《栴檀禮賛》完璧きわまりない計畫
彼の計畫は完璧だった。まさか頼まれた『再テスト乗り切り』の『その先』にまで考えが及んでいるとは。
そして、彼はこの特別補講に特殊なルールを設けた。それは『誤字字の訂正の時以外は消しゴムを使わない』や『分からなくなったら空欄や無理やり埋めるのではなく何が分からないのか的に書き出す』などだ。
先輩達は、必死に解き進めて行った。しかし、彼らにとって弱點だらけの専用テキスト。詰まらないワケが無い。
しかし、彼らはトコトン先述の特殊ルールを守った。消すのは誤字字だけ。分からなかったら、何が分からないのか書く。
それをひたすらに繰り返し、そして、小一時間経って全員が解き終わった。
そして僕がササッと回収し、アミの所へ全て持っていった。
「アミ、集め終わったよ。」
「ありがとう。先輩方、今日は解散して良いですよ。また明日、ここにいらしてください。」
「起立! 禮!」
「「「ありがとうございました!」」」
先輩達は挨拶すると、そのまま帰っていった。僕とアミはその場に殘った。
「アミ、この特別補講、どんなプロセスで先輩達を上に持っていくんだい?」
「まず特殊ルール2つ作ったでしょ? そのルールがかなり大事なの。」
「なるほど?」
「今日の私の狙いは『分からないを分かる』って所。彼らは恐らく、今まで課題やらを生半にやってきたのだと思う。
だから彼らのステージはまだ『何がどう分からないのか分からない』という點。そこを私が的に問題出してあげて『分からなかったら何が分からないのか的に書いてみる』っていう負荷を與えてあげた。
そして2つ目の『誤字字以外は消さない』というルール。これは分かったと思って書いたものが不正解だった場合、彼らは消すと思う。だけど、その『不正解』はとても価値のある『不正解』なの。
一度は自分はこう考えた、しかしダメだったという、言わば『學習の足跡』を消させないようにするために『誤字字以外は消さない』というルールを設けた。
この2つ目のルールに関しては、次回以降からジワジワと効いてくるハズ。」
「次回以降の問題はどうするの?」
「當たった問題は、克服済として排除。代わりに新しい問題を組み込む。
間違えた問題や、分からなかった問題はそのままもう一度出す。ここでやるのが、安易に模範解答を與えないという事。一度しっかり考えさせる。そこで解かせた上で模範解答を見せてあげる。」
「なるほど。抜け目ないね。」
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