《スクールクエスト!》19話 『要らんこと言った』
「ーーー全く、ホント、自分の部屋から一瞬で死刑執行ルームに連れてかれるにもなれよ。今も心臓がバクバクしてんだぞ」
「すまなかったと思っているよ。ただ、ボクはモリツネがバリアを出すと信じていたからね。結果オーライさ」
「お前、ケノヒカリガオカ。うっかりオレが死んだらどうするつもりだったんだよ・・・!!」
「・・・んんっ。でぇじょうぶだ、ドラゴンボールで生き返る」
「ねぇよ!!」
軽くノドの調子を確認した後、安易すぎるネタに走ったケノヒカリガオカは、悪びれもなくそう言う。
「いや実際、モリツネがいつ帰ってきても構わなかったんだけどね。その分の時間を研究・開発に充てられる訳だし」
「だろうな。ぶっちゃけた話オレが夕食の時間ジャストに帰ってきててもあの銃殺刑は執行されてただろ」
何気に、ケノヒカリガオカと暮らしてからもう半年近く経過している。コイツの歪みきった格もある程度なら理解できるようになった。
「さぁ、どうかな。ただボクと同棲どうせいしているんだから、浮気は心しないかもね。こののボクと」
半歩前を歩くケノヒカリガオカはふと振り返って流し目でコチラを見てきた。
自分でと言ってしまうあたり、日本人の徳皆無なケノヒカリガオカだが、さもありなん。
事実、彼のルビーの瞳は緻な顔貌と相まって引き込まれそうな魅力をじさせる。
「同棲どうせいじゃなくてシェアハウスだろ。要らん勘違いされそうなことを言うなよ」
「だったら寮に住めば良いんじゃないかな。それに、ボクは構わないんだよ?キミと一線越えるのも悪くない。高校生の男が1組、何も起こらない筈はなく・・・」
「ないないない!!それに、オレはそもそも寮で集団生活するのが苦手なんだよ。風呂くらいゆっくりりたいっての」
首をブルブルと橫に振って否定すると、ケノヒカリガオカはつまらなそうにを尖らせた。
ていうか、昔のオレだったらいざ知らず、現在マホという彼がいるオレにとって、ケノヒカリガオカと暮らしているというのは割とヤバくないか・・・?
一応、學校の一部を改造、改築してこんな一大コロニーでオレとケノヒカリガオカが暮らしている事を知っている人はない。
別に隠しているわけではないが、イヅルハとか、それこそ、このコロニーの元を創った現生徒會長のシーバくらいしか知らない。
「ふーん。あぁそうだ」
と、ケノヒカリガオカは何かを思い出したかのようにわざとらしく手を打った。
「例の、マシンガン型タイプの玩銃ガングガンだけどね、完全に安全だと言い切れるにはまだし時間が必要なんだよ」
玩銃ガングガンと言うのは、さっきオレがハチの巣にされかけたあの銃の事だ。
長〜中距離の攻撃法を持たない実働部隊は、玩銃ガングガンを裝備することで戦力補強をする。
まぁ、玩銃を扱うには結構な勉強と訓練が必要なんだけれど。仮にも銃なので、危険だし。
「大分しっかりできてなかったか?作不良もしなかったんだし、食らったオレが言うんだから間違いない」
「それでもね、100パーセント実用的だと言われるには、まだモリツネの助けが必要なんだ」
「・・・嫌な予がするんだが。ちなみに、なんだ?」
「あと30回程度、試行実験のモルモットになってくれると助かるね」
「心が死ぬッッ!!!」
今の打診は、例えるなら風もなく、景観も良くない場所で爽快皆無のバンジージャンプをやれと言われているようなものだ。
いや、その條件でバンジーした方がまだよほどマシだと言える。なにせ発砲直後のあの部屋は硝煙の臭いが充満していてが悪くなるし、けたたましい発は目をチカチカさせる。
そんなじで、オレは次の試行実験なるものへの參加を斷固として固辭こじすると、
「ふふ、冗談だよ。ボクがそんな酷いやつに見えるのかい?」
「見えまくりだわ。バリアが無きゃオレは10回単位でお前に殺されてるっつの」
決して大げさに言ってる訳じゃなく、オレはたびたびケノヒカリガオカの発明の一助を擔っている。主にを張る系擔當だが。
「さ、そんな話は置いといて、今日のご飯はボクが手ずから料理したお好み焼きだよ。ボクも食べのことを意識したらいい加減お腹が鳴ってきた」
「またオレのいない土日はラボにこもりつづけてロクにご飯食べてなかったんだろ」
「そう言えばキミがいない間は飲まず食わずだったかな」
「まさかの絶食!?」
オレは一週間のうち土日だけ、自分の家に帰るようにしている。別に家に帰っても誰が待っているわけでもないが、まぁ、一応。
「モリツネが居ないのにご飯を作る理由もないだろう?それに一人分だけ作るってなんかメンドくさくないかな」
「分かるけどさ、ちゃんとご飯は食えって。ただでさえケノヒカリガオカは細っちいんだからな」
上下スポーツブラしか著用しておらず、過剰にさらけ出されたは白でどこか儚げに見えた。
「ふむ、これでもBMI値は問題ないんだけどね。キミはポッチャリ系の子の方が好きなのかな」
「そうでもないぞ?ただケノヒカリガオカは余計なが無い分の方がーーー・・・。はっ・・・!?」
瞬間、自分の失言を悟ったオレは直後に來る衝撃を甘んじてけれた。
右方の壁に頭くらいの大きさのが開くと闇の中から突き出てきたボクシンググローブがオレの側頭部を直撃する。
「ぐえぁ・・・!!」
「ふん、キミはもうしデリカシーを持った方がいい。そんなことじゃ彼も作れないだろう。ボクでなかったら想を盡かしているところだよ」
ゴミを見るような目で、ケノヒカリガオカはうずくまるオレを一瞥した。
「ん?彼?あ、そうだ言ってなかったな。オレ実は今日ーーー」
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