいかな…?
「あの、尾行されてるけど。」
「えっ、誰に?」
「ほら、あの子…。」
「あぁ、知ってる奴だから。よく絡んでくるけどねー。正直超迷でな。割と困ってる。」
「私大丈夫?」
「當たり前だろ。」
絡んでくるって…。結構ガッツがある子なのね。半分ください。
「すごい、あんなに跳べるんだ…!」
「そうだな。俺も初めて見た。」
やっとショーが始まったけど。全然落ち著かない。後ろから視線はあるし。いやそれはどうでも良くて何より璃久がキラキラして見える…!やっぱ絵になるね〜。
「あの…。ちょ、ちょっと照れる…。」
「あっ、え、えーと…。ごめんなさい…。つい…。」
「ほら、終わるよ?」
「うそ、そんなに早いの?!」
「イルカにも力ってもんがあるからなぁ。」
そっか。まぁそりゃそうだよね。でも璃久のいい顔見れたし別にいっか。
「…そこで待ってて。」
…まさかのプレイバック。あ、他のお客さんがいなくなってから出るのかな。
って思ってたら何故かプールの方に呼ばれてる。なんで?
「もしかしたら元気ないかなって思って。飼育員さんに事話してちょっとだけイルカっていいよって、許可もらった。」
?!れ合い大丈夫なの?ってか理由が優しい…!璃久に見とれてたとか言えない。
「こう?わぁ、想像と全然違う!」
「元気出た?」
「うん!可い…。」
「よかった、せっかくだもんな!」
いや可いのはイルカもだけど…。璃久がすっごくかわいい。なんて言ったら怒られる。こんなに他人に気を配れる人、なかなかいないよ。…仕方ないのは分かってる。
「晝、何がいい?」
「あ、もうそんな時間?…病院で食べれないものがいいかな。」
「…よく分かんねぇからあそこってみるか。」
「なんかごめん。」
そうだよね、さすがに私の食生活まで把握してたら怖いよね。何があるんだろ。
「璃久ってあんまり食べないんだね…。背、高いのに。」
「…もう1回言って?」
「え?あんまり食べない?」
「その後。」
「背、高い?」
「嬉しい…。ありがとう。」
あれ、璃久って170あるって聞いてたけど。もしかして周りが高いとか。…確かに前に來た子は璃久より大きかったような…。そうだ、璃久細いからか。
「この後どうするの?」
「うーん…。何がしたい?」
「イルカ…。」
「イルカはどうにもできねぇだろ…!もう次のは結構先だし、その辺の店とかに行ってみるか?」
「…!」
お店にったはいいけどそんなに裕福じゃないからなぁ。イルカって高いよね。キーホルダーくらいしか手に追えない。
…あとを言えば璃久と同じもの持ってたい…!
「瑠璃にとって今日が一生忘れられない日になるように…はい、これあげる。」
「…びっくりした…!これ、ネックレス?」
「ここをこうやってくっつけたらいいじに丸になる。」
丸か…!もっと先を期待してたよ。嬉しいけど。
「イルカ見れた?」
「うん…。やっぱり高い。」
「だろうな。」
あーあ…。もう1日が終わっちゃうんだ。何でもない日は退屈で干からびちゃいそうなのに。明日からまた、余韻に浸りながらその時まで待つだけか…。
「そろそろ帰るか…って、え?なんで泣いてんの?!」
「楽しかった…!」
「なんだ、そんなことか…。本気で焦ったわ。」
違う、そうじゃないよ。璃久、賢いなら気づいてしかった。
病院まで來るとあぁ、また現実に落とされるんだな…って改めて思う。璃久に會うまではそんなことなかったのに。
「俺、七海みたいに詳しいことは全く分かんねぇけど。」
「うん。」
「けどあいつよりは理解してるつもり。これ、俺が気づいてないとでも思ったか。」
…!イルカのぬいぐるみ…。
「普通にしいって、言ってくれても、俺は大丈夫なのに。そこまで、気ぃ使わなくても。今日があるから服売ったんだよ?バイトだけじゃ生活費で一杯だから。」
「…でも、なんか厚かましいといいますか…。」
「そりゃ一般人に言われたらそうだけど。初期設定が本的に違うだろ。お前は他の人と同じように働けるわけじゃないんだから。」
「…じゃあありがたくけ取ります。ごめん、璃久だって大変だよね。」
「俺のことは気にしない、いいな?ったのは俺だから。」
うん。でも気づいてしかったのは──
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