《僕はまた、あの鈴の音を聞く》2章 No.3 引っかかる
僕らはその後、公園近くのデパートに向かった。
「しん君、朱莉ちゃん。まずは本屋に行ってみない?」
まず初めに、穂波の提案に従って僕らは本屋へと向かうことにした。
「本屋って、全ての本を売っているのかな?」
単純な疑問を呟くように言ってみた。
「それはないと思います。仮に全ての本を常識の範囲で売り切れにならないくらい蓄えるとすると、ここのデパートが埋まっちゃいます」
「えっ!そんなに.....」
また一つ、知らないことを知った。
僕と木霊がこうして會話してる中、穂波は熱心に何か探していた。
「ねぇ、穂波。何を探しているの?」
「えっ......わっ!い、いや〜、何でもないよ〜。ほら、しん君は朱莉ちゃんとあっちで待ってて」
慌てて、先ほどまで手に取っていた本を僕に見られまいと背中に隠す。
「分かったよ。待ってる」
「うん、待ってて......」
それから、僕らはデパートを満喫した。
服屋や雑貨屋。文店にゲームセンター。
晝食をフードコートで済ませ、僕らは次に向かうところを相談していた。
その時、僕は遠くにいる青年• •が目に映った。
ぼんやりと見える。
長は僕と大差なく、どこにでもいるような青年。
誰かは分からない。
けど、何かが引っかかる• • • • • • • •。
ーー知ってるのか?
ーー知らない、いや、思い出せない。 
そして、そいつ• • •は人混みへと紛れていった。
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