《栴檀禮賛》新たなルールと妥協案

今回の特別補講は、ちょっとだけ容が違っていた。アミは今までの特別ルールに加えて、特定の問題に関して理解度が高い人をミニ先生とし、理解できてない人に教えさせている。

「このやり方って、何か良い効果あるの?」

「うん、そもそも『他人に教えられるぐらい理解してる人』ってのは、理解度のテッペンまで來てる人なんだ。だから『誰かに教えることによって定著する』上に、教えられた人は『理解度のテッペンに居る人から噛み砕いてもらう』こともして貰える。かなり効率的に上達するんだよ。」

「なるほどなるほど、でももし理解度のテッペンに居る人が間違えて理解していたら?」

「その時は、都度ワタシが指摘して修正していくから大丈夫。」

「やっぱアミの考えることは完璧だね。」

「いやいや、まだまだ未者ですよ。」

アキバはマキに勉強を教えてもらっている間、心ここに在らずといったじであった。

「......って事なのよ、ここまでOK?」

「ん......あぁ。」

「ちゃんと聞いてた?」

「あぁ......」

「じゃあこの問題解いてみてよ。」

「うん。」

アキバは何かに不快な塊がドンと居座っているような気持ちを抱きながら、マキに出された問題をチクチク進めて行った。

先程ケンジがアキバに投げたジッポライター、それは昔アキバからケンジに贈ったであった。

2人がまだ野球部にりたてだった頃、まだ「甲子園に出てやるぞ!」とデカい夢を語るだけ自由だった頃、アキバは「俺がもし甲子園に行くっていう夢を忘れかけたり、お前らの所から去りそうになったら、コイツを俺に投げつけろ。」とケンジにジッポライターを渡した。

その時ケンジは「バカみてぇに本気だよナお前は。」としバカにするように笑って済ませたが、彼は彼なりにキチンと約束を覚えていたようだった。

アキバはマキに勉強を教えられている間、ずっとケンジの聲がリフレインしていた。「ダチを取るのか? オンナを取るのか?」という無慈悲な二者択一。

「なぁマキ。」

「なぁに?」

「一つ案があるんだけど。」

「言ってみて。」

「マキは俺がアミから教えてもらうのが気に食わなくて、ケンジは俺と一緒に勉強がしてぇと言っている。」

「そうだね。」

「そこでだ、俺はあの教室に戻って皆と一緒に座るが、アミからの講義は一切けない。代わりにケンジとか周りのヤツらに教えてもらう、コレでどうだ?」

「はぁ......ホントに分かってない。」

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