《小さなヒカリの語》30ページ目
尊くてかっこいいことだなぁーって思えるようになったよ。ただ……」
途中でヒカリは言葉を區切る。その先が気になる。
「ただ?」
「ただ、會いたい人に會えないのはつらかったなぁ……」
本當に辛かったということが顔を見るだけで分かる。ヒカリはそれを思い出すだけで顔が赤くなっているようだから。目が合ってもなんて言えばいいか分からない。
「だから、會えなかった分まで今を楽しく過ごしたいかな?」
自分からめの聲をかけることは難しいけど、そのヒカリの言葉には自信を持って言えることがある。
「楽しくなるさ」
きっと、おそらくは。その會いたかった人の代わりになることは難しいけど、俺にできることなら喜んで努力しよう。ヒカリのために、自分のために。そう今誓った。
説明がまだ途中だったねとヒカリは先ほどの話を続けた。今を楽しく過ごしたい……か。ヒカリらしいと言えばらしいかな。
「異次元空間というのはオウムのいる世界、そして人のいない世界で。あっちにいる時、私から基本空間の人間は見えるけど、基本空間から私は見えないの。それは同じ空間上にいないから。でも建は建ってるんだよ。それはこの世界と変わらない。なぜこーちゃんが急にオウムや異次元空間が見えるようになったのか、それはまだ言えない。でも安心して。オウムの作を見てもこーちゃんの存在は知されてなかったようだから。それに、いざとなったら……私がこーちゃんを守るから」
俺を守る。その言葉の真意は分からなかったが、
「それは頼もしい限りです」
俺がそう言うとヒカリはわざとらしくを張り、えっへんと聲に出して威張ってみせた。
その笑顔を見て……思い出して、考える。心ではもう決まっていることだったけど。
「俺もその仕事手伝うよ」
「え?」
ヒカリの顔から笑みが消えた。驚きと焦りの混じった表。言えばそうなると分かっていた。けれど、俺にはどうしても押し通さなければいけないことがあった。
「剣なんて扱えないけどさ、弓には自信があるんだ。ヒカリも知ってるだろ? 俺の腕前」
弓を引く真似をしてみせる。エアギターならぬエアボウだ。俺は小中と弓道をしてきた。多なりとも腕には覚えがある。
「だめだめだめ絶対ダメ!」
「どうしてだよ?」
「危ないから!」
ヒカリは顔を真っ赤にして反対する。それでも俺は怯まない。
【書籍化/コミカライズ決定】婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜
★書籍化★コミカライズ★決定しました! ありがとうございます! 「セリス、お前との婚約を破棄したい。その冷たい目に耐えられないんだ」 『絶対記憶能力』を持つセリスは昔から表情が乏しいせいで、美しいアイスブルーの瞳は冷たく見られがちだった。 そんな伯爵令嬢セリス・シュトラールは、ある日婚約者のギルバートに婚約の破棄を告げられる。挙句、義妹のアーチェスを新たな婚約者として迎え入れるという。 その結果、體裁が悪いからとセリスは実家の伯爵家を追い出され、第四騎士団──通稱『騎士団の墓場』の寄宿舎で下働きをすることになった。 第四騎士団は他の騎士団で問題を起こしたものの集まりで、その中でも騎士団長ジェド・ジルベスターは『冷酷殘忍』だと有名らしいのだが。 「私は自分の目で見たものしか信じませんわ」 ──セリスは偏見を持たない女性だった。 だというのに、ギルバートの思惑により、セリスは悪い噂を流されてしまう。しかし騎士団長のジェドも『自分の目で見たものしか信じない質』らしく……? そんな二人が惹かれ合うのは必然で、ジェドが天然たらしと世話好きを発動して、セリスを貓可愛がりするのが日常化し──。 「照れてるのか? 可愛い奴」「!?」 「ほら、あーんしてやるから口開けな」「……っ!?」 団員ともすぐに打ち明け、楽しい日々を過ごすセリス。時折記憶力が良過ぎることを指摘されながらも、數少ない特技だとあっけらかんに言うが、それは類稀なる才能だった。 一方で婚約破棄をしたギルバートのアーチェスへの態度は、どんどん冷たくなっていき……? 無表情だが心優しいセリスを、天然たらしの世話好きの騎士団長──ジェドがとろとろと甘やかしていく溺愛の物語である。 ◇◇◇ 短編は日間総合ランキング1位 連載版は日間総合ランキング3位 ありがとうございます! 短編版は六話の途中辺りまでになりますが、それまでも加筆がありますので、良ければ冒頭からお読みください。 ※爵位に関して作品獨自のものがあります。ご都合主義もありますのでゆるい気持ちでご覧ください。 ザマァありますが、基本は甘々だったりほのぼのです。 ★レーベル様や発売日に関しては開示許可がで次第ご報告させていただきます。
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