《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第六章 ネット盜聴(第一話 依頼)
朝起きたら、珍しくオヤジから呼び出された。
「オヤジ。俺に何か用事があるらしいけどどうした?」
「タクミか・・・し待ってくれ・・・。下で待っていてくれ」
誰かと電話しているようだ。簡潔に話が終わればすぐに降りてくるだろう。
「わかった。リビングでいいのか?」
「あぁユウキも來ているのか?」
「どうだろう?今日は來ていないと思うけど・・・ユウキも必要なら呼んでおくよ」
「まずは、お前だけでいい」
「わかった」
オヤジの仕事趣味部屋の前からリビングに移する。リビングに、ユウキはいなかった。部屋に居るのかも知れないかと思って覗いたが、いなかったので、自分の家に戻っているのだろう。
そう言えば、今日は和さんが珍しく帰ってきているとか言っていたな。
10分位してから、オヤジがリビングに紙の束を持ってってきた。
「タクミ。悪いな。早速だけど、これを見ろ」
オヤジから渡された束は、前に”裏サイト”が作られていた塾のログデータの様だ。
おかしな事は見られない。なくても、俺にはなんのことかわからない。普通の通信ログだ。
「オヤジ?普通の通信ログに見えるけど?」
「そうだな。これはどうやって作されたと思う?」
通信ログは、どこで取っている?
ルータの通信ログではないのか?
ルータではないとしたらどこだ?
ネットワーク図を見るが、ここまで詳細なログが取れるじにはなっていない。複數臺の通信ログが表示されている。
「これは、部の通信ログなのか?」
「そう思うか?」
全を眺めている。
確かに違和がある。生ログではないのか?
そう考えてみると、いくつかの部分で不自然に思える場所がある。時刻がソートされていない。ログならミリ秒単位でしっかり出てくるはずだ。それが、秒単位で狂っている。もう一つがログのが不自然に改行されていないものがある。オヤジのトラップなのかもしれないと思っていたが、それでもおかしい。
それに、WIFIにログが多い。多いというよりも、殆どがスマホの様だ。なぜ?ルータならパソコンのログが記憶されるよな?
「盜聴?」
「あぁそうだ。これは、ログではなく、メールの添付容だ」
「メール?」
「あぁ偶然エラーメールとして帰ってきていたを見つけた」
ちょっとおかしくないか?
エラーメール?宛先不在で返されたのなら解るが、そもそも、塾のアドレスをリターンメールに設定するか?
「オヤジ。それっておかしくないか?」
「どうおかしい?」
ニヤニヤしやがって答えは出ているのだろう?
「メールで添付されてきた。それもエラーメールでだろう?そうなると、なくても、塾の誰かが、不明のアドレスに送信した事になる。でも、あの塾ではReturn-PathはFromと同じになるはず。だから、これは塾のパソコンから出されたメールのエラーメールじゃない」
「そうだな」
「オヤジ。その時のメールのヘッダは?」
持ってきていないなんて事はない。
メールのヘッダを印刷したを出してきた。
はぁ?
Return-Path は、フリーで取得できるアカウントになっている。To は、めちゃくちゃだな。
.jp になっているけど・・・。明らかに怪しい。
From が塾の管理者アカウントになっているのか?
なんでこんな事をする?
Content-Type でUTF-8を指定しているの、Subject ではISO-2022-JPが指定されている。Message-IDもめちゃくちゃだな。ローカルIPは一萬歩譲って許せるとしてもなんでここで漢字が使われている。
リビングのパソコンを立ち上げて、部屋のサーバにログインする。
そこで、.jpドメインに関して調べる。取得はされているようだし、めちゃくちゃなサブドメインもDNSで調べる事ができる。メールアカウントはエラーになるようだ。ユーザが作られていないと言ってくる。
有名なレンタルサーバで運営されているな。ここなら、こんなメールはSPAMとして弾くだろう?
あぁぁぁぁ
オヤジを見る。そうか、Return-Path にエラーメールを返してもらうためのメールだな。
そうなると、本命はフリーアカウントのほうか?
フリーアカウントに問い合わせを行ってみるがすでにアカウントがロックされているのかエラーになってしまう。
そうか、アカウントが死んだから、エラーメールが From に返されたのだな。
「オヤジ。これだともう追跡できないぞ?」
「そうだな。お前が盜聴していた犯人だとしたらどうする?」
「あっ!」
そうか、メールが飛んでこなくなったら、信できる方法を考えるけど、早いのはもう一度盜聴を仕掛けることだな。
「タクミ。お前、作業部屋がしいと言っていたよな?」
「あぁ寢室と一緒だと手狹になってきた。なんだかんだで機材が増えているし、ユウキが來るから見せられない書類を置いておく場所も必要だからな」
「そうか、この依頼をこなしてくれれば、作業部屋をやろう」
「本當か!」
「この依頼だけだと足りないから、もう一つ、簡単な依頼をけてくれれば、作業部屋と前からしがっていたフリーSIMが刺さるルータをやろう」
「え?その依頼は?」
「この依頼が終わってからだな」
「本當だな?」
「あぁVoIPルータで蔵無線WAN対応型だ。もちろんIPSecにも対応した奴で、RTXシリーズ機能も搭載したモデルだ」
「よしけた。誰からの依頼だ?」
「俺たちからになる」
「わかった。依頼容は?」
オヤジから出てきた書類を読む。
犯人を特定する必要はない。
盜聴方法の特定と、再発防止策(案)。及び、できるだけ犯人に繋がる報を引っ張り出す事。
これだけだ。
條件として、ユウキを連れて行く事となっているが、塾に行く事になるから、勉強させる事が目的なのだろう。
全部諾する旨を伝えた。
作業部屋が手にる。
オヤジが使っている部屋だろう。あのくらいの広さがあれば、機材を増やす事もできるし、TVも置くことができるかもしれない。本棚も新調したいし、夢が広がるな。
先輩たちとの旅行の前には終わらせたいな。
ユウキに連絡しておかないとダメか・・・。そのうち來るだろうから、ネットワーク図を眺めながら待っている事にしよう。
俺ならどこに盜聴を仕掛ける?
そもそも何が目的なのだ?
メールのヘッダやログの容からは、犯人の意図が見えない。
もしかしたら、やってみよう程度の覚なのだろうか?
オヤジはすでに仕事に向かってしまって、家から出ていった。
話を聞くことも出來ない。依頼主は、オヤジの會社になっている事から、塾には緒で調べろという事なのだろう。
メールが屆いた。
オヤジからだ。
塾には、俺とユウキの2人が短期で通うコースに申し込んだ旨が書かれていた。
名前を言えば大丈夫らしい。
「タクミ!」
丁度よかった。
今日は玄関からってきた。
「おぉ!リビングに居る」
パタパタと小走りにやってくる。
「タクミ。ママから、タクミと一緒に塾に行くように言われたけど、なにか知っている?」
和さん早速ユウキをこっちに送り出したな。
「あぁオヤジに言われた。ユウキと塾に行けってさ」
「そう?」
「いつから?」
「今日からみたいだぞ?短期みたいだぞ」
「わかった。著替えてくるね」
「著替え?」
「うん。部活の朝練から帰ってきたばかりだよ。汗もだけど勉強するのに気持ち悪いよ」
「そうか、塾の時間まで、まだ時間があるから、シャワーも浴びちゃえば?」
「そうする!お風呂を借りるね」
「お・・・おぉ」
ユウキは、何も言わないで、占拠している部屋に向かった。
著替え一式が置かれているのだろう。どうやら、和さんが時々やってきて、著替えを補充しているようだ。
そのうちユウキがやってくるだろう。
このじだと、晝飯もこっちで食べていくだろう。
案の定、こちらのきを見ていたかのように、和さんからメールがった。
やはり、晝飯はこっちで食べさせてしいという事だ。桜さんも和さんも仕事で出かけるらしい。今日は、帰ってこないから、塾が終わってからもユウキはこっちに居るように言ってあるようだ。
了解の返事を出しておく。
おふくろにも連絡をれておく、食材で使ってはダメながあるか確認するためだ。
すぐに返事が帰って來て、使ったを教えてくれれば買って帰るという事だ。
ついでに無くなりかけているを、買いリストにれておいてしいと言われた。
キッチンに向かって、食材を調べた。
パスタがもう無くなりかけている。米はまだあるが、最近ユウキが好きで食べている発芽玄米が無くなりかけている。薄力もなくなっているし、オヤジが使うコーヒーシュガーもなくなっている。
ユウキしか使わない。チョコレートバターやメイプルシロップも無くなりかけているので、買ってきてもらう事にした。
あとは、野菜室を覗いて無くなりそうな野菜の手配をした。かなりの量になったが、車だから大丈夫だろう。
ユウキの奴・・・。遅いな。
音がしないからシャワーはまだだよな?
「ユウキ!」
「え?あっなに?」
リビングにってきた。
著替えと下著を持っている。
「あっ今からだったのか?」
「うん。塾に何著ていこうか悩んでいたの」
「そうか・・・。晝、まだだろう?」
「うん」
「何がいい?」
「うーん。ホットケーキでいいよ」
「わかった。何枚?」
「二枚!一枚は、チョコレートバターで、もう一枚はメイプルで!」
「わかった。焼き始めるから、シャワーを浴びてこいよ」
「うん!あっタクミ、バターはたっぷり塗ってね」
「太るぞ?」
「大丈夫。それだけいているよ!」
「そうだな。わかった。メイプルシロップの方に、バターを塗っておけばいいよな?」
「うん!」
リビングから風呂場に向かったユウキを見送った。
はぁ?あいつ・・・またかよ・・・。ユウキが立ち去った場所には、下著が落ちている。多分、さっきまでにつけていただろう。あいつの癖で風呂にる前に、下著をいで洗濯と一緒にまとめてカゴに放り込む。
「ユウキ!下著、ブラが落ちているぞ!」
「あ!ごめん。ネットにれるの忘れてた!タクミ。ネットにれておいて」
「あぁわかった」
ユウキのブラを拾い上げて、所に向かう。
すでに中にっている事は音で解る。所に洗濯ネットがあるから、その中にユウキのブラをれておく。おふくろが明日にでも洗濯するだろう。しなければ、ユウキに洗濯させればいい。
ユウキが食べるホットケーキを焼きながら考えてみるが、塾のパケットを盜聴する意味がわからない。
ゲームしている奴が居るが通信は暗號化されているし、サイトくらいしかわからない。IDとパスワードのハックか?スマホからのアクセスが多いから、それも考えにくい暗號化されないサイトでは警告がでる様になっているはずだ。
メールは、塾からは出さないように言っているし、パソコンからは全部SSL必須にしている。
オヤジのログの違和はそれだな。暗號化されていないメールが流れている。ループバックからのメールなのか?そうなると、サーバ機能を有している盜聴という事になる。ますます目的がわからない。
おっと焦げる寸前だった。
これは、俺が食べればいいか・・・。ユウキには、こっちの綺麗に焼き上がった方を渡さないとな。ユウキは自分では焼かないくせに、綺麗に焼かれていないと文句を言うからな。
俺は、この前作ったジャムでいいかな。俺がジャムで食べ始めたら、ユウキもジャムで食べると言い出すだろうな。二枚じゃなくてし小さいサイズで三枚焼いておくか?
ドライヤーの音が聞こえ始めたから、そろそろ出てくるか?
よし焼けた!
「タクミ!」
「おぉ丁度焼けたぞ。チョコレートバターとメイプルシロップは出してあるやつを使えよ」
「あれ?し小さいよ?」
「あぁジャムをこの前作ったからな。食べるだろう?」
「うん!」
以前は、2人だけのときには正面に座っていたが、最近は俺の橫に座る。
オヤジとおふくろが居る時にもこっちで食事をするから自然と定位置になっているのだろう。
「あ!そうだ、タクミ。”ボッター”って知っている?」
「ん?”ボッター”?知らない。なんだそれ?」
「うーん。僕も詳しくは知らないけど、なんかゲームとかで自でかして居る人達のことみたい」
造語だろうな。
BOTを使っている人たちという意味で使っているのだろう。
「それなら、なんとなく解るぞ。BOTだろ?」
「そうそう、なんか、そんなことを言っていた」
「それで、BOTがどうした?」
「うん。なんかね。學校でゲームやっている子がね。ボッターにやられたとか言っていて、なんの事かわからなかったから、タクミなら知っていると思ってね」
「ゲームは、一通りの知識しかないからな。普段、ゲームをやらないからな」
「そうだよね」
「でも、BOTの簡単な仕組みなら解るぞ?」
「え?本當?簡単に、すごくすごくすごく簡単に教えて」
「はぁ・・・まぁいいか・・・」
簡単に説明した。
わかったのか?わからなかったのか?判斷が難しい所だけど、自分なりに理解してくれたようだ。
「それで、なんで、そのBOTがキャラクターに悪さするの?」
「あぁ・・・」
ゲームの説明をしなきゃならない上に、かなり面倒な説明が待っている。
簡単に教える方法がないか?
考えても出てくるじゃないから、晝飯を食べてから、実際にやって見せて納得させるのが・・・・。
「わかった。ユウキ。後で説明するから、まずは晝飯を食べよう。冷めたら味くないだろう?」
「そうだね!せっかく、タクミが焼いてくれたから、味しく食べないとね。あっ!フルーツジュースが飲みたいな。僕!」
「はい。はい。お姫様がご所すると思いまして、いちごとブルーベリーとラズベリーのジュースを作ってあるけど、それでいいよな?」
「うん!」
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