《栴檀禮賛》湧いて出てきた気持ち

その日は確実に特筆するようなことも無い一日になる......はずだった。なくとも下校するまでは。

下校時、いきなり僕の前に見知らぬ男が立ちはだかった。その男に関しては恐らく同い年で、他校の生徒あろうということ以外なにも分からなかった。

僕は一旦歩みの速度を緩め、橫を通り過ぎようとした。しかし、手を思いっきりばされ、僕の進行は阻止された。

「あんた、ハヤテだろ?」

「え、えぇ。そうですけど、わざわざ止めるってことは、僕に何か用ですか?」

「ん、ちょっとツラ貸せ。」

僕は何が何だか分からないまま、その男について行った。男が僕を連れてきたのは、河川敷をし歩いたところにある橋の下だ。

「んで、用ってのは何ですか?」

「ハヤテ、俺と勝負しろ。」

「はァ?」

「俺から見て、お前はどっからどう見ても普通の男だ。特にイケメンでもなく、腕っ節も強ぇってワケじゃ無さそうだ。」

「僕のことそんなに知らないのに、よくもまぁそんなにdisれますね。」

「どうしてお前なんだ。」

「は?」

「どうしてお前みたいな普通のヤツが、あんな伝説のヤンキー達と肩を並べて歩いてて、そしてあんな綺麗なの子と一緒に過ごしてるんだ。」

「はァ? ショウタとかアミのこと言ってんのか? そんなんで僕のこと呼んだのか?」

「アミって言うのか、あの子。」

あー、何となく分かってきたぞ。コイツは僕がアミの彼氏か何かと勘違いしてて、更にコイツはアミにしてるというじなわけだ。面倒臭いのに絡まれたな。

「はァ......アンタの言いたいこと、やりたいことは何となくわかった。」

「お、やる気か?」

「ちげーよ、あんたアミのこと好きなんだろ? だったら突撃する相手まちがえてんだろ?」

「なっ!?」

「違うか?」

「なるほど、さっきアンタのこと普通だとか言ったけど撤回するよ。そして謝らせてもらおう、すまなかった。」

「はぁ。」

「それで、お前はアミの彼氏ではないという認識で良いんだな?」

「まぁね。」

「じゃあ、遠慮なく突撃させてもらう。」

その男は僕の言った通り、その場から去ろうとした。しかし、この瞬間、僕の脳......いや心の中に何か変な気持ちが湧いて出てきた。

「いや! ちょっと待て!」

気づけば僕の口は勝手にそうんでいた。気づけば僕の僕の手はその男の腕を摑んでいた。

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