病院の付を９時５５分に訪ねて、原先生とのお約束ですと伝えた。付の人が電話でどこかに連絡を取り、指定された部屋の地図を渡されてそこへ向かう。そこは院している建ともあたしが治療をけたところとも違う病棟だった。

地図の指示通り、「処置室・Ａ」と書かれているドアをノックした。がちゃりとドアが開き、中學生くらいのの子が顔を出す。

「おはようございます。いちごちゃんですね。いらっしゃい♡」

招かれて中にると小さな白い部屋で、診察用の機と椅子、丸椅子が２つ。いろいろな機械が壁に寄せられていた。視力検査ボードもある……。

それよりもこの子。どうして白を著ているんだろう。

！？　まさか、この子が知実くんと夏にお付き合いをした中學生……！？　あたしだけじゃなくて、こっちの子も呼んでるってじ？

「念のため、上著をいでこちらを羽織っていただき、アルコール消毒をお願いしてもいいですか？」

中學生ちゃんに機の上に置いていた白を渡された。言われるがままに上著をいで、白を羽織る……けど……、だからこの子、なに？？

「初めまして、私、佐倉エミです。なっちゃんの擔當してます」

擔當……？　単推し……推しメンって話！？

「あ、あのっ、夏はそうだったって聞いてます。エミちゃんってもしかして、まだ知実くんのこと……」

すぐに別れたって聞いたけど、今も好きなのかな。

「そうですね、夏で確かに（退院して）一度は區切りをつけました。だけど私、なっちゃんのこと忘れられなくて。彼と一緒にいるとポジティブになれる。だから立候補して擔當になったんですよ。私ここまで（仕事に対して）積極的になれたの初めてで！」

えーっ！　二ってこと……？

ううん、知実くんに限って、そんな用なことできない……よね？

でも虎蛇では流されまくってたし、言い切れない〜〜〜〜〜！！

「でも知実くんには、もう別で（人が）いるっていうか……」

「はい、私以外にも（擔當の看護師さんは）たくさんいますよ♡」

「うぇ！？　エミちゃんそれ本當！？　あなたはそれでいいの！？」

「はい。みんなのなっちゃんです♡」

「噓でしょ！　深すぎ〜〜〜〜！」

「お前ら、なにやってんだよ！」

勝てない……と、がくりと膝をついたところに、奧のドアが勢いよく開いて、知実くんが顔を出した。

ってか浮気相手も呼んでおいてそれはなくない！？

┛┛┛

「あらー♡　まさか中學生だと思われるとはー♡」

「ごめんなさい！！　すごく失禮な思い込みをしちゃいました！！」

ぺこぺこと佐倉さんに何度も頭を下げる。

「なんで俺が看護師さんをはべらしてるって信じるわけ……」

「だって、知実くんそういうことありそうだもん……」

半泣きのあたしと壁に頭を當てうなだれている知実くんを見比べながら、佐倉さんが大笑いしていると、奧から原先生も出てきた。

「いらっしゃい、日野さん。噂には聞いてたけど、朝から愉快ね、あなた」

「あっ、よろしくお願いします。うわさ……？」

知実くんが目を合わせてくれない。

「これから投薬治療を始めます。小鳥遊くんは慣れてるから、なにがあっても治療の邪魔をしないように。それから中では靜かにしておくこと。このふたつが守れない場合、即座に外に出てもらいます」

「は、はい」

ごくりとつばを飲み込んだ。

いよいよ。張する……。

「しんどくなったら外に出ていいからね。本當はこんなの付き合わせたくなかったけど、いちごがそんなに思ってくれてるなら、俺も覚悟したよ」

隣で知実くんが微笑むでもなくつぶやく。

……原先生、なんて伝えたんだろう。

知実くんが原先生の脇を通って、慣れた様子で奧の部屋へっていった。

「ちょっとグロいですけど……頑張りましょうね！」

隣の佐倉さんがの前で拳を握りながら、あたしを見上げた。……大丈夫かな……。