おかしい。の大仰な點をつけば、真っ向から論破することが出來ると俺は考えた。

「俺のいる場所と君のいる場所が違う？　同じだろ！　ほら、ちゃんと同じ地面に立ってるし。しかも一人だけ異次元にいるって！？　君の言葉を使わせてもらうなら、ここは基本空間だ。人々がむようなファンタスティックな出來事など決して起こりゃしない極めて普通の、俺のよく知っている世界だ。ある日突然俺の目の前に知らない誰かが現れて俺を違う世界へ連れてってくれる……なんて、拠も必然もない稚な夢は中二あたりで諦めた。別に夢を見ることを悪いとは言わんが、夢と現実をごっちゃにするのはかなり痛いぞ」

と一気にまくしたて、俺はし落ち著いた。ある程度言いたいことは言えた気がする。

「ぷ……くくっ……」

「一何がおかしいんだよ？」

「まぁ、そう思うのは無理のないことだけどね」

は笑いをこらえるように、しかしどこか自信ありげに長い髪のを揺らした。

「じゃあ、こー……じゃなくて、あなたも見たあの紫のはなんて説明するわけ？」

そうだった。俺はうっと答えに詰まる。

一つ問題を解決したと思ったら、また違う問題が生じてしまった。

「いや、それは……」

「それも夢って？」

はまたもくすりと笑う。それが裏をじさせない自然な笑い方だったから、もしかしたら俺が間違っているんじゃないかという気持ちになった。いやいや、とそこで頭を振る。

冷靜に考えろ。わされるな。科學的説明拠もない空想話なんて信じるな。今までどれだけの人間がそんなことに騙されてきたんだ。俺は絶対に騙されないぞ。絶対に信じるな……とは言ってもだ。他に理論付けしようとしても何も思いつかないのが現狀。何しろ実際にこんなことに遭遇したのは今日が初めてだ。存在自がありえない絵空事なんだから、経験がなくて當たり前だ。……ん？　待てよ。説明できないなら、無理にしなくてもいいんじゃないか？　そうか、そうだ！　ありえないことが起こりうる場所が一つあった！　それは、

「夢の中だ」

そう、夢の中。でもあまりにリアルすぎるのはなぜか？　いつの間にか倒れていたということを踏まえると殘った道はただ一つ。俺は今幻覚を見ている。そうしたのはこの。鈍かなんかで俺の意識を飛ばした後、幻覚を見せる効果のある薬を盛ったと……

それならまるで現実にあったかのようなあの怖さもうなずける。

「そうだ夢なんだ。これは悪い夢。いったい何を盛った！？　なんて名前の薬だ？　こんなことしていったい君の目的は何なんだ！」

俺の言葉にはきょとんとした顔を見せる。けど、負けんな俺。そんな顔したって駄目だからな！

「騙そうたってそうはいかない。早く解毒剤を渡してくれ。そうしないと本當に頭がおかしくなるか