僕は大きなアクビを一つした。いま僕はバイト真っ最中。ホントなら深夜の時間帯でる予定は無かった(というか高校生だかられるハズ無い)のだが、本來シフトるハズだった奴から「ごめん！ 今日バイト行けんくなった！ ピンチヒッターよろ！」と連絡があったので來た次第だ。

深夜のコンビニバイトはまぁ暇だ。東京都心とかなら、ある意味めんどくさい酔っ払いとかが來るんだろうけど、ここら辺じゃ迷客とかはあまり居ない。

この時間帯でコンビニ使う客なんて、終電逃して迎え待ちしてる大學生とか、殘業が終わって一息つくために立ち寄ったサラリーマンくらいなもんで、大學生は雑誌コーナーで週刊誌を立ち読みしてるだけ、サラリーマンはトイレにっていっただけだ。

やる事といっても揚げってる奴を拭くだけ。至って暇、眠くて仕方ない。そう呑気に思ってた所、いきなり僕の眠気を覚ますような出來事が起きた。

「いらっしゃいませー......って、ショウタ！」

「よぉハヤテ、ちこっとココ借りるぜ。」

ショウタはそう言いながら、2人のガラの悪い男達を連れて店してきた。2人の名前は知らないので、外見的特徴から便宜的に『ノッポ』と『デブ』と名付けることにした。

まずノッポが僕の前......つまりカウンターのド真ん前に立った。そしてデブは雑誌コーナーで週刊誌を立ち読みしてた大學生に近づき、その大學生の顔を週刊誌にグイと押し付けた。

僕が何だ何だと困していると、いきなりノッポは、カウンターの上に置いていた僕の指の上に小銭を乗せてきた。100円玉4枚、50円玉1枚、10円玉4枚、5円玉1枚、1円玉3枚、計498円が僕の指の上に乗せられた。

僕が困しながらショウタの方に視線を向けると、ショウタはトイレの出り口の目の前で仁王立ちをしていた。

「一なんなんだよ！？」

「まぁまぁイイからイイから。」

ノッポはそう言いながら、カウンター前のテーブルに置いてある498円の焼きそばを取り、中をカウンターの上にブチ撒けた。

僕は唖然としながら見ていると、ノッポはコッチを睨みながらカウンターの上の焼きそばをモチャモチャと食べ始めた。

僕はあまりにもワケが分からず、まさか指に置いた小銭で金を払ったとでも言いたいのか！ とノッポにブチ切れそうになったが、僕がそうなるよりもし早く、奧の方から「ドンガラガッシャーン！」という凄い音が聞こえてきた。

僕はそっと音がした方に視線を移すと、そこにはトイレ出り口のすぐ近くで倒れているサラリーマンと、ブチ切れた様子のショウタが居た。