《栴檀禮賛》無頼漢と黒文字と懐紙

アミはハヤテと別れた後、駅から一人暮らししてるマンションまでの道を急いだ。しかし、夜ご飯も食べて採點もしたもんで、まぁまぁ遅い時間ではあり、當然と言うべきか、夜道を1人で歩いてるの子に話しかけるような不埒な輩は居るものである。

「ねェ〜、そこのオネーサン、俺とちょっとお茶してかな〜い?」

アミはこんな時世に、よくもまぁそんな古臭いセリフを吐けたもんだと思いながら、無視して歩いた。

「ちょっと〜、アンタのことだってばァ〜。」

その輩は、図々しくもアミの肩を摑み、無理やり呼び止めた。

「はァ......お茶ですか?」

「そぉそぉ! お茶お茶!」

「では、懐紙と黒文字は當然用意できてるのでしょうね?」

「ァん? カイシ? クロモジ?」

「はぁ......懐紙も黒文字も用意できてないのに、見ず知らずの婦人をお茶にうとは......もうし勉強してみては如何でしょうか?」

「このアマ......バカにしてんのか!」

男がブチ切れて手をあげそうになった瞬間、謎の人が男の兇行をピタッと止めた。

「俺の『先生』に、何か用かな?」

「て、テメェ......ケンジ!」

「お、俺のこと知ってるとはウレシーねぇ......なら尚更、懐紙と黒文字は分からなくても、俺の知り合いに手ぇ出すって事の意味、分からねーワケじゃねーだろ?」

「チッ......クソっ!」

男は捨て臺詞を吐きながら、走ってその場を後にした。ケンジは男が見えなくなるまで睨みつけた後、優しい面持ちでアミの方を見た。

「ケンジ先輩......ありがとうございます。」

「いやいや、良いってことよ。」

「さっきの男、先輩の顔みた途端ビビってましたけど、先輩そんなに名を売ってたんですか?」

「ん、まぁな。まだ中坊だった頃、まだまだギムキョーイクだぜーなんつって々バカやらかして來たからな。その中でも、特にヤバかったかなって思うのが、仲間ボコられて復讐の為に100対2をやった事かな。」

「なるほど、それで有名に。」

「まぁ悪目立ちだけどな。」

「因みに2って言うのは?」

「俺とアキバだ。」

「アキバ先輩も昔ヤンチャしてたんですね。」

「なんなら俺なんかよりアキバの方が、ずっとずっとクソヤンキーだったぜ?」

「えぇ......意外です。」

「だろ? 今じゃ考えられないよな。」

「はい。」

「だから、俺はアイツに......」

「ん?」

「いや、何でもない。」

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