《小さなヒカリの語》27ページ目
「まさかヒカリがこの町に戻ってくるなんて思ってもみなかった。引越しのときとか今生の別れみたいに一日中泣いてたのにな」
自分で言ってし恥ずかしくなる。自転車で、離れ行くトラックを追いかけて他の車にぶつかって自転車ごと吹っ飛び、全治一週間の院という忘れたい過去だ。止まっている車だったから良かったものの、もし通事故だったらあのスピードじゃ間違いなく死んでただろうなぁ。なんてことを思っていると、
「あ、そっちじゃなくて、聲!」
「え?」
鳩に豆鉄砲。聲と言われても話のつながりが見えてこない。
「私、演劇部の部長やってたんだよ」
……えーっと、何のことだ?
「ほら、朝會ったとき口調違かったでしょ? あんなとこでこーちゃんと會うなんて思わなかったからびっくりしたけど、見えるって分かった途端妙な風に部長のが騒いじゃって。平靜を裝って他人の振りを貫いてたら結局気づかれなくて」
「ああ、そっちの話か。って、あれのどこに気づくヒントがあったんだよ」
演劇って聲まで変わるものだっけ? まさかあの事実自が演劇でしたってことはないよな?
「なんかね、あの狀態になったら気合がるんだよね。やるぞーっていう、ね」
「はぁ」
今いちよく分からない。気合がると何かしら違うスイッチがるのか? でも、そうか。ヒカリは演劇部だったのか。俺は部活をしてなかったから、そこに何かしらの肯定をすることが出來ない。
「あっ」
自分ちの青い屋が見えてきて、脳に疑問符が浮かぶ。どうしよう。
「ヒカリの新しい家って、こっち方向か?」
一応ヒカリの了承を得てここまで來たんだが、家が反対方向だったら申し訳ない。
「心配しなくていいよ。私の新しい家はここから結構近いし」
「そうなのか!?」
へぇー。ヒカリの新居はここから近いんだ。それなら朝とか一緒に登校したりできるかもな、なんて。
「ただいまー」
家のドアを開けると、玄関には朝と変わらないエプロン姿の母さんが立っていた。黃の熊が中央にプリントされた赤のエプロンを著て、目元にはり輝くラメを塗り、顔にはしわを増やさないための化粧水、そしてしきつい桃の匂いがする香水をそのにふりかけ、廊下の先頭真ん中にどんといた。いや、それでは語弊がある。どん、ではなく、ちまーん、だ。長は俺より低く、しかも実際に若く見えるため、よく妹に間違えられる。周りの奴らは羨ましいと言うが、息子の俺からしたらいい迷だ。たまに買いについていくとカップルに間違われたりする。それがどんなに悲しいことなのかこの立場にならないと分からないだろう。とまぁ、愚癡はこのくらいにしておいて。
【電子書籍化】婚約破棄のため冷酷騎士に決闘を挑んでみましたが、溺愛されるとか誰か予想できました?
ミーティアノベルス様より9月15日電子書籍配信。読みやすく加筆修正して、電子書籍限定番外編も3本書きました。 年頃になり、私、リアスティアにも婚約者が決まった。親が決めた婚約者、お相手は貧乏伯爵家の私には不釣り合いな、侯爵家次男の若き騎士。親には決して逃すなと厳命されている優良物件だ。 しかし、現在私は友人たちに憐れみの目を向けられている。婚約者は、冷酷騎士として名を馳せるお方なのだ。 もう、何回かお會いしたけれど、婚約者のお茶會ですら、私のことを冷たく見據えるばかりで一向に距離が縮まる様子なし。 「あっ、あの。ゼフィー様?」 「……なんだ」 わぁ。やっぱり無理ぃ……。鋼メンタルとか言われる私ですら、會話が続かない。 こうなったら、嫌われて婚約破棄してもらおう! 私は、そんな安易な考えで冷酷騎士に決闘を挑むのだった。 ◇ 電子書籍配信記念SS投稿しました
8 57【書籍化】追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。
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8 127ヤメロ【完】
他人との不必要な関わりや人混みが苦手ということもあり、俺はアウトドア全般が昔から好きではなかった。 そんな俺の唯一の趣味といえば、自宅でのんびりとホラー映畫を鑑賞すること。 いくら趣味だとはいえ、やはり人が密集する映畫館には行きたくはない。それぐらい、外に出るのが好きではなかったりする。 だが、ある映畫と偶然出會ったことでそんな日常にも変化が訪れた。 その映畫の魅力にすっかりとハマッてしまった俺は、今では新作が出る度に映畫館へと足繁く通っている。 その名も『スナッフフィルム』 一部では、【本當の殺人映像】だなんて噂もある。 そんな噂をされる程に上手く出來たPOV方式のこの映畫は、これまで観てきたホラー映畫の中でも一番臨場感があり、俺に最高の刺激とエンタメを與えてくれるのだ。 そして今日も俺は、『スナッフフィルム』を観る為に映畫館の扉を開くーー。 ↓YouTubeにて、朗読中 https://m.youtube.com/channel/UCWypoBYNIICXZdBmfZHNe6Q/playlists ※ 表紙はフリーアイコンを使用しています 2020年4月27日 執筆完結作品
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妹と一緒に転移した筈なのに狼?になってしまった少年の話
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