《小さなヒカリの語》15ページ目
に妙な笑いはなく、噓をついているような素振りはない。
「どういうことだ?」
「人間のには正のと負のが常に存在していて、普通は負のが新しく生まれても、初めから在する正のと相殺されることによって上手く調律が保たれているの。それが永遠に保たれる続けるには越したことはないんだけど、なかなかそうはいかない。自にとって耐え切れないほどつらいこと、不幸なことがあって、負のが一時的に正のの許容範囲を超えた場合」
飾らないの淡々とした言葉が、右から左に通り抜けてゆく。
「……よく分かんなかったが、それであんな化け……オウム?が現れたって言うのか?」
「半分正解。半分不正解なのは、それが最終段階だから。実を持ち、この世界に出現するまでいくつかのステップがあるの。本という寄りどころを失った不安定な分子はこの基本空間では長く存在できない。數秒もすれば消えてしまうほど微弱なものなの。そこで消えないように分子は本能的に別の場所へ転移する。そして近くにある別の分子と押し合いへしあいより固まって集合を形する。それが、オウムなの」
矢継ぎ早に言われ、正確に理解しきれない。容も容で現実を超越している。
「で、さっき現れたってわけか?」
分からないなりに理解しようと努める。が、
「それは違うわ。厳に言うと、まだ現れてない。壁を破って基本空間に來る前に、発生した段階で止めるのが私たち討魔師の役目だから」
余計に意味が分からない。頭の中がこんがらがる。〝とうまし〟って何だよ?
「ちょっと待ってくれ。一つ質問するが、基本空間ってどこだ?それに來るっていう意味がよく分からないんだけど」
「今、こーちゃ……げほっげほっ……こほん。あなたがいる世界は基本空間上。今私がいる世界は異次元空間上なの」
「はぁ!?」
ここまでくると半信半疑は疑の方へ傾き始める。矛盾をどうこうというのを超えたの話に俺は聞く姿勢を一転して、反論に出る。
「作り話にしちゃよく出來てたが、最後の詰めが甘いな。分子とかオウムとかまでの話はなかなかそれっぽくて、しかも真顔で言うから本當に信じそうになった。でも、異次元の空間って言うのは飛躍しすぎてよくないな。そんなのがもし現実にあったら、今ごろ世界は大変なことになってる」
恐怖から解放されたからだろうが、俺はさっきと違い、妙な自信を取り戻していた。
「何、それはつまり私が噓を言ってるって言いたいの?」
「まぁ、そういうことだ」
何も拠がなくて強がっているわけじゃない。
あんなものを見て信じやすくなってたせいか確かに途中までは信じていた。でもな、最後のは明らかに
斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪女を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】
【書籍化、コミカライズ情報】 第一巻、2021/09/18発売 第二巻、2022/02/10発売 第三巻、2022/06/20発売 コミカライズは2022/08/01に第一巻発売決定! 異母妹を虐げたことで斷罪された公爵令嬢のクラウディア。 地位も婚約者も妹に奪われた挙げ句、修道院送りとなった道中で襲われ、娼館へ行き著く。 だが娼館で人生を學び、全ては妹によって仕組まれていたと気付き――。 本當の悪女は誰? きまぐれな神様の力で逆行したクラウディアは誓いを立てる。 娼館で學んだ手管を使い、今度は自分が完璧な悪女となって、妹にやり返すと。 けれど彼女は、悪女の本質に気付いていなかった。 悪女どころか周囲からは淑女の見本として尊敬され、唯一彼女の噓を見破った王太子殿下からは興味を持たれることに!? 完璧な悪女を目指した結果溺愛される、見た目はエロいけど根が優しいお嬢様のお話。 誤字脫字のご報告助かります。漢字のひらがな表記については、わざとだったりするので報告の必要はありません。 あらすじ部分の第一章完結しました! 第二章、第三章も完結! 検索は「完璧悪女」を、Twitterでの呟きは「#完璧悪女」をご活用ください。
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◇SQEXノベルさまより書籍全3巻発売中!3巻は完全書き下ろしで、WEB版の続きになります。幸せいっぱい、糖分過多のハッピーエンドです。 ◇ガンガンONLINEさまにてコミカライズ連載中! コミックス2巻が発売中です。 ◇ 書籍ではWEB版のラストを変更しています。 伯爵家に引き取られたジゼルは、義母や妹に虐げられながらも、持ち前のポジティブさと亡き母に貰った『やさしい大魔法使い』という絵本を支えに暮らしていた。 けれどある日、自身が妹の身代わりとして変態侯爵に嫁がされることを知り、18歳の誕生日までに逃げ出す計畫を立て始める。 そんな中、ジゼルは奴隷市場でムキムキの青年を買うつもりが、ついうっかり、歳下の美少年を買ってしまう。エルヴィスと名乗った少年は、ジゼルをクソガキと呼び、その上態度も口もとんでもなく悪い。 ──実は彼こそ、最低最悪の性格のせいで「人生をやり直してこい」と魔法を封印され子供の姿にされた後、神殿から放り出された『大魔法使い』だった。 魔法によって口止めされ、自身の正體を明かせないエルヴィス。そんな彼に対しジゼルは、あまりにも辛い境遇のせいでひねくれてしまったのだと思い、逃亡計畫の傍らひたすら愛情を注ぎ、更生させようとする。 (あれ、エル、なんだか急に身長伸びてない?魔法が少し使えるようになったって?ていうか距離、近すぎるのでは……?) 世話を焼き続けるうちに、エルヴィスに少しずつ不思議な変化が現れ始める。彼に掛けられた魔法が、人を愛することで解けることを、二人が知るのはまだ先で。 家を出たい心優しい少女と、元の姿に戻りたい優しさの欠片もない魔法使いが、幸せになるまでのお話です。
8 181妹と兄、ぷらすあるふぁ
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