帰宅後、アキバはまた荷を抱えたまま自室に戻り、2人にとって初めての七夕でマキと撮った寫真を見た。

マキは昔から人一倍に獨占が強いの子だった。故に、アキバは付き合ってからマトモに他の子と話すことすら出來なかった。

アキバは付き合う前から、その獨占の強さの標的だったのだが、それを『一途な人だ』と勘違いしてしまった所から心は生まれた。

いわゆる『痘痕も靨あばたもえくぼ』のピンクレンズ効果と言うやつだ。落ち著いて良く考えれば短所に見える所も、心という眼鏡のフィルターによって長所に見えてしまう。

「なんで気づけなかったんだろ。」

アキバは、マキのにめられていた獨占の強さに、もっと早々に気づくべきであったと反省しながらも、彼のことを完全に切り捨てるようなことに対しては、未だに躊躇の念があった。

「うぇい〜、タイヨウ一杯付き合え。」

「なんだよ父さん、いきなりって來て。」

「まぁイイからイイから。」

アキバ父はアキバの勉強機の上に酒とコーラをドンと置き、一方のグラスに酒を、もう一方のグラスにコーラを注いだ。

「なに難しいカオしてんだよ。」

「父さんには関係ないだろ。」

「んなこたねぇよ、大事な息子の悩みだ。」

アキバ父はコーラりのグラスをアキバに渡し、自は酒りのグラスを手にした。

「はァ......マキとの事で悩んでんだよ。」

「なんだ？ 妊娠させちまったとかか？」

「そんなんじゃねーよ。マキの獨占が強すぎて、他のの子とマトモに話せねーの。そのせいで、あるの子から野球部全員が補講けてんだけど、俺だけけられないみたいな狀態になっちまってるワケ。」

「ほーん、そら大変だな。」

「どっちかを選ばないといけないんだ。ダチかオンナか、その選択がずっと俺の頭の中を駆け回ってんだ。」

「どっちか？ お前は何を言ってんだ？」

「は？ だから......」

「なんでもっと張らねぇんだ？」

「え？」

「どっちかじゃねぇだろ、お前はどっちも選ばねぇといけねぇだろ。ダチもオンナも、どっちも選んで初めて1人前の男ってもんだ。」

「あのなぁ、簡単にどっちもなんて言うけどな、どっちも選べるワケねぇーだろ？」

「お前がまだその段階にしか居ないなら無理だろうな。大事なのは『出來る』って思うことだ。ハナっから『無理だ』なんて思ってるは、どっち選んでも失敗するだけだ。二兎捕まえる鷹になれ。」