《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第二話 作業場所
オヤジは、そのままリビングに移して、ソファーではなくダイニングテーブルに座った。
俺に正面に座るように言った。
オフクロが用意してあった珈琲をれて、俺に渡してくる。
正直、オヤジがいれる珈琲は濃い。俺には合わない。
「それで?」
「結論を急ぐな。まずは落ち著けよ」
「あぁ」
オヤジがれた濃い珈琲を飲む。やはり濃い。よくこんなに濃い珈琲を飲めるものだ。
「旅行はどうだった?」
「楽しかった」
「そうか。どこに行った?」
「ん?オヤジは知らないのか?」
「あぁ伊豆とだけ教えられたが、詳しい行程は聞いていない。和が、何やられ知恵をしていたから、無茶な行程じゃなかったか?」
「うーん。行程は無茶じゃなかった。泊まった場所が、酷かったけどな。ユウキと相部屋とは何を考えているのかと思ったぞ」
「そうか、そのくらいは、お前が悪いから甘しろ」
「わかっている」
オヤジは、濃い珈琲を飲み干している。
「さて、タクミ。仕事の報酬に関しての話をしよう」
「おっおぉ」
斜め上の話になったが、俺としては嬉しい。ユウキのことを聞かれても答えに困ってしまう。
今日はっきりしたのだ。まだ自分の中でも消化できていない。今日くらいは、ゆっくり考えたい。ユウキ次第では駄目かも知れないけど・・・。
「前から、作業部屋がしいと言っていたな」
「え?」
「今の部屋は、寢室を改良した部屋だ。使わない材をれておく部屋は、ユウキに占領されている」
「そうだな。ユウキを追い出すのか?」
「それでも良かったが、和から反対された。今更、ユウキを返されても困ると言われた」
「え?は?悪い。言っている意味がわからない?」
「ん?あぁお前には言っていなかったな。桜が転勤になる」
「え?桜さんが居なくなる?ユウキは引っ越すのか?」
「いや、通える場所だから、引っ越しはしない。その代わり、ほぼ家には帰ってこなくなる。そういう部署だ」
「・・・。捜査が出來る部署に戻るのか?桜さん?」
「うーん。また微妙なじらしいけどな。まぁ桜の話は置いておいて、桜が居なくなるのなら、今の家を改築して事務所にすると言い出している」
「え?和さんの事務所?弁護士の?」
「そうだ、お前も知っているだろう。未來が、和の事務所を引き継ぐ。和は、自宅兼事務所にして、和が本當にやりたかった案件を取り扱う」
「・・・」
「その案件は、金にならないから、事務所の維持費やスタッフを養えない。だから、未來が事務所を引き継ぐ。もちろん、和もサポートはするらしいけどな」
「そうか・・・。でも、ユウキの居場所が、なくなる・・・。というわけじゃないのだな?」
「そうだが、和が、取り扱いを考えている案件がちょっと特殊で、ユウキが家に居ると問題になる場合もあり得る」
「そうなのか?」
「そういうだと考えていればいい。実際に、運営が始まればわかるだろう」
「わかった。それで?」
「あぁそうだな。お前の作業場所を確保した。そこを、お前にくれてやる」
「え?オヤジの作業場所を貰えるのか?」
「はぁ?お前に、俺の作業場所を渡すわけがないだろう?自分で作れ!」
「は?オヤジ。意味がわからないぞ?」
オヤジは、電子キーなのか、リモートキーのようなを投げてきた。
「これは?」
「その場所の鍵だ」
「え?」
「著いてこい」
「あぁ」
わけがわからない。
鍵?
作業場所だから、狹い場所では無いだろう。今の部屋よりも狹い場所なら作業場所にはならない。
オヤジが立ち上がった。車で移するのかと思ったが、違う。雪駄を履いたから、すぐ近くなのだろう。
ドアを開けて外に出る。
庭に地下室があるのは知っている。昔、ユウキと探検したことがある。
地下室なら嬉しい。子供のときの記憶だけど、広かった印象がある。ユウキと二人でかくれんぼができた。
オヤジは、庭に向かわない。
そのまま玄関の門を出た。近くに事務所を作ったのか?オヤジが事務所を作るとは思えない。
そのまま道路を渡った。
二車線道路の反対側だ。車がきていたので、待ったがしだけ待てば渡れる。
篠崎家と森下家の正面辺りでオヤジが止まった。誰かが迎えに來るのか?道路を見ている。
なにかを待っていたようだ。
「來ないつもりだな」
「ん?」
「いい。気にするな。タクミ。ここだ」
「え?ここ?この前まで建築中だった家だろう?」
「お前の家だ」
「は?」
「すまん。違った。お前とユウキの家だ。篠崎家と森下家で半々で出したから、お前の稼ぎで返せよ。高校と大學卒業までは、俺と桜と和と沙菜で持ってやるけど、それ以降は自分たちで払えよ」
「ちょ・・・。ちょっと待て!なんの冗談だ!?」
「冗談を言っているように思うか?」
「ここは、ちょっと特殊で、道路で學區が別れているけど、郵便番號は同じだ。お前達が卒業して籍をいれるまでは、俺と桜の別宅扱いにしてあるから安心しろ」
「オヤジ!俺の話を聞いてくれ?何が、どうして、こうなった?」
「お!いいじに混しているな」
「當たり前だ!オヤジ!桜さんも気でも狂ったか?」
「大丈夫だ。中學の時から狂っている。特に桜はおかしいからな。だから安心しろ。和も沙菜も承知している」
「だから、ちょっと待て!ユウキは、そうだ!ユウキは?」
「だから、賭けをした。俺と桜とユウキで・・・」
「え?」
「旅行の最中に、タクミがユウキに告白したら、ユウキの勝ち。タクミと住むことを許す。もし、タクミが告白しなかったら、ユウキと桜は引っ越しをする」
「はぁ?あいつ・・・。そんな・・・」
「そうだな。言わなかっただろう?」
「あぁ」
「だから、ユウキは、賭けに勝った。お前は、広い作業場所が手にる。ユウキが付いてきたけどな。問題はないだろう?ユウキが遠くに行くよりもいいだろう?」
「そうだな」
オヤジや桜さんに何を言っても駄目だ。
オフクロや和さんも承諾している。ユウキも知っている。多分、先輩たちも知っていたのだろう。そうなると、未來さんも知っていると考えたほうがいいだろう。本當に、俺だけが知らなかったのか?
「どうする?いらないのなら、今ならまだ間に合うぞ?この家も貸せばいいだけだからな」
「いや。俺が仕事の報酬で得た権利なのだろう?」
「そうだ」
「それなら、喜んでもらう。あとで、桜さんに、ユウキを貰うと宣言してくる」
「おぉそうしろ!俺も見に行く!沙菜も、もうししたら帰ってくる」
「あぁ」
「タクミ。まずは、作業部屋を確認しろ」
「作業部屋で押し通すのだな」
「あぁ作業部屋だからな。お前たちの家は、迎えにある篠崎家だからな。ただ、眠くなったら作業部屋で寢てしまう可能がある、帰ってきてからすぐに作業を行えるように、著替えとかを用意しなければならないから、洗濯機があるし、著替えたら風呂にりたくなるから、風呂もある。そんな作業部屋だ」
「わかった。わかった。作業部屋だな。それで、どうしたらいい?」
「車と同じで、鍵を持っていれば、ロックが外れる。門のロックは暗証番號で開く。今は、ユウキのスマホの下4桁になっている」
「わかった」
ユウキのスマホの番號なんて・・・。スマホを取り出して、ユウキの電話番號を確認する。
俺の誕生日だ。こんなにも、ヒントがあったのに・・・。
オヤジを見ると、ニヤニヤしている。知っていてわざとユウキのスマホの番號だと言ったな。
俺の誕生日を力すると、ロックが外れた。
門から、3mくらい奧に引っ込んでいる。バイクが置ける。門には、宅配便のけ取りができる箱まで付いている。かなりの大型まで収納できるタイプのようだ。後で使い方を見ておこう。
庭は、森下家のじに近い。小さな花壇がある。
「地下室があるけど、庭から行ける場所とは違うからな。庭の空気が無い。劣化が怖いをれておけよ。ホームアシストに説明があるから大丈夫だろうけどな」
「わかった。ホームアシストがあるのか?」
「當然だろう?俺と桜とマナベと九十九のしゅ、努力の結晶だからな」
「オヤジ、趣味と言いかけたな」
悪意よりもたちが悪そうだ。
案された限りではまともだな。
オヤジとマナベさんが絡んでいる時點でまともじゃなさそうだ。萬人さんがストッパーにはならないな。家電は、一通り揃えてくれているようだ。明日からでも住めそうだ。ベッドが一つしかないのは、和さん辺りの指示だろう?風呂場も、篠崎家と同じかそれ以上に広い。サウナまで付けている。
本當に趣味の塊だな。
ネットワークや家電は明日以降にしよう。
まずは、筋を通すために、森下家に行こう。
自分の気持ちに気がついた日に、相手の両親に挨拶か・・・。急ぎすぎか?ユウキの気持ちを確認してないけど・・・。俺に緒にしていたのだから、この位はいいだろう?
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