《栴檀禮賛》は悪徳に満ちてる

「え〜ハヤテ私のこと好きなの〜?」

「あ、ん、いや、その......」

自分でも恥ずかしいぐらいキョドってしまった。自分でもアミの事が好きかどうかは分からないけど、確実に『僕はアミが好き』という事がバレることに、一種の嫌悪じた。

「どうなの〜?」

「どうなのどうなの〜?」

「いや、別に......」

「好きじゃないの?」

アミは一瞬ションボリ顔になった。やっぱり、アミは悪徳に満ちている。こんな顔されたら、言う他ないじゃないか。

「す......」

「す?」

「......スフレが食いたいかなぁ。」

「ふふっ......ハヤテ、ここイタリアンレストランだよ? スフレはフランスの食べ。」

「んぐ......」

「いやぁ、やっぱりハヤテは私に隠し事なんか出來ないよね〜。でもまぁ、今後イジって面白いから良いかも。」

やはり彼は悪徳に満ちている。僕がアミに好意を抱いてるという確信を得て、彼は僕に対する思いを決して明かさない。

好意的に思ってるとも、ただの友達としてイジるネタにしか思ってないとも、どちらとも取れるように、のらりくらりと上手いこと返答している。

僕はおしぼりを広げて、そこに顔を埋めた。無理だ、そもそもアミ1人を相手にしても心理戦で勝てるわけが無いのに、その上いきなり核心を突くアザミがいては、不利でしかない。

「やっぱりハヤテは面白いよね。藪ワシの鳴き聲よりも面白いよ。」

「それ確か『ヌワポポポポガジュブルチ』とか鳴くやつだよね? そんなに面白いか?」

「あ、ダメだよハヤテ。こんな時間に藪ワシの鳴き真似したら、棕櫚ヘビ様が來て食べられちゃうよ。」

「何その棕櫚ヘビ様っての、初めて聞いたわ。」

「あれ? ハヤテもう會ってるみたいだね?」

「會ってるって? 誰に?」

「棕櫚ヘビ様。夢の中に出てくるんだけど、白い手みたいな形してるよ。」

その瞬間、僕の背中は大量のアリに噛み付かれたような覚を味わった。普段から不思議な事を言うとは思っていたが、この前見た変な夢まで當てるなんて。

「そ、そうかな?」

「私には分かるよ?」

「なんで?」

「だってハヤテの首に、棕櫚ヘビ様のマークがついてるもん。」

「え?」

「良かったね、見初められた証だよ。食べられなくて済むね。」

「そういう問題!?」

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